2024年5月10日 01:00
還暦過ぎてからというもの生きてきた足跡を振り返ることが多くなりました、若い時はとにかく前に進むことだけを考えていたから過去を振り返るなどということはあまりなかったように思います、じっくりと自身の歩みを思い起こしてみると30歳過ぎた頃から45歳くらいまでが一番肉体的にもきつく精神的にも不安定な状況だったように思います。
家族や親族の問題も多々起きてきますし仕事でいえば本来なら最も元気に働ける時期です、経済的にもやりたいことができるようになる時期と重なります、肉体的には急速にエネルギー消費効率が良くなってきます、したがって太りやすい体質に変わる時期でもあります、私も多分にもれず高コレステロール血症や痛風などの生活習慣病に悩まされました。
精神的には社会人での経験がある程度蓄積されてきて無駄を省く合理的な思考に傾きやすい時期でもあります、この時期に常に物事に疑問を持ち常識に捉われないでいるかがその後の思考に大きく影響します、放っておけば新しい発想も出ずに極平凡な思考パターンの人になってしまいます、そんな若い心身から更年期へと向かう進化の狭間と周囲の状況が合わさり肉体的にも精神的にも最も各種の影響を受けるのがこの年代ではないかと思うのです。
ところで化粧品会社の研究発表で知ったのですが、そのメーカーによって「ミドル脂臭」と命名された男性のタンパク質分解で起こる強烈な身体の匂いもこの細胞変化とホルモンバランスの変化の過程で起こる30歳代男性の特徴だとのことです、女性も細胞の代謝効率の変化の過程で30歳代が最も疲れやすく体力も気力も一気に落ち、更に精神状況も女性ホルモンの分泌傾向の不安定から安定へと変わる途上の影響により短期間に憂鬱状況が変化し常にイライラした状態になるのだそうです。
自身の身体の変化、周囲の状況、いろいろな事が同時に起きてくる30歳代、この年代はその意味では逆にその後の人生を決めてしまうと思えるほど思考や生き様が形成される大事な時期でもあるのです、孔子も30歳を「立身」と命名しているように30歳代の生き方がそのまま老後の生き様を決定してしまうのは今も昔も変わらぬようです。
ところで8歳までの環境で思考パターンと性格が形成され13歳には確定すると言われています、私が思うに思考パターンと性格が決まる幼少期と同様に30歳代はいろいろな意味でその後の人生そのもののといえる生き方を形成してしまう時期ではないかと思うのです、30歳代に染み込んだ生き方思考、つまり生き様はおそらくどんな事をしても変えることができないのではないでしょうか。
貰うだけの他者依存する生き方も他者に与え共存共栄する生き方も、自己利益優先の無責任な生き方も他者優先での責任を全うする生き方も、現実を受け入れずに常に逃げる生き方も真摯に起きた現実を受け入れリカバリーする生き方も、全てが30歳代で決定してしまうようです。
私自身、そして友人知人、どのケースを鑑みても例外なく30歳代に形成した生き方を変えられないでその後も継続させてしまっています、今は全てが上手くいってなくても憂いなく楽しい老後を迎えたいのであれば30歳代で覚悟を決めてこれまでの思考パターンをリセットし生き方の軌道修正するしかありません、40歳代になれば例外なく思考パターンも生き方も変えることはできません、例え天地がひっくり返るほどのカルチャーショックを受けたとしてもです。
まだ30歳代の人にあえて言います、人生において30歳代は如何に重要な時期なのかということを自分や周囲を含めて再考いただきたいと思います、そして生き方を変えるなら30歳代のうちしかありません、人生最後の生き方リセットのチャンスなのですから、30歳代で見事に生き方を自適に変えられた人はその後の人生はこれまでとは比べものにならない程充実した愉しい人生になるでしょう。