伊東久雄

リスクとは何かを得た瞬間に生まれるもの。

資産や家を持てば失うリスク。

会社を創立すれば倒産のリスク。

善き縁での出会いは離別のリスク。

何かを得れば必ずリスクも付いてくる。

では何も得ないことがリスクヘッジなのだろうか？

否、最も大きなリスクが付いてくる。

それは「人生をつまらないものにする」というリスクだ。

これほど極めつけの最大のリスクは他にない。

現在は世界共通の「二極分化の時代」である。

その格差は更に今後も広がるばかりである。

二極分化の時代とは、

何かを選択した瞬間に何かを失うことになる。

こんな時代には「何も選択しない」というのも、

選択の一つであることを忘れてはいけない。

それが「中庸」という究極の思想である。

両極でもなく中間でもなくどの極にも属さない。

どちらも選択しないというもう一つの解。

黒でも白でもなく、どちらにも属さない透明。

イエスでもノーでもなく、ノーレスポンス。

極めれば究極の生き方がここに在る。

何者にも侵されず自分流で生きられる中庸人生。

雲の上は常に晴天のまばゆい世界。

陽光を遮る雲を取り除けば明るい世界がそこに在る。

光を遮る雲が悪者なのではない、

見方変えれば暑さを抑えてくれる存在なのだから。

何よりも常に神秘的な景色をもたらしてくれる。

偏った思考に新たなる閃きをもらたしてくれる。

問題解決の大きなヒントを与えてくれる。

見方一つで悪が善に、善が悪に変わる。

森羅万象、全ての事象も人も同様に。

人も企業も進化を止めた途端に衰退する。

「不満が無いから現状のままでよい」、

そんな安定志向な大義名分が衰退の始まりとなる。

「不満が無い」というのは変化を嫌う確固たる証拠。

変化とは一時的な進化もあれば退化もある。

一時の退化も変化の過程で進化に変わる。

変化し続ければ活気が生まれ人もお金も動く。

進化するには不満が無い現状を不満に感じることが肝要。

「今の状況に一旦満足する、ただし人生には満足しない」、

これが進化し続けるための基本姿勢である。

孔子論語、様々に表現されている人間力の教本。

多様なシチュエーションで表現されてはいるが、

一環として共通事項はたったの一つである。

教育とは教える者の方針ではなく、

すべてが学ぶ者の姿勢であるということである。

どんなに気持ちを込めようが、

それは教える側の都合に過ぎない。

学ぶ者が学ばなければ「馬の耳に念仏」である。

学ぼうとする姿勢があれば必ず学びを得られる。

「学ばなければならない者ほど学ばない」、

これだけは今も昔も変わらない事実である。