超高額な所謂ハイエンドと呼ばれるオーディオ製品にあってスピーカーは何故か1本売りが常識化しています、2台1セットで使うオーディオスピーカーが何故1本売りされるのでしょうか、製品によっては左右対称のスピーカーもあり型式も違うので2製品を買って初めてペアで使えるようになります。
オーディオ初心者はスピーカーというのは2台1組のペアでの価格というのが当たり前で1本売りの製品の存在すら知らない人もいます、こういった人がネットなどで購入し「届いたら1本しか入ってなかった、詐欺だ!」と製品レビューなどで大騒ぎしています。
確かに私もそういった製品のネット販売の製品情報を見たのですが確かに1本での価格という表示は何処にもありません、ネット販売業者は騙しているわけではなくメーカーの品版と小売価格を表示しているにすぎません。
ネットに情報を上げる人は単純作業でやっているに過ぎず、オーディオに詳しい人なら誤解されるので一言入れようという発想もできるのですが、それは過度の期待というものでしょう。
やはり購入者は製品の情報をメーカーサイトでしっかり確認したうえで購入すべきでしょう、そもそもオーディオ製品はショップで音や製品を確認したうえで購入するのが当たり前でネットで購入するのはショップで確認した物だけにするのがよいかと思うのです。
こんな混乱を起こしながらも何故メーカーはハイエンド品を1本売りするのかですが根拠はしっかり有るのです、それはメーカー保障できないようなユーザー責任での致命的な破損をした場合に1本だけで購入できるようにしているからです、これが2本ペアなら無傷の1本が余ってしまうし不要なお金を使わせてしまうからという配慮からなのです。
例えば現在ではペアで50万円位のスピーカーから1本売りが散見されます、つまり1本が致命的な破損で購入する場合は25万円で済むということです。
ところでユーザー責任でのメーカー保障外の致命的な破損とは何かというと、それは子供やペットにユニットを凹まされたり破られたりした場合が殆どです、また引っ越しの際に落としてしまいエンクロージャーに大きなヒビや割れを作ってしまった場合などです。
みなさんはオーディオのブランドをあげてみて下さいと言われたときに、名前をあげるトップ3ブランドは何でしょう?
私の世代の人であればスピーカーでは圧倒的にJBL・タンノイ・アルテック・ダイヤトーンなどで、アンプで言えばマッキントッシュ・マランツ・アキュフェーズ・ラックスマンなどではないかと思うのです。
ところが若い人に聞くとBOSE・ソニー・パナソニック・パイオニアなどの名前があがります、時代が変わるとその時代に代表されるブランドも変わってくるのだなと実に興味深いです。
ところで国が変わるとこれも面白い結果となります、例えば現在ヨーロッパで日本のオーディオメーカーをあげてもらうと、日本ではあまり名前があがらないオンキョーやヤマハの名前があがってきます。
アメリカではティアックやナカミチなどです、昔のテープデッキ時代に世界を一斉風靡した日本のオーディオブランドがいまだにあがるのです。
またアメリカでのオーディオマニアへのアンケートで最も名前があがったブランドはB&O(バングアンドオルフセン)というデンマークのオーディオメーカーで、2位はアメリカのBOSE、なんと3位は日本のナカミチだったのです。
現在ではアメリカにおいて最もブランド力を誇るのはクリプシュやBOSEであり、JBLやマッキントッシュは過去のメーカーになってしまった感があります。
また日本のメーカーなのに日本ではあまり人気がなく海外では大人気を博しているのがオンキョーやケンウッドです、東南アジアではソニーがいまだに根強いです、日本では見かけない海外バージョンの製品が至る所で見ることができます。
時代や国が変わればブランドも変わる、その時代や地域に根付く価値観とは本当に面白いです、何故そのブランドなのか、時代とその地域の文化と合わせて考えると納得する答えが見えてくるのです。
近年ネット上に何かと話題を振りまいている日本で設立されたオーディオメーカーがあります、地方都市の畑に囲まれたガレージのような工場で製造される純国産のオーディオメーカーですが、その製品が悪い意味で話題となっているのです。
その理由はケースを開けたらすぐ解ります、ケースの中はスカスカで小さな基板とスイッチ類や可変抵抗が縦横無尽に引き延ばしたケーブルで接続されています。
フロントパネルに可変抵抗がナットで直接取りつけていて基盤が宙に浮いています、トランスや使用している部品はDIYオーディオ必達の極普及品の安価なものばかり、それでいて信じられない定価なのです。
ほとんどの製品が10万円を超えセパレートアンプではセットで20万円以上します、ざっくりとマニアが公開している写真で部品価格を出すとどう見ても数千円です。
開発コストや製造コストを考えても2万円がせいぜいでしょう、2万円といえばケンブリッジオーディオの日本限定販売のアンプが買える価格です、製品だけの価値から言えば日本一コストパフォーマンスが悪い製品群だと思います。
それでも買う人がいるのだから経営が成り立つのでしょう、なんと10年以上継続しているのですから。
それで問題ですが10万円以上の定価が付いているにも関わらず自社ネット販売では30%程度の価格で売っているのです。
これを見た人はメーカー直販なので在庫処分か何かで訳が有り安いのだと思うでしょう、そして高価なものを安価に手に入れたと大喜びする人もいるでしょう。
また、メーカーサイトには代表の顔入りでコメントが載せられています、こういった事実や私なりの検証をした結果、正直もの凄い怒りと悲しみが沸き起こります。
詐欺とは言わないまでも未来のオーディオファンを泣かせることはしないでほしいです、オーディオ製品は確かに物の価値ではありませんし音の価値です。
音が良ければ1万円の商品を100万円で売ったとしても何も法律的な問題にはなりません、とは言え物事には限度というものがあります、限度を超えたビジネスは既にビジネスではありません、そして世間から支持されない企業は何れ淘汰されると思います。
オーディオ関連製品は、昔から他の電化製品と異なり一種独特の中古市場が形成されています。
オーディオはその時代によって技術的な進化が激しく、更にその時代でしか使っていない回路や部品の音が聞きたいというニーズが昔から存在します。
そういった技術的且つ電気工学的価値が存在し、中古品でもオーバーホールされて発売当時の価格以上の高値で取引される製品も少なくありません。
オーディオ業界には修理専門の会社が多数存在しており、そういった会社は常に代替え不可能な部品の確保にジャンク品を中古市場で買い漁っています。
既にメーカーの存在すらないサンスイなどの製品はどのような状態であれかなりのニーズがあります、これらは中古ショップの依頼で新品同様に修理されてショップに並びます、伝説のスピーカーユニットやアンプは発売価格の数倍もする物まで存在しています。
そういったオーディオショップ独自の新品に近い状態にした価値のある中古品ではなく、買い取り販売だけのサービスやネットのオークションなどで個人間で取引される単なる中古品は要注意です。
アンプやスピーカーユニットは精密品です、埃や汚れでかなり劣化してしまいます、こういった見えない部分の汚れが写真だけでは解らないのです、買ってケースを開けたら埃だらけだった、虫の巣窟になっていた、線香の臭いが酷い、油汚れが酷いなどの苦情がネットに多数上がっています。
どうしてもその時代の音が欲しいという強いニーズがあるなら、確実にオーバーホールしてから販売しているオーディオ専門ショップで発売当時より高値であっても購入することです。
それ以外の理由で中古品は絶対に購入すべきではありません、買ってから後悔するのは何事も最も良くない結果を生むことになります、それこそ「溝に金を捨てるようなもの」です。
ひと昔前まではFM放送はレコードと合わせて重要な音楽ソースの一つでした、コンポを買うときには必ずといってよいほどアンプと共にFMチューナーを買ったものです。
それも、FMとAM放送を受信するためだけの製品であるにも関わらず結構な価格がしました。
ラックスマンやアキュフェーズなどは、70年代でも10万円以上した高級機種も珍しくありませんでした。
しかし、今の時代は面倒な手順を踏まずに手軽にネットからダウンロードして音楽を楽しむ時代になりました。
そういった理由からか、今ではFMチューナーをオーディオシステムに組み込まれることも少なくなりコンポーネントとして単体製品も少なくなりました。
そんな時代ですが、この頃はワイドFMが誕生しFM放送が見直され始めてきているようです。
ただし昔のようにFMチューナーではなくて、エントリークラスのアンプやホームシアター用のAVアンプにおまけの機能のような感じで付いているのです。
イマイマの時代は、デジタル化してFMチューナーも安価なLSI一つで高性能な機能のFMチューナーが簡単に組み込めるのでしょう。
最も安価なワイドFM付きのエントリークラスのアンプを探していたら、ソニーから2万円程度でワイドFM付きのフルサイズコンポのアンプが出ておりびっくりしています。
ソニーダイレクトで税抜き1万9800円、家電量販店では税込みで1万7000円ほどです、スペックを見てもひと昔前のミドルクラスのアンプと同程度なのです。
昨年、エントリークラスのアンプの性能を確認するために4~5万円のアンプを3台購入したばかり、サブシステムに手軽に使えると考えてもそんなにエントリークラスのアンプのニーズが無いのでどうしたものかと。
どうしても気になってしまうこのソニーのアンプ、販売終了の前に買ってみようかと考えて実物を見に家電量販店に行きました。
音は聞けませんでしたがツマミ類やスイッチの感触は最悪です、重要なボリュームツマミもセレクタもプラスチックで回したときの感触はまるでおもちゃです。
液晶表示もこれなら不要ではないかと思うくらいの程度の入力セレクタだけの表示です、また全体的な作りも叩くとボンボンと鳴る薄っぺらいアルミの前面パネルなどトータルでは価格をそのまま表しており、とてもハイコストパフォーマンスとは言い難い代物でした。
音質や製品自体の作りなどトータルでのハイコストパフォーマンス機って、こうして探してみるとなかなか無いものです。
どんなにエントリークラスと言えども、アンプは最低でも4万円出さないとオーディオ製品と呼べる代物ではないようです、そんな製品も安かろう悪かろうでは話になりません。