世界的な紅茶の圧倒的ブランドであるリプトン社ですが日本にはもう1社ブランドを確立したブルックボンド社の存在があります、世界では無名のブルックボンド社は何故日本で紅茶の一流ブランドとして確立できたのでしょうか?
フランスの片隅で数十年間も細々と営んでいた手作りのカバン工場は世界有数のファッションブランドに成長しています、この世界ブランドは何故一夜にして生まれたのでしょうか?
スイスにある時計の手作り工場も同じように数十年間細々と営んでいましたが世界で最も信頼できる時計ブランドとして確立しました。
これらのブランド確立秘話の裏には一流のデパートに採用された、皇室や超有名人が好んで使っていたのが雑誌に紹介された、世界的なスポーツイベントの標準品として採用されたなどの特殊な理由があります。
メーカが積極的に営業したわけではありません、積極的にブランド戦略を展開したわけでもありません、では運が良かったのでしょうか?
運だけでは本物が解る人は採用しませんし買いません、これらのメーカに共通しているのは「自分が使うとしたら」を一番重要課題として数十年間という長い期間をかけて真摯に取り組んでいたからです。
その根底にある思想は「自分が使いたくないものを他者が買うか?」なのです、したがってそのメーカの製品には人間の温もりを感じるのです。
そういう人間を知り尽くした機能性とデザイン、また実際に使ってみた時のフィット感にしっかりと生きているのです。
最も重要なことは何年使っていても壊れない、飽きないということも安心感を生みます、そして使う度に味が出てくるのです。
そういう数十年も継続させた姿勢が何時か本物を見分けられる人の心を動かし採用されたのです、そして本物が解る人に採用されたことが一般の人への信頼感となり浸透していったのです。
あの会社が採用した、セレブな素敵な女性が愛用した、世界的な国を挙げてのイベントに採用されたなどが本物が解らなくても一般の人への信頼感となり、あっと言う間に広がっていくのです、こうして世界ブランドが一夜にして確立されたのです。
「ブランド戦略」の書籍をいろいろ読んではみるものの何かしっくりきません、過去の分析であったり小規模事業者が行うにはあまりにも非現実的で空論に近いものが多いからです。
また果たして「ブランド戦略」といいますが、「これが戦略なのか?」という疑問すら覚えるものも多数あります。
さて小規模事業者の「ブランド戦略」を考えるとき、過去の多くの失敗例はブランドを意図的に作っているということがあげられます。
そもそも「ブランド」とは何でしょう、一つ言えることはブランドはメーカーによって一方的に作り上げるものではなく市場によって作られるものでなくてはならないのです。
それは、消費するエンドユーザーであり販売を行う販売代理店によってです。
少なくても一般に行われているような、マーケティングによって商品コンセプトを考えロゴを作ってデザインを起こして広告を行い販売することがブランド戦略ではありません。
多くの失敗例は、上記の一連の行動によって現場や営業が間違った目的を作り出し更にはそれを行うことで間違った結果を得てしまうことにあります。
そして全てが一瞬にして終了してしまうわけです、本来の最大の目的を完全に見失ってしまっています。
結果、あれだけ多くの時間とお金を費やしたのに「何故売れない?」というストレスと、当然のこと大きな在庫損失を抱え込んでしまいます。
この時代は、冷静に真の「ブランド戦略」を考え実行しなくてはいけません。
ブレイクスルー思考とは、プラス思考の単純な都合の良い前向きな発想に対して障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものだとして、それを乗り越える思考法をいいます。
しかし、大手企業の組織運営上は良いがベンチャー企業や中小企業においては良いことだけを見ていては経営はできません、私が違和感があると感じる最大の理由です。
ただ一言でも、「どういう立場の人向けの思考である」ということを最初に謳っていただけていれば問題ないと思うのです。
また繰り返しになりますが、大企業での課内単位で行うには短期的目標達成には大きな成果が出るかもしれません。
しかしベンチャー企業や小さな組織でこれを用いると更に一つ大きな懸念されることがあります、それは「良い子は育つが強い子は育たない」ということです。
大企業では良い子は成果を発揮できますが、ベンチャー企業や中小企業では良い子ばかりが集まっても成果を出す前に会社がいざというときに持たない可能性があります。
ベンチャー企業や中小企業に必要な人材は、あくまでもいざという時に踏ん張り必ず成果につなげる強い社員です、決して「優秀な社員」ではありません。
ベンチャー企業や中小企業にとって重要な人材とは、都合よいときに普通に成果を上げる社員ではなく、非常事態に成果を上げつつ苦しい状況下でも最後まで踏ん張れる逞しい社員が必要なのです。
企業価値とは平和なときではなく非常事態のときに真価が問われるのです、危機を何度も潜り抜け成長し10年以上も同じ事業で営んでいる企業は何故潰れないのでしょうか?
そして、どんなに苦しい時でも銀行や社員は何故見捨てないのでしょうか?
理屈や計算で解けないものを認められない人はこの謎は一生解くことはできません、企業に真に重要なものとは頭ではなく心で感じ取らなければ解らないものなのです。
何故だか解りますか?
企業とは人によって作り上げられた組織であり法の下での「一人の人格者」なのです、「法人」という言葉を心で感じ取っていただきたいと思います。
「ブレイクスルー思考」とは、プラス思考の単純な都合の良い前向きな発想に対して障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものとし、障害となるべき物を乗り越える思考法をいいます。
著書などではその具体策述べています、これを簡単にまとめると以下のようになります。
・迷ったときはワクワクできる方向を選択する。
・全ての事象には意味があるものとし順調な試練と考え無条件に信じる。
・嫌な気分になることは放置する。
・トラブルは全て順調であるとする。
・出会いには全て意味があるものとする。
・落ち込まないために期待しない。
・「しなければならない」から「するにこしたことはない」の発想に変える。
・自分に解けない問題はないと信じる。
・自分なりの発想を持ち、それを大切にする。
・具体的方法として「自分が成長すること」・「再出発すること」で非常事態を潜り抜ける。
また前回私の意見として、上記から組織を構成する要員ならよいが経営者や組織をまとめる人には危険だと言ったことをもう少し説明すると、経営者においては以下のような問題点が見つけることができるからです。
・重要な経営課題が本質を認めないまま刷り替わる可能性が極めて大きい。
・状況を素直に把握できずに危機管理上の問題がある。
・大きな障害が何故起きたのかの本質を見抜けず危機回避を行えない。
つまり、良いことだけを見ていては経営はできないということです、これが私の違和感の最大の理由です。
最後にもう一度言いますが、大手企業の組織運営上は目標達成などに有効と思えるのですが、ベンチャー企業や中小企業ではどうでしょうか?
これらから勘案して、経営者がブレークスルー思考では危険であると思えてならないのです。
「ブレイクスルー」という思考が若き経営者を席巻した時代がありました、「ブレイクスルー思考」とは簡単に言うとプラス思考の単純な都合の良い発想に対して、障害となるべきものへの因果関係を自分にとって価値の有るものだとして乗り越える思考法をいいます。
ただ各種の書籍を読んでみて違和感を感じるのも確かです、しかしこれは私の感性からの一つの意見ということをまず申し上げておきます。
つまり「ブレイクスルー思考」を否定するものではなく、発展させたいという願いも含まれていると考えていただければ幸いです。
さて、「ブレイクスルー思考」では発想法として「決してどのような状況でも悪く考えない」ということが述べられています、都合の悪い情報は無視することで向上的意識を高めていくというものでスピリチュアル的な意味合いも含まれています。
私の意見というのは、この「ブレイクスルー思考」の利用範囲として例えばある組織の目標を達成させるという点などに限定的に用いることは有効性を発揮すると思います、つまり組織を構成する要員に対して一時的に用いることは何の問題はありません。
しかし組織をまとめる経営者や役員など、判断や決定を行う人がこの「ブレイクスルー思考」をそのまま実践すると極めて危険であると考えます。
情報や状況に対して良いとか悪いと思うこと自体がそもそも間違っているのです、全ての状況は自己を成長させるための試練であり全て自分の行動によって引き起こされた結果です。
したがって、責任という意味でもそれをまず認めることが冷静に状況を把握しベストな決断を行えるものと考えています。
その意味で、私が自ら実践しているのは「ブレイクスルー思考」ではなく「肯定思考」なのです。
「肯定思考」とは、正確に起きた事実を認識し認めることで次の段階の軌道修正を積極的に行う思考をいいます。
組織をまとめる責任ある立場の人は、組織を構成する要員に関しては「ブレイクスルー思考」の推奨を自らは「肯定思考」で責任ある立場を全うしていただきたいと願うばかりです。
世の中には様々な情報が溢れています、それをどう捉えるかはそれぞれの自由です。
ただ、自分の立場・責任・状況をしっかり「肯定思考」で把握してから取り入れるなり無視するなりの決定を行っていただきたいと思います。