ラックスマンのラックストーン、サンスイのサンスイサウンド、ヤマハのヤマハサウンド、どうして時代も回路も部品も担当技術者もまったく違うのに個性豊かな音色を承継し続けているのでしょう?
時代が変われば求められる音色も変わるのに多くのオーディオメーカーは伝家の宝刀の音色を変えようともしません、受け継がれた音色に囚われたかのように疑問も持たずに最終ゴールとしてその音色を作り込んでいます。
いったい何がそうさせているのでしょうか、これを約20年以上疑問に思っていたのですが最近ようやく答えが見つかりつつあります。
それは音も味と同じだという発見です、人間の五感はすべてアナログ感覚です、当たり前ですが人間は生物ですからデジタルには直接対応できません。
つまり音色は老舗の焼鳥屋のタレやラーメン屋のスープと同じなのではないかということです、音色も一つの文化なのです、だからそのメーカー独自の音色に拘り続けるのです。
何故なら、その音色を変えてしまうということはその音色を愛するファンを裏切ることになるからです。
時代が変わってもラックスマンのアンプを買えば何時も通りのラックストーンを聴く事ができるという安心感、これがファンサービスであり顧客第一主義でありメーカーの最重要項目なのです。
オーディオメーカーの多くは複数のブランドやシリーズラインを持っています、何故ブランドやシリーズラインを変える必要があったのか、この疑問の答えが「伝家の宝刀の音色を時代に合わせて変える必要があったから」ではないかと思うのです。
オーディオと酒・タバコ・コーヒーには実は共通している事項があるのです、その共通事項とは「テストステロン(男性ホルモン)値が高い人の生活習慣」なのだそうです。
その意味では、オーディオに興味を持つ女性も普通の女性よりもアルコールに強くテストステロン値が高いのか前向きな人が多いのも頷けます。
男性ホルモンであるテストステロンは闘争心を強め前向き思考にさせるホルモンで別名「やる気ホルモン」と言われています、酒・タバコ・コーヒーは何れも毒物の一種ですが確かに肝臓や消化器官が強くないと身体が侵されてしまいます。
テストステロン値が高い人はこういった成分にも極めて抵抗力が強い身体を持っているようです、更に平均して体温が高い人が多いのだそうです。
また没頭する道楽というのは車やラジコンなど何でもいいのですが、生きていくのに不要な活動でありテストステロン値の高い人の特徴の一つである「征服欲」に由来しているという学説があります。
「好きな事を極める=征服欲」、つまり男性の本能なのだそうです、面白いことにテストステロン値が高い人は同時に女性ホルモンであるエストロゲン値も男性の平均値よりも高い傾向にあります。
この結果において厳しさと優しさ(思いやり)、頑固さと柔軟さ、生真面目さと悪戯癖など、人間性の陰陽が極まり両立する白黒解り易い性格になるのです。
また平時はぼけーっとしていても、いざという時の爆発力は半端ではなく物凄いスピードと正確性で物事を処理したり解決していくのも特徴です、そして何よりも常にエネルギッシュで平均的に長寿なのだそうです。
オーディオの話しに戻しますが、私の周囲にたくさんいたオーディオ仲間は全員が冒頭の生活習慣に一致しています、そして全員がレコードのコレクションやオーディオ機器のコレクションも兼ねていました、コレクション癖もまたテストステロンが成せる征服欲なのだそうです。
オーディオ製品やレコードに始まり、アナログカメラ&レンズ・猫&フクロウグッズ・ミニボトル・スコッチウイスキー・薬膳酒・各種便利ツール・100均面白グッズと私はいろいろなコレクションをしています、どれだけテストステロン値が高いのでしょう。
さて結論ですが何かの道楽に長期間打ち込むと「やる気ホルモン」であるテストステロン値が徐々に高くなってくるのだそうです、この関係性はリスクと生活基盤とのバランスをどのように保つかというリスクヘッジとの葛藤によって常に危機意識が芽生えることに起因しているようです。
1990年代前半に起きたバブル経済の崩壊に伴いスピーカー598戦争&アンプ798戦争が終焉を迎えます、そしてオーディオ界に氷河期とも言えるお寒い時代が訪れます。
この氷河期では、多くのオーディオメーカーはモバイルオーディオやパーソナル使用を目的とした安価で手軽な家電オーディオ製品を出すようになり、本格的なアナログに力を入れた魅力的な正統派オーディオ製品が徐々に姿を消していきました。
その後サンスイが経営破綻を起こし、更にダイヤトーンの事業撤退などが続き、正統派オーディオ製品の空白時代に突入します。
スピーカーユニットでもコーラルの破綻やテクニクスの事業撤退が相次ぎ、スピーカーユニットメーカーはフォステクスだけとなりました、これに伴ってDIY(手作り)スピーカーブームも同様に一気に終焉していきました。
強いブランドが姿を消すとそれまでのライバル企業が台頭してくるのではないのです、業界全体が縮小するのです、これはどの業界でも同じでライバル同士が競合するところに魅力的な製品が生まれ市場が活性化するのです。
「競争こそ美学」、これは資本主義経済の根本原則なのです、そしてオーディオ氷河期時代に多くのオーディオマニアは行き場を失いました。
私もオーディオショップに行かなくなり休みの日は家でのんびりジャズやアメリカのSFテレビドラマを楽しむようになりました、オーディオショップは閑古鳥が鳴き多くのオーディオショップが閉店に追い込まれたのもこの頃です。
家電量販店ではオーディオコーナーが姿を消し代わりにイヤホンやモバイルオーディオのコーナーが新設されました、オーディオらしき展示品はミニコンポ程度です、本当にオーディオと共に歩んできた一人として悲しい気持ちになったものです。
そして2007年暮れ、私の事業家人生にも大きな転換期が訪れオーディオとホームシアター道楽を封印したので、おそらくオーディオ界が80年代後半のような状況であれば私の事業家人生の転換期は起こらなかったのかもしれません。
闘志を燃やす対象が無くなると人間は精神的に弱くなるのです、闘争本能が消えた戦士は強い者に飲みこまれるしかないのです、2007年暮れのクリスマスの夜事業家人生で初めて味わう大手企業の傘下に入るという苦すぎる辛酸、その裏にオーディオ氷河期が少なからず関係していたように思えます。
2018年の秋約11年のオーディオとホームシアター道楽封印からの復活、その裏に私も事業家に復帰を決めて本格的に動き出した時期と一致しています、たかが道楽、されど道楽、いろんな意味で人生の状況をそのまま現しているのかもしれません。
過日の新型コロナウイルスパンデミックによりテレワークやソーシャルディスタンスなどの新たな社会構造の変化が次々と飛び出しました、そんな状況はオーディオ界にも大きな影響を及ぼしました、それはオーディオの中古市場が過去最高値というくらいにまで高騰したことです。
その変化を感じたのがCDやDVDなどのオーディオやホームシアターのソースの中古価格が上昇したことによります、更にこの10年ほどの間に発売された割と新しいオーディオ関連製品の中古市場が軒並み高騰しました。
人の心理とは実に解り易いです、外出を控え家に籠ってすることは音楽や映画などの鑑賞というわけです、こういった状況下においては賢い人は購入を控えます、そして世の中の流れを読みつつ沈静化を待って購入のタイミングを見定めるのです。
ただし逆にこういった買い手市場の際にはこれまで探しても出てこなかったレア物が多数出てきます、更に賢い人はこういう時期を逃さず買える時に価格に無関係に確実に確保するのです。
どんな時代でも世の中の動きに合わせるのか、それとも独自の感性に従って他者と逆の流れに乗るのか、その結果は数年後には雲泥の差となります。
私は常に自身の感性に従って動きます、そしてその結果も潔く受け入れる覚悟でいます、どんなことも世の流れに翻弄されるのか自身の感性で動くのか、この判断と行動は非情にもその後の運命を決定する程の結果を齎します。
90年以前のオーディオ製品で名機と言われたビンテージ製品がオーディオ中古市場で高騰しています、オーディオショップの中古販売サイトで過去の履歴を調べてみた結果なのですが10年前と比べて軒並み2倍以上の値段になっています。
それでもネットに出るや否や即売状態となっています、現在オーディオ界に何が起きているのでしょうか?
考えるに昔の往年のオーディオマニアがビジネスから隠居して自由な時間が取れるようになったのではないでしょうか、これまで仕事で忙しくてオーディオを楽しむ時間が無かったのでしょう、隠居して時間が出来るようになり好きなオーディオに使える時間が取れるようになったのではないかと思うのです。
値上がり率が高いのがラックスマンのアンプです、特に真空管アンプは40年以上経っている中古にもかかわらず発売時の3倍という価格が付いているものもあります、アンプではラックスマンとアキュフェーズ、海外品ではマッキントッシュとマランツの人気はやはり高いです。
そもそも往年のオーディオマニアは当時20歳代ですから当時10万円以上のアンプは月収手取り額の倍ですから神の領域のアンプだったわけです、買いたくも買えなかったというストレスが買える年代になって爆発しているのかもしれません。
押さえていた好きなことを生きている間にやれるのは本当に幸せなことだと思うのです、そして本当に好きなことは例え一時的に中断していても何時かはまたやれるようになります。
やれないときには復活の天の時をじっと待つ、その待った期間に相応して再開の時は喜びが大きくなるのです。