2021年6月11日 00:00
「この度のひょうたんの相印、面白き趣向である。 とりわけ味方の吉事なれば、この後の例として馬印に用いるべし」
織田信長「太閤記」に記されている羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)に対して、織田信長が贈った温かい一言です。
ひょうたんの馬印は秀吉には欠かせない物でした、その起源が稲葉山城攻略の際の秀吉が考案した味方同士の相印に用いたひょうたんでした。
その後、織田信長から冒頭の言葉のように提案が出せれ、その日以来秀吉は結果を出す度に馬印のひょうたんを一つずつ増やしていき、数年後には文字通り千成ひょうたんのようになったといいます。
鬼のように表現されている信長ですが、実は各書に記された文章からは庶民の生活を自ら常に見て回っては改善の提案を行い、心を寄せる家臣には熱い情を注いでいます。
志高き人にとって心の拠り所となるお守りや揺るぎない信条は、いつの時代も重要なものです。
どんな人でも鬼ではなく人の子です、他者ではなく天や神に救いを求めるのは当然のことかもしれません。
抱えきれない重圧を癒してくれるものがなくては、平常心を保つのは極めて難しいものです。
大事を成そうとする者は他者には一切の弱音を吐くことはしません、それは自身の志が揺らいでいることを周知させてしまうことを知っているからです。
もしも弱音や愚痴を吐くなら、人間以外の動物か物に対してのみに留めるべきかも知れません。