2021年6月15日 00:00
「人は皆、ただ指し出るこそ良かりけり。 戦のときも先駆けし」
どんなときでもしゃしゃり出ては先輩家臣から煙たがられた秀吉が、先輩家臣へイヤミたっぷりと込めて放った一言です。
当時の武士道には「先輩への配慮」がマナーとして浸透していました、しかし秀吉は「混乱の世にあって武士のしきたりなど意味が無い」とばかりに、「天下統一の実現」を大義名分とし我先の行動を起こします、これが混乱の時代を制する天下人の成功の秘訣でした。
戦国の世はそれまでの平穏とは一変し短期間の混乱と変化の時代です、まさに現在のITが齎したデジタル革命の破壊力と同様の「大変化の時代」と酷似しています。
AIよろしくデジタル化全盛を迎える今日は明日何が起きるか解りません、こんなときに過去の事例も常識も何の役には立たないのです。
兵法三十六計にいう「反客為主」(はんかくいしゅ)、「他者が主導している事において、一向に成果が上がらないのであれば、大義名分を以ってその人に代わり自分が主導者となる」という教えです。
逆に言えば、トップは常に成果を上げ続けることができないとすれば自ら潔く他者にその地位を譲ることです、これもトップの責任として重要です。
それをしなければ、ついてくる者が不満や不安を抱え何れはその組織は崩壊してしまいます。
地位と既得権にしがみつくばかりで周囲の人達に利益を齎せないのであれば、仲間が反乱を起こしその地位を奪ったとしてもそれを咎める理由もありません。
混乱の世の真っただ中にあっての「善き夢を見するがな」、これも秀吉らしい名言の一つです。
混乱と大変化の時代は「保身に入り挑戦を諦めた人から淘汰されていく」、いつの時代も同じなのです。
保身に入った人を幹部として雇う人もまたいません、最も危険な行為は「安全な場所を確保する」行為なのです。
守ろうと思えば守れない、真の守りとは「時代に逆らわず自らを犠牲にしてまでも、変化についていくチャレンジ精神」から生まれるのです。