
ミョウガは「花蕾(つぼみ)」を食べ、茎のように見える部分は「葉」の集合体という、非常にユニークな構造を持った植物であり、さらに名前の由来に仏教にまつわる有名な物忘れの逸話があります。
お釈迦様の弟子に「周利槃特(しゅりはんどく)」という人物がいました。
彼は自分の名前すら忘れてしまうほど物忘れが激しく、お釈迦様が哀れに思い自分の名前「周利槃特」を大きく書いた旗(のぼり)を背負わせましたが、彼はそれをかけたことさえ忘れてしまうほど物覚えが悪いまま死んでしまいました。
その後、彼のお墓から見慣れない草が生えてきたので「名前を荷っていた」彼にちなんで、その草は「茗荷(みょうが)」と名付けられました。
このことから「茗荷を食べると物忘れがひどくなる」という俗説が生まれたわけです。
しかし、周利槃特はお釈迦様の教えに従い「塵を払わん、垢を除かん」という聖語を繰り返し唱えながらひたすら掃除を続け、最終的に悟りを開いた阿羅漢(あらかん)となった非常に有名な高弟の一人でもあります。
※阿羅漢とは仏教の修行の最高段階に達した聖者のことで「煩悩を断ち切り、悟りを得た人」を意味します。

↑ 収穫の一部
「ミョウガを食べると物忘れがひどくなる」という俗説にもちろん科学的根拠はなく、むしろ香り成分には集中力を高める効果があると言われています。
このほかにも音の変化説による名前の由来があります。
日本には古くから香りの強い植物としてショウガとミョウガがあり、
香りの強い方を「兄香(せのか)」→ショウガ
香りの弱い方を「妹香(めのか)」→ミョウガ
これが転じて現在の呼び名になったという説もあります。
そういえば、丸ノ内線に「茗荷谷駅」がありますが、その名の通り江戸時代初期にこの近くの地域でミョウガが多く栽培されていたことから茗荷谷町(みょうがだにちょう)と付けられた町がありました。
現在ではこの地域でミョウガの本格的な栽培は行われておりませんが、拓殖大学文京キャンパスの脇の小さな畑で栽培されているそうです。
構造も歴史的にも魅力的な植物です。

代表の本丸やオフィスの日陰のあちこちに自生?している多年草です。
代表は子供のころから慣れ親しんだ薬味で珍しくもなく淡々としておりますが、薬味好きの女子社員たちは大喜びで帰って何を作ろうかなんて会話しているので、こちらもその気になってミョウガ林に頭を突っ込んでサクサク収穫に励んでいます。
日本人の食生活に古くから根付いている香味野菜ですが、植物としての構造は少し特殊的です。
草丈は40cm〜100cm程度で直立して群生し、夏場には大人の腰の高さほどまで成長します。
根は地下に地下茎(ちかけい)と呼ばれる茎を横に這わせ、これが根のように見えますが実際には茎の一種です。
この地下茎からひげ根を出しさらに新しい芽を出して繁殖していき、一度植えると地下茎が伸びて広範囲に広がっていく強い生命力をもっています。
また、地上に見えている緑色の茎のような部分は植物学的には「茎」ではなく偽茎(ぎけい)といい、葉鞘(ようしょう:葉の付け根)が幾重にも重なり合って筒状になったものです。
葉は長さ20〜30cm程度の細長い楕円形(披針形)をしていて偽茎から互生(互い違い)に出ており緑色が濃く表面は滑らかで葉自体にも特有の芳香があります。
草刈りをしていてミョウガを刈るとすぐにわかります。
ショウガの葉とよく似ていますがミョウガの方が葉の幅がやや広く葉の裏に毛がないなどの違いがあります。
花ですが、普段「ミョウガ」として食べている赤い部分は実は「花穂(かすい)」と呼ばれる花のつぼみの集まりで地下茎から葉とは別に地上に顔を出します
この花穂の鱗片の間から淡いクリーム色(または白)の繊細な花が咲きますが一日花(いちにちばな)であり咲くとすぐにしぼんでしまい、市場に出回るものは開花前のつぼみの状態がほとんどです。
実をつけることは非常に稀で、受粉に成功すると秋頃に白い果肉の中に黒い種子が入った実ができ熟すと赤く裂け独特の見た目になりますがほとんど見かけることはありません。
一般的には地下茎で増えるため種子を作る必要性が低い植物です。
なお、ミョウガタケは春から初夏にかけて日光を当てずに軟白栽培した若い偽茎の部分を食用にします。
学名:Zingibermioga
分類:ショウガ科ショウガ属
収穫時期:夏ミョウガ 6〜8月 やや小ぶり
秋ミョウガ 8〜10月 夏ミョウガより大きく、色も鮮やかで香りが良い
続く・・・

代表の本丸のプラムの木の下やオフィスの庭に群生しています。
草丈は30cm〜1m程度で日本各地の山野や湿地帯に自生し、古くから親しまれてきた山菜で、日陰でもよく育つ生命力が非常に強い雌雄異株の植物です。
花茎は開花後に伸長し20〜30cmになり、雌株ではさらに伸びて30cm以上になります。
茎は地上には伸びず地下茎として地中を横に長く這って広がり、これが増殖させる主な器官ですが有毒なため食用にはできません。
葉は地下茎から直接伸びる葉柄(ようへい)の先に展開し、この葉柄が一般的に「フキ」として食用とされる部分です。
葉身は腎臓状円形で直径は15〜30cmにもなる大型で裏面には綿毛が生え銀白色を呈します。

2~4月にかけて春の訪れを告げる味として天ぷらや和え物で楽しまれるフキノトウ(蕗の薹)は花のつぼみです。
代表のオフィスの庭の岩陰からひょっこり顔を出しました。
カリウム、カルシウム、食物繊維などの栄養が豊富で苦味成分としてポリフェノールの一種であるクロロゲン酸を含んでおり、これは細胞の突然変異を抑制する作用があり抗ガン作用が期待されています。
学名:Petasites japonicus
分類:キク科フキ属
開花時期:2~4月

誰でも知っていて全国至るところで普通に見られる植物で、代表のオフィスにも本丸にもいたるところに見られます。
草丈20〜50cm程度で白い地下茎が地下に細長く横に這い盛んに枝分かれして広がり、ご存知の通り繁殖力が非常に強いです。
よく観察すると地上茎は高さ20〜50cmで直立または斜上し、無毛または有毛で汚紫色を帯び分枝します。
4〜8cmの葉はハート形で先端は短く尖り茎にまばらに互生し葉脈や葉の裏が赤紫色を帯びることもあります。
葉は揉むとドクダミと瞬時で分かる強い独特の臭気があります。
花は花弁も萼も持たない極めて小さな裸花(雄しべと雌しべのみ)が、茎の先端に長さ1〜3cmの穂状花序として密集してつきますが、本当の花はこの穂の薄黄色の部分となります。
白い花びらのように見えるのは、総苞片(そうほうへん)という葉が変化したものです
実は花後に亜球形のさく果(熟すと裂開する果実)ができ、熟すと上部が裂開し微細な種子を放出します。
種子は褐色の卵形で長さ約0.5mmで日本のドクダミは受粉せずに種子を作る(無融合種子形成)と考えられています。
強い生命力と独特の香りのためハーブや漢方薬として世界的に利用されていて、ドクダミという名前から毒があると誤解されがちですが毒を抑える(矯める)という意味の「毒矯め(どくだめ)」が語源とされ、強い毒性はなく、むしろ、生薬として利用されます。
葉を乾燥させたものは「十薬(じゅうやく)」と呼ばれ、利尿作用や便通を整える効果、抗菌作用などがあり古くから民間薬として利用されてきました。
学名:Houttuynia cordata
分類:ドクダミ科ドクダミ属
開花時期:5~7月

世界中で愛され、その優雅で美しい花姿と甘く濃厚な香りが特徴の誰でも知っている植物。
代表の本丸の庭やオフィスの裏に突如芽生え、可憐に咲いています。
球根植物で鱗片(りんぺん)が重なり合ったような独特な形をしていて食用になる品種もあります。
茎は紫赤色を帯び高さが2m近くになるものもあり、平滑又はパピラ(乳頭状の突起)があります。
葉はまばらにつき、線形から狭披針形です。
花の形は、ラッパのような筒状、花びらが大きく反り返る反転、花びらの基部が透けて見える盃状などがあり、咲く向きも、上向き、横向き、下向きと多様です。
白、ピンク、黄色、オレンジ、赤など多彩な色があります。
特に、カサブランカなどのオリエンタルハイブリッドは、その豪華さと香りで人気です。
花びらは6枚に見えますが、外側の3枚は萼(がく)が花びらのようになったもので、内側の3枚が本来の「花びら」です。
日本には、ヤマユリやササユリ、テッポウユリなどが野山に自生しており、古くから愛され、庭植え、鉢植え、切り花に加え、ゆり根を食用にするなど、さまざまな楽しみ方があります。
晩夏に咲くタカサゴユリは台湾原産ですが、日本の道端などで旺盛に繁殖しているのをよく見かけます。
ユリはすべての部分(花、葉、茎、花粉、花瓶の水など)に毒性があり注意が必要です。
学名:Lilium
分類:ユリ科ユリ属
開花時期:5~8月