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1980年代に起こったスピーカー598戦争(1台5万9800円、セットで約12万円)は、オンキョーのD-77の発売によって勃発しました。
そんな激しいミドルクラスのスピーカー598戦争ですが、その裏でも別の598戦争が水面下で繰り広げられていたのです。
その裏の598戦争とは、1988年に勃発したCDプレーヤーの598戦争でした。
この年の5万9800円のCDプレーヤーを一気に列挙してみましょう。
ついでと言ってはなんですが、それぞれの製品の要であるDAC仕様も調べましたので合わせて紹介しましょう。
・ソニー CDP-228ESD バーブラウンPCM58P(モノラルDSPを左右分離で使用)
・ケンウッド DP-7010 バーブラウンPCM58P(モノラルDSPを左右分離で使用)
・ビクター XL-Z521 バーブラウンPCM56P+2bitディスクリートDAC
・パイオニア PD-717 アナログ・デバイセスAD1860N-J(モノラルDSPを左右分離で使用)
・テクニクス SL-P777 松下電器MN6741(独自の1bitマッシュ方式)
さて、その後CDプレーヤーやユニバーサルプレーヤーで名を馳せるデノンはCDプレーヤー598戦争を他所に6万円ジャストの値付けでマイペースな製品作りをしていたのは面白いです。
アンプ798戦争やスピーカー598戦争、そういった世の流れには翻弄されずのこの我が道を行くという姿勢は立派です。
今となってはですが、どの業界でも他社動向に翻弄される企業よりもマイペースに進めていた企業がバブル崩壊後に拡大成長していった、この事実は事実として記憶してほしいと思います。
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数多い日本のオーディオメーカーですが、その中で憎いほどに消費者を誘導する戦略を繰り出すメーカーが在ります。
アンプではヤマハとマランツであり、スピーカーでは90年以降のオンキョーです。
マランツは、80年代後半辺りから各社よりも性能を強化しているものの一段価格を落としたアンプを継続的に多数出しています。
これに合わせて価格の張る上位機種も出します、価格が安くて高性能に踊らされて買い、更に買ってからアップグレードしようと考えるもやはり上位機種もマランツを選んでしまうような価格設定をしています、本当に憎い程の戦略を繰り広げているのです。
ヤマハは逆に70年代から高性能なハイエンドやミドルクラスを先ず先に出し、それと同じエッセンスを詰めたエントリークラスを次に投入するのです。
消費者をハイエンドクラスで一旦引き付けておいてのエントリークラスの投入、これによって入門者を一気に引きつけることに成功します。
オンキョーは、90年代に入ると小型ブックシェルフスピーカーでこれでもかというくらいにエントリークラスからミドルクラスまで細かくシリーズ化し、どのクラスを買っても後悔しない音質を提供しました。
アップグレードの要求とサブシステムの要求を満たし、多くのファンを引きつけることに成功したのです。
私もこれにまんまとハマった一人で、たった1台の小型ブックシェルフでオンキョーファンになったくらいです。
そして、その後はアップグレードの上位機種もサブで使う下位機種もダイヤトーンではなくオンキョーを選んでしまうのです。
「策多ければ勝ち、少なければ負け」、戦国時代に名策士と謳われ毛利元就を自らの死後までも大いに苦しめたことで知られる、出雲の名武将である尼子経久が自身のポリシーとした兵法の極意です。
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70年代~80年代のミドルクラス以上のアンプには、フォノ入力でMM/MCという切り替えスイッチが付いています。
エントリークラスのアンプには単にフォノしかありません、切り替えスイッチが無い場合は全てMM型と覚えておいてください。
MM型/MC型というのはカートリッジのピックアップ方式の違いで、MM型はマグネット方式、MC型はコンデンサ方式というものです。
マグネット方式はレコードの溝の信号を読み取った針によって稼動するマグネットがコイルの中に入っており、これによって起電させる方式で安価に製作でき一般的な方式です。
対して後から生まれたコンデンサ型は、平行に取り付けた金属片の間隔を溝の信号を読み取った針によって変化させることによって生まれる静電容量の変化を電気信号に変える方式で、MC型専用のイコライザーが必要になります。
つまり、MM/MCの切り替えスイッチが付いているアンプは、MM型とMC型それぞれの2種類のイコライザーが付いているということになります。
さて問題はその音質なのですが、MC型は繊細な音が要求される場合には必須で小さな音でもノイズが入りずらく高音質と言われています。
対してMM型は、ダイレクトに起電された信号を復調するだけなのでダイナミックな音だと言われています。
ただ、マグネット+コイルという機構は周辺に存在する磁気の影響を受けやすくノイズが入りやすいと言われています。
ただ、これも実際に実験してみるとMM型もMC型も大きな違いはないと実感できます。
私の持っているアンプが個性が強い物ばかりなのか、スピーカーのせいなのかは解りませんが、少なくてもエントリークラスの製品ではなくハイエンドのセパレートアンプにオンキョーのD-77MRXという3ウェイの大型ブックシェルフスピーカーで視聴した結果です。
平均的なMM型に比べて高価なMC型、いったいどんなジャンルのどんな音を追求している人が使うのだろうかと思うのは私だけでは無いでしょう。
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オーディオに限らず家電製品には、昔から「オープンプライス」という販売制度があります。
このオープンプライスというのは定価を定めずに小売店が自由な価格で販売できるというもので、メーカーにも小売店にも幾つかのメリットが生まれます。
メーカーのメリットは、新製品を出して旧型になり在庫処分価格で卸しても定価の表示が無いので小売店が価格を下げなければ在庫処分だということがバレることはありません。
小売店も在庫処分価格で大量に買い取っても、旧来の価格で販売できるので利益率が上がりメリットが享受できます。
ただし困るのがマニアです、マニアはデーターが重要でいつ発売されたのか定価は幾らだったかが重要なデーターであり、オープンプライスだと定価が解らないので中古で購入する際などに躊躇する傾向があります。
オーディオの中古市場でもこの傾向が明確に現れているのが解ります、定価を表示していない(できない)製品は大量に売れ残ってしまいます。
ヒット商品だったのかコストパフォーマンスの良い商品だったのかなどの情報を、定価と販売価格との差から計ることができないからです。
メーカーや小売店にとっては都合の良いオープンプライスという制度、オーディオマニアにとっては実に迷惑な制度だと思うのです。
そこでオーディオマニアが参考にするのが発売当時の実売価格という指標です、オーディオショップや量販店での実売価格から本来あるべき定価を導き出しているのです。
できないものはできる方法を策定する、どの分野においても前向きに取り組む人が勝者となるのです。
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オーディオ道楽復活で10年間の穴を埋めようと情報収集の日々ですが各種の面白い情報が多数得ることができました、その一つに以前にも増して70年代のビンテージオーディオ製品のニーズが高まっているというのがあります。
特に、過去から名機と謳われているアンプやスピーカーが中古市場で高騰しています。
驚くのは音の出ないジャンク品まで高騰している事実です、これらは海外の業者が修理して販売している裏事情があります。
現在の補修技術は凄いものがあります、ボロボロになったスピーカーユニットも新品と変わらないほど綺麗に補修されるのです。
こういった補修済みの名機たちは驚くほどの高値が付いています、私がビックリするのは当時の販売価格もかなりの高額だった商品が現在5倍もするものが存在しています。
デザインも古臭く、スピーカーエンクロージャーなどは50年の年月で臭いが染み込んでいるのもありますが、それでも高額な金額を払ってまで何故手に入れたいのでしょう。
答えはその当時の音なのです、その音を現在再現しようとしたら1から作り上げなくてはなりません。
それを手軽に再現でき払えるお金で買えるなら安いとまで考えるのです、こういったニーズはマニアは勿論のこと買い集めているのは新規創設のオーディオメーカーなのだそうです。
温故知新、「新しきを創造するには昔の名機に学べ」ということです、こういったことは何もオーディオだけではありません、日本の自動車メーカーも同じことでした。
海外の名車を買いまくっては分解して基礎技術を学ぶのです、こういった手法を「リエンジニアリング」といいます。
アナログ復活で突然のビンテージオーディオの人気、オーディオファンとしては歓迎すべきことなのでしょう。