伊東久雄

時間が有るがお金が無い。

お金が有るが時間が無い。

どちらもアンバランスで不幸な状況である。

時間とお金には陰陽が逆転する利害関係が存在する。

つまりバランスを取るならどちらも有るか無いかが幸せだ。

時間が無くてお金も無いなら工夫して必死に頑張れる。

時間が有ってお金も有るなら悠々自適に暮らすが善い。

「静」の中に「動」が在り、「動」の中に「静」が在る。

物事の表面の動きを見ているだけでは、

真実もその本質も永遠に解らない。

表面に見えていないところを、

どこまで見極められるのかが大局観の眼。

将棋は盤上だけを見ていては勝てない。

双方の持ち駒と相手の心理を読むことが重要である。

同様に、ビジネスは人間関係で成り立つもの。

大局観の差が勝敗を決めると言って過言ではない。

「思ったように物事が進まない」

ビジネスではよくあることだ。

アクセルを踏み込むが何とも動かない停滞感と焦燥感、

そして思考のエネルギー消耗は厳しいものがある。

物事が動かないときは誰かがブレーキを踏んでいるからだ。

その者の都合とスピード感覚で物事を動かしているから。

意外やブレーキを踏んでいる者は自分のすぐ近くにいる。

負の人が放つエネルギーは極めて大きい。

周囲の全てが負の連鎖に陥っていくのであるから。

その証拠にその人がいなくなった瞬間、

フワッと軽くなり全ての事象がスムースに動き出す。

「良い波が来ている」

「悪い波が押し寄せている」

「波」の動きを観る肌感覚は、

あらゆるシチュエーションで凄く大事なことである。

でも、本当に重要なのは「波」を感じることではなく、

正しい「流れ」に乗っているのか否かということだ。

どの方向へ向かっているどんな「流れ」なのかが、

「波」の存在よりもはるかに重要な事項である。

目指す理想郷へのゴールへ、

最短で向かう「流れ」を掴んで乗ることが肝要である。

意外と「波」は感じられても「流れ」を感じられる人は少ない。

全てにおいて重要なのは正しい「流れ」に乗った上で、

今現れている「波」をどう捉えて対処するかだ。

雨の日は好きではない。

でも晴れに変わる瞬間の空の光景は最高である。

雨はその光景を誇るために降るのではないかとさえ思う。

雨が止むのをひたすら辛抱強く待つ。

止まない雨はこの世には存在しない。

ビジネスもプライベートもこれとまったく同じ。

永遠に続く苦労も厄介な問題も存在しない。

陽光が差し込むのをじっと愉しんで待つがよい。