2025年12月14日 09:00
代表のオフィスの石の下から可愛らしく小さな葉が姿を現しました。
「あれ?ユキノシタではないか?」
と眺めていると、代表が
「ユキノシタが出てきてきた!!」
と、喜んでおられます。
このオフィスの庭の環境からユキノシタがありそうな感じではあったので代表が物件購入直後、
「ユキノシタはあったか?」
と私に確認されましたが当時は見当たらなかったので残念に思っておりました。
ところが約半年後、代表の意思に応えるようにこっそりお目見えしました。
草丈は花茎を伸ばした時(開花時)に20〜50cm程度になります。
根・根茎は地面に張り付くように広がり木質化した幹や枝はなく草本の多年草です。
イチゴのように根元から細く赤い糸状の走出枝(そうしゅつし)いわゆるランナーを伸ばしその先に子株を作って増えていきます。
※走出枝:親株から地表を這うように伸びて先端や途中の節から新しい芽や根を出し子株を作る茎のこと。ランナーや匍匐枝(ほふくし・ほふくけい)とも呼ばれ親株から切り離して繁殖させる栄養繁殖(ランナー繁殖)に利用されます。
学名の種小名(しゅしょうめい) stolonifera は「匍匐枝を持つ」という意味です。
葉は根生葉(こんしゅつよう:根元から生える葉)で長い葉柄を持ち葉身は円形に近い腎臓形でやや多肉質でロゼット状に広がります。
葉の両面に長短の粗い白毛が密生し表面は濃緑色で葉脈に沿って灰白色の斑(ふ)が入るのが大きな特徴で、裏面はアントシアン色素による暗い赤紫色を帯びています。
花茎は株の中心から伸ばしその上部に円錐花序をつけ、左右相称花で5枚の花弁を持ちますが大きさが異なります。
上側の3枚は小さく色は淡紅色〜白色で濃紅色の斑紋と基部に黄色の斑紋があり、下側の2枚は雪のように白く細長く大きく伸びるのが非常に特徴的で、雄しべは10本雌しべは2本あります。
実は開花後に長さ4mmほどの卵形の蒴果(さくか)を結び、先端は2個のくちばし状になります。
「ユキノシタ(雪の下)」の和名の由来には諸説あります。
・葉が常緑で冬に雪に覆われても青々とした葉を保つことから、「雪の下でも枯れない」という説
・白い花を雪に見立てその下に葉がある又は葉の白い斑を雪が積もった状態に見立てたことから、「雪と葉の対比」による説
・白く長く伸びた下側の2枚の花弁を雪のように白い舌に見立てたという「雪の舌(ゆきのした)」説。
学名の由来もなかなか面白いです。
属名の Saxifraga はラテン語の「saxum(岩)」と「frangere(砕く)」の複合語で、岩を砕いてまで生えるや岩の結石を溶かす薬効があると信じられ、岩の割れ目などに自生することに由来します。
種小名 stolonifera はラテン語で「匍匐枝を持つ」という意味で株元から走出枝を伸ばして子株を作る性質に由来します。
日陰や湿った環境を好む常緑の多年草で、日陰のグランドカバーとしてだけでなく、葉を天ぷらなどの山菜として利用したり、民間薬(火傷や虫刺されなど)としたり、食用や薬用としても古くから親しまれてきた植物です。
学名:Saxifraga stolonifera
分類:ユキノシタ科ユキノシタ属
開花時期:4月〜6月