「10年ひと昔」とはよく言ったもので時代とは本当に面白いように移り変わっていきます、今日の栄華は明日の没落、今日の大失敗が明日には大成功の糧、そんな事は珍しいことではありません。
起業ブームの終焉もまた時代の変化を敏感に感じ取っています、若者と女性の起業数は激減の一途で起業支援を行っていた時のパートナーだった司法書士は2017年頃から起業相談が激減したと嘆いています、総務省統計によると東京と東海地区では2015年度には既に6年連続で増加し続けた法人設立数が前年度を下回り急速な下落傾向に移行しています、おそらく2017年頃から法人設立数は全国一斉に下降傾向に突入したとみています。
私が起業支援を撤退したのが2015年秋です、この時期は1ヶ月の支援数を更新していたまさにサービスのピークを迎えていました、そのサービスのピークでの撤退は時代の終焉を確実に予測できていたということです、起業支援サービスだけではありません、経営コンサルティングも撤退時は過去最高益を達していた状況です、しかしこのピークで躊躇いも無く撤退するのが私流なのです。
何故なら下降トレンドに入ってからの撤退は後ろ向きな撤退になるからに他なりません、だからどんなことでも退くのはピークの時なのです、サービス停止のもう一つの大きな理由は起業家の質の問題が大きかったことは否めません。
起業ブーム終焉の理由は実に簡単です、起業したい人が資本金の壁で我慢していたところへ2008年のリーマンショック後の景気奮起策で誰もが簡単に起業できる法案可決です、現状に不満を持つ人が我先にと起業しました、そしてこれが一巡して起業したい人がほぼ起業してしまったということです。
この起業ブームの瞬間風速が強かっただけにしばらく起業ブームの風は吹くことはなさそうです、そして次に来るのがこの起業ブームで起業した法人の倒産劇です、これも統計は既にこの傾向を示しています、それはこの10年の起業数と廃業数に見て取れます、資本金100万円未満の法人は3年以内に80%以上の会社が倒産もしくは決算も行わないという事実上の廃業となっているのです。
こういったデータが出始めるととたんに起業ブームにブレーキがかかるのは必至です、トレンドとは参加者のマインドが大きく影響してきます、更に法人経営という厳しい現実を目の当たりにして失意の中で起業する前の世界に戻っていく人も後を絶ちません。
ここで考えなくてはいけない人たちがいます、それは起業ブームの波に乗って右も左も解らないような人を対象にして稼いできた人たちです、スキル向上のセミナーや塾、各種の交流会にコミュニティ、まさにビジネスとは何かを解らない孤独な起業家をターゲットにこぞって参入してきました。
こういった一過性の時代の孤独な起業家をターゲットにしたB2Cビジネスは間違いなく時代と共に急速に終焉を迎え世の中から消えていきます、これは珍しい事ではなく特需の時代にも見られる極普通の社会現象です、一つの時代が終わると消費者の価値観もニーズも大きく変わります、その先にあるものを正確に読んだ者が次代を制するのです、これは常に変化の時代に起こる常識なのです。
起業ブームで起業した起業家にとってはバブル崩壊後のように過酷な淘汰という時代が急速に押し寄せています、既に金融機関は資本金100万円以下もしくは年商1000万円以下の企業は相手にしなくなっていますし仕事を出す企業側も社内コンプライアンスを名分にして取引先を限定し始めています。
そして淘汰される者と成長を遂げる者の二極分化が極まります、これも一つの時代の大きな変化期に現れる特徴的な現象の一つです、淘汰か成長かを問われる起業家にとってはバブル崩壊後の氷河期のような長期間の経済混迷時代がやってきます、起業ブームの起業家たちは地獄絵のような生きるにも過酷を極めたバブル崩壊時代を経験していません。
バブル崩壊後の流行語である「勝ち組か、負け組か」、再びそんな時代がやってくることは否めません、勝ち組はどんどん業績を伸ばし我が世の春を満喫し負け組は何をしようが食うに食えない極寒の時代となるのは必至です。
時代が大きく変わったことを真摯に受け入れ自身の生きる道を軌道修正した者だけが次の時代を謳歌できる人となります、本来は時代が変わる前に先を読んで変わるべきですが経験が浅いとなかなか実行は難しいものです。
であれば経験豊富な変化を読める人の動きに合わせることが重要かと思います、それも一つの成功法則なのです、こんな時代に孤軍奮闘しても結果は期待できません、孤軍奮闘では益々哀れな結果を残します、時代が大きく変わったことを真摯に認める事が自身を生かす道だと思います。
時間で解決することは充分な期間を置くに限る。
時間で解決しないことは間髪置かずに即行動あるのみ。
コメント:
何でも時間が解決できると思ってはならない、ビジネスは時間をかけることで更に状況が深刻化する方が多いからである。
チャンスに即行動出来ない者に成果など求めるべきではない。
何事も10年先を観て今を考えることが肝要。
でも今この瞬間をめいっぱい生きなければ明日もない。
コメント
何事も将来設計と足元の現実が重要、この両面を思考し行動しなければ何事も上手くはいかない。
還暦過ぎてからというもの生きてきた足跡を振り返ることが多くなりました、若い時はとにかく前に進むことだけを考えていたから過去を振り返るなどということはあまりなかったように思います、じっくりと自身の歩みを思い起こしてみると30歳過ぎた頃から45歳くらいまでが一番肉体的にもきつく精神的にも不安定な状況だったように思います。
家族や親族の問題も多々起きてきますし仕事でいえば本来なら最も元気に働ける時期です、経済的にもやりたいことができるようになる時期と重なります、肉体的には急速にエネルギー消費効率が良くなってきます、したがって太りやすい体質に変わる時期でもあります、私も多分にもれず高コレステロール血症や痛風などの生活習慣病に悩まされました。
精神的には社会人での経験がある程度蓄積されてきて無駄を省く合理的な思考に傾きやすい時期でもあります、この時期に常に物事に疑問を持ち常識に捉われないでいるかがその後の思考に大きく影響します、放っておけば新しい発想も出ずに極平凡な思考パターンの人になってしまいます、そんな若い心身から更年期へと向かう進化の狭間と周囲の状況が合わさり肉体的にも精神的にも最も各種の影響を受けるのがこの年代ではないかと思うのです。
ところで化粧品会社の研究発表で知ったのですが、そのメーカーによって「ミドル脂臭」と命名された男性のタンパク質分解で起こる強烈な身体の匂いもこの細胞変化とホルモンバランスの変化の過程で起こる30歳代男性の特徴だとのことです、女性も細胞の代謝効率の変化の過程で30歳代が最も疲れやすく体力も気力も一気に落ち、更に精神状況も女性ホルモンの分泌傾向の不安定から安定へと変わる途上の影響により短期間に憂鬱状況が変化し常にイライラした状態になるのだそうです。
自身の身体の変化、周囲の状況、いろいろな事が同時に起きてくる30歳代、この年代はその意味では逆にその後の人生を決めてしまうと思えるほど思考や生き様が形成される大事な時期でもあるのです、孔子も30歳を「立身」と命名しているように30歳代の生き方がそのまま老後の生き様を決定してしまうのは今も昔も変わらぬようです。
ところで8歳までの環境で思考パターンと性格が形成され13歳には確定すると言われています、私が思うに思考パターンと性格が決まる幼少期と同様に30歳代はいろいろな意味でその後の人生そのもののといえる生き方を形成してしまう時期ではないかと思うのです、30歳代に染み込んだ生き方思考、つまり生き様はおそらくどんな事をしても変えることができないのではないでしょうか。
貰うだけの他者依存する生き方も他者に与え共存共栄する生き方も、自己利益優先の無責任な生き方も他者優先での責任を全うする生き方も、現実を受け入れずに常に逃げる生き方も真摯に起きた現実を受け入れリカバリーする生き方も、全てが30歳代で決定してしまうようです。
私自身、そして友人知人、どのケースを鑑みても例外なく30歳代に形成した生き方を変えられないでその後も継続させてしまっています、今は全てが上手くいってなくても憂いなく楽しい老後を迎えたいのであれば30歳代で覚悟を決めてこれまでの思考パターンをリセットし生き方の軌道修正するしかありません、40歳代になれば例外なく思考パターンも生き方も変えることはできません、例え天地がひっくり返るほどのカルチャーショックを受けたとしてもです。
まだ30歳代の人にあえて言います、人生において30歳代は如何に重要な時期なのかということを自分や周囲を含めて再考いただきたいと思います、そして生き方を変えるなら30歳代のうちしかありません、人生最後の生き方リセットのチャンスなのですから、30歳代で見事に生き方を自適に変えられた人はその後の人生はこれまでとは比べものにならない程充実した愉しい人生になるでしょう。
起業して一つの法人を経営する経営者は庶民とは人生そのものの可能性は飛躍的に拡大し価値観も大きく異なってくるはずです、しかし悲しきかな近年の起業家のみなさんはどうしてそろって庶民的な感覚をいつまでも引きずっているのでしょう。
仲間内での海外旅行にクルージングと、なぜそんな当たり前に庶民がやっているイベントを「ビジネスが上手くいってます」的な感覚で公開するのでしょう、B級グルメにホームパーティや誕生日会などの自慢投稿は同じ法人の経営者として見るに堪えがたいものがあります。
普通のデキル会社員はもっと豪華なイベントを年中やってますしあえてSNSに上げることもしないでしょう、高級ホテルのスイートルームを貸し切ってのプライベートパーティ、ブランド物を身に纏い高級外車に乗って何度も秘境旅行や世界一周クルージング、これは自慢するような事ではありません。
バブル期にはごく普通にみんながやっていたことだし珍しくもなんともないことです、SNSでこういった些細な幸福ごとを公開したがるのは思考も行動も法人経営者に求められる感覚ではありません、起業家なら些細な幸福ごとに満足せずに我慢に我慢を続けてお金をしっかり貯め大きな投資をしてオリジナルな事業構築してみたらどうでしょうか?
こういうことこそ会社員にはできないことだし起業家としての本分であり価値であるというものです、庶民の楽しみごとと同じことをして満足しているのであれば起業した意味など無いのではないでしょうか、税制面で考えても生き方を考えても個人事業主で充分だと思うのです。
起業したらまずは全てに関して思考と価値観の置き方を180度変えてほしいものです、夏は海に冬はスキーに海外に行くのはハワイにグアム、こういう当たり前の楽しみ方の発想から卒業しませんか、成功する事業家の感覚とは有名芸能人ばりの生活や楽しみごとも庶民感覚程度に過ぎないと思えるものなのです。
家族サービスやプライベートな楽しみごとなら尚更のこと家族や友人たちと思いっきりビジネスを忘れて楽しむことです、そんな貴重な時間にSNSに上げることを意識して写真を撮ることに常に気を回していてどうするのでしょう?
どこぞの団体旅行者の品格を疑うような行動と何も変わりません、プライベートでの楽しみごとは全て自身の心と頭に記憶するに限ります、「庶民感覚から卒業せよ」、ここからです、起業した意味と本当の起業家が成すべき事と起業家としての本当の本分と生き方が見えてくるのは。