2021年9月19日 00:00
地球生命体はある意味ではすべての生命体が何らかの関わりを持って生きています、それが生態バランスということになります。
さて、前回の「寄生」を「片利共生」として活用している猫のように、自身の都合によって相手を活用している共生の中の「片利共生」について更に触れていきたいと思います。
「片利共生」のよく知られた代表例は、グンタイアリの生態を一方的に利用する「オニキバシリ」です。
グンタイアリは他のアリのように固定した巣を作らず、名前通りに軍隊のようにジャングルの中を大行列を作り移動し通り道にいる昆虫や小型の爬虫類などを捕獲してはあっという間に食べつくしてしまいます。
卵を生み仲間を増やす2週間だけキャンプのように仮の巣を作ります、その巣は全てグンタイアリ同士が鎖のように繋いで作られています。
「グンタイアリが通った後には虫一匹残らない」と言われるほどに、その食欲と攻撃性は際立っています。
したがって、危険を察した昆虫はグンタイアリが来る前に飛び立ちます。
そこで、スズメ科の鳥類である「オニキバシリ」はグンタイアリの行列を遠目で見ては樹を渡りながら付いていくのです。
そして、グンタイアリの危険を察して飛び上がった虫を苦労無く捕獲するのです。
広いジャングルで虫を探し出すのは至難の業です、落葉の下や擬態を使って常に身を隠しているのですから。
「オニキバシリ」は、グンタイアリの行列が近付くと虫が勝手に飛び出してくる性質を見事に活用し、グンタイアリに付いて移動しながら餌を捕獲する方法を獲得したのです。
おそらくですが、「オニキバシリ」は何らかの方法でグンタイアリを探し出す能力を備えていると考えられています。
何故なら、こんな労することなく餌にありつける方法は他の鳥も同じようにすれば良いわけですが、これを実現している鳥は現在確認されているのは「オニキバシリ」と「アリドリ」の2種だけなのです。