経済シンクタンク各社は景気予測を過去のトレンドから導き出しています、いわゆる経済予測3原則を基にした予測です、ここで景気を判断する材料は幾つかありますが重要な事項は3つです、それは「統計」・「ファンダメンタルズ」・「マインド」であり経済予測の三原則と呼ばれています。
「統計」は過去のトレンドから次の流れを予測する理論上の話しであり例外もあり完全ではありませんが指標としては充分としています、「ファンダメンタルズ」とは基本的状況や原理原則を指し紛争や災害あるいは政治的な動きなどの影響を世界規模で状況把握して予測するもので短期的な予測に関してはかなりの精度を発揮します。
最後の「マインド」は極めて有効な事項なのですが予測が極めて難しく一種の感性が求められる分野でもあり消費者の心理的な状況を指しています、もっとも読むのに難しいとされている「マインド」ですが長年かけた調査でシンクタンク各社は指標となる象徴を測るようにしています、これが実に理にかなっており面白いものがあります。
例えばイギリスのシンクタンクの指標では「女性のスカートの丈」などがあります、これは景気が良くなる数ヶ月前から丈が短くなってくるというものです、またアメリカでは「ビッグマックの売れ行き」があります、景気の良くなる少し前からビッグマックの売れ行きが上昇してくるというものです、日本では「景気が良くなる直前はスマートフォンやオーディオ家電でゴールド色がよく売れる」というもので私も長年オーディアマニアなのでこの指標にはなるほどと思っています。
こういった消費者の動向を自分なりに持っている人は強いと思います、私も幾つか持っていまして「タクシー利用率」・「居酒屋の客数と客単価」・「昼飯代の平均単価」・「家電量販店の売れ筋商品の価格帯」などです。
ただし重要なのはその時の状況ではなく方向性を示すトレンドにあります、どのように推移しているかという読みが重要なのです、つまり長期間に渡り同じカテゴリデーターを常に追跡している必要があるということです、何事も努力無しに成功することなど有り得ません、他者が寝ている間にもこういったデーターの収集に日夜勤しんでいるのです。
退化、これも一つの進化の過程である。
進化することだけが成長ではない。
コメント
人間は進化によって多くの能力を失った、しかしそれは脳の発達によって不要になっただけの話しである。
経営も同じで進化の過程で不要になったものは潔く捨てることが肝要である、人も物もノウハウも。
過去は過去、今は今。
どんな惨めな過去があろうが、
今が輝いていればそれは勲章という実績である。
コメント
評価されるのは過去ではなく常に今、どんな過去があろうが他者にはそれを検証することは不可能なのである。
過去の話しを持ち出しても今の徳にはならない、話をするなら今そして未来のことを語るべきだ。
誰でも自分を否定されたくはありません、嫌なことを避けたいがために結果的に自分の周りに「理解者」だけを置いてはいないでしょうか、間違いを指摘し修正のチャンスを与えてくれる人を周りに持たない経営者は世の中と会社が合致している時には上手くいきますが、世の中の流れに対して少しでもズレが生じた時点で一気に転落してしまう危険性があります。
上手くいっている時には危険なシグナルに目を向けることはなかなかできないものです、したがって将来確実にやってくる「災い」を考えないのが人間の都合良さというものかもしれません、企業の景況トレンドは確実に一定の周期でやってきます、これは誰が経営しても同様に訪れるのです。
良い時もあれば必ず悪い時もあります、その流れを事前に読んで経営方針を考えていかなくてはならりません、それが経営者の使命なのです、悪い状態に目を向けず自分を誤魔化しながら勢いだけで進んでしまって後戻りできないところまで行ってしまう愚かしさは誰もが持ち合わせている心の問題です。
それを見極め普段から戒めてくれる「ご意見番」や目の前の事実を正確に伝え修正のアドバイスを行う「参謀」を置くことは経営者としては必須事項とも言えます、周囲の意見を聞かず自分の思い入れや都合だけで方針を決定していては何れは「裸の王様」になってしまうのは至極当然の流れでもあります。
今でこそ販売中止になってしまいましたが過去ホンダが発売した新型軽スポーツカー「S660」が発売と同時にフィーバーしました、発売当初の販売店での試乗スケジュールは連日満杯で見るだけでもできない状況が続きました、予約だけでも1年待ちというホンダにとっては久しぶりの大ヒット商品となった新型軽スポーツカー「S660」ですが大ヒットの裏にはある秘密がありました。
それは「らしさ」の追求です、ホンダはこれまで長年顧客第一主義として多くのお客様の要望を聞き商品化してきました、しかし低迷にあえぐホンダは昔のような「強いホンダ」を取り戻すべく企業改革に乗り出したのです、それが社内公募という形を取りグランプリに選ばれたのがこの「S660」に見る軽スポーツカーだったのです。
提案者は当時26歳の入社4年目の技術者でコンセプトは「自分が乗りたい車」でした、そして26歳の若手技術者は本部長権限を持つプロジェクトリーダーとなり20代・30代の技術者15名を社内公募によりチームを結成し開発にあたったのです、ホンダのこの大ヒットの裏に見る顧客の意見ではなく開発者の独断による商品化は世の中の風習とは逆を行くことで大成功を収めたのです。
忘れてはいけません、ベンチャーや小規模企業は企業の存在価値を出していくべきであり経営者の「自分らしさ」の追求に他なりません、世に溢れる成功書にある「顧客第一主義」とは大手企業が考えることであってベンチャーや小規模企業はあくまでも「自分らしさ」の追求を行っていただきたいと思うのです。