2021年10月16日 00:00
動物界・植物界での代表的な「片害共生」の例をお話ししてきましたが、今回は相手に一方的に害だけを与えるという「片害共生」の菌類での代表的な例についてお話ししたいと思います。
その菌類の「片害共生」の代表例は、農家や生花生産者にとっては最大の厄介者である「ウドンコ菌」という植物に大きな被害を齎すカビに似た菌類です。
私も、ベランダ菜園でこの「ウドンコ菌」によって栽培していたハーブなどを一瞬で全滅させられたことがあります。
その「ウドンコ菌」がどこから飛んできたのかはすぐ解りました、それはマンションの周りに塀代わりに植樹されたアオキという樹木からでした。
その年は暑い夏で、あっという間にすべてのアオキが「ウドンコ菌」によって葉が真っ白になり枯れ落ちてしまいました。
このように非常に繁殖力のある菌で、一つの株に発生するとその地域全体の野菜などがあっという間にやられてしまうことも珍しくはありません。
また、薬物にも強く野菜では強い農薬を散布しなくてはならず、無農薬を謳っている農家では一旦発生すると全滅を余儀なくさせられます。
では、何故これほどまでに強力な生命力を持っているかと言うと、それがこの「ウドンコ菌」の生体メカニズムそのものにあったのです。
「ウドンコ菌」は、植物に胞子が着床するとすぐに菌糸を伸ばし植物の表皮から細胞膜を破り細胞内から栄養を直接吸収します。
したがって、表面だけに薬品を散布しただけでは細胞内に入り込んでいる為に全滅させることは困難なのです。
菌糸を伸ばすのが極めて早く、次々と植物の細胞を壊していきあっという間に枯らしてしまうのです。
他のカビのように葉の表面に貼りついているだけではないので拭いても取れません、したがって早期に発見して株すべてを消却するしか防ぐ手は無いのです。
ここでは「片害共生」という植物が一方的に害を受ける例として取り上げていますが、この生体メカニズムから植物に「寄生」する菌類としても考えられます。