2024年5月13日 01:00
「10年ひと昔」とはよく言ったもので時代とは本当に面白いように移り変わっていきます、今日の栄華は明日の没落、今日の大失敗が明日には大成功の糧、そんな事は珍しいことではありません。
起業ブームの終焉もまた時代の変化を敏感に感じ取っています、若者と女性の起業数は激減の一途で起業支援を行っていた時のパートナーだった司法書士は2017年頃から起業相談が激減したと嘆いています、総務省統計によると東京と東海地区では2015年度には既に6年連続で増加し続けた法人設立数が前年度を下回り急速な下落傾向に移行しています、おそらく2017年頃から法人設立数は全国一斉に下降傾向に突入したとみています。
私が起業支援を撤退したのが2015年秋です、この時期は1ヶ月の支援数を更新していたまさにサービスのピークを迎えていました、そのサービスのピークでの撤退は時代の終焉を確実に予測できていたということです、起業支援サービスだけではありません、経営コンサルティングも撤退時は過去最高益を達していた状況です、しかしこのピークで躊躇いも無く撤退するのが私流なのです。
何故なら下降トレンドに入ってからの撤退は後ろ向きな撤退になるからに他なりません、だからどんなことでも退くのはピークの時なのです、サービス停止のもう一つの大きな理由は起業家の質の問題が大きかったことは否めません。
起業ブーム終焉の理由は実に簡単です、起業したい人が資本金の壁で我慢していたところへ2008年のリーマンショック後の景気奮起策で誰もが簡単に起業できる法案可決です、現状に不満を持つ人が我先にと起業しました、そしてこれが一巡して起業したい人がほぼ起業してしまったということです。
この起業ブームの瞬間風速が強かっただけにしばらく起業ブームの風は吹くことはなさそうです、そして次に来るのがこの起業ブームで起業した法人の倒産劇です、これも統計は既にこの傾向を示しています、それはこの10年の起業数と廃業数に見て取れます、資本金100万円未満の法人は3年以内に80%以上の会社が倒産もしくは決算も行わないという事実上の廃業となっているのです。
こういったデータが出始めるととたんに起業ブームにブレーキがかかるのは必至です、トレンドとは参加者のマインドが大きく影響してきます、更に法人経営という厳しい現実を目の当たりにして失意の中で起業する前の世界に戻っていく人も後を絶ちません。
ここで考えなくてはいけない人たちがいます、それは起業ブームの波に乗って右も左も解らないような人を対象にして稼いできた人たちです、スキル向上のセミナーや塾、各種の交流会にコミュニティ、まさにビジネスとは何かを解らない孤独な起業家をターゲットにこぞって参入してきました。
こういった一過性の時代の孤独な起業家をターゲットにしたB2Cビジネスは間違いなく時代と共に急速に終焉を迎え世の中から消えていきます、これは珍しい事ではなく特需の時代にも見られる極普通の社会現象です、一つの時代が終わると消費者の価値観もニーズも大きく変わります、その先にあるものを正確に読んだ者が次代を制するのです、これは常に変化の時代に起こる常識なのです。
起業ブームで起業した起業家にとってはバブル崩壊後のように過酷な淘汰という時代が急速に押し寄せています、既に金融機関は資本金100万円以下もしくは年商1000万円以下の企業は相手にしなくなっていますし仕事を出す企業側も社内コンプライアンスを名分にして取引先を限定し始めています。
そして淘汰される者と成長を遂げる者の二極分化が極まります、これも一つの時代の大きな変化期に現れる特徴的な現象の一つです、淘汰か成長かを問われる起業家にとってはバブル崩壊後の氷河期のような長期間の経済混迷時代がやってきます、起業ブームの起業家たちは地獄絵のような生きるにも過酷を極めたバブル崩壊時代を経験していません。
バブル崩壊後の流行語である「勝ち組か、負け組か」、再びそんな時代がやってくることは否めません、勝ち組はどんどん業績を伸ばし我が世の春を満喫し負け組は何をしようが食うに食えない極寒の時代となるのは必至です。
時代が大きく変わったことを真摯に受け入れ自身の生きる道を軌道修正した者だけが次の時代を謳歌できる人となります、本来は時代が変わる前に先を読んで変わるべきですが経験が浅いとなかなか実行は難しいものです。
であれば経験豊富な変化を読める人の動きに合わせることが重要かと思います、それも一つの成功法則なのです、こんな時代に孤軍奮闘しても結果は期待できません、孤軍奮闘では益々哀れな結果を残します、時代が大きく変わったことを真摯に認める事が自身を生かす道だと思います。