2024年8月31日 07:00
ラボ内のラックに並ぶ80年代のコレクションアンプです。
コレクションラックにずらりと並んだ80年代のビンテージアンプを見て思うのは、どれも「真っ黒くろすけやなー」ということです。
80年代を象徴する798戦争当時のアンプがずらり
「真っ黒くろすけ」がオンパレード
本当に80年代に入ると、どのメーカーもブラックフェースの精悍な顔つきのアンプになっていきました。
1985年には、なんと上品なラックスマンやヤマハまでも真っ黒くろすけになったのは驚きを隠せません。
「どうした? ラックスマン?」と、オーディオショップで見てはつぶやいたほどです。
70年代とは打って変わってのこの光景、そしてこれは音質にもしっかりと現れるのです。
70年代には一般市民の好みの音質の傾向が解らなかった各メーカーは、個性豊かに自由な発想で音作りをしていました。
ところが、80年代に入ると締まった豊かな低音+切れ味の良い中高音と一辺倒の音質になってきます。
オーバーな表現で言うとドンシャリ(低音と高音が持ち上がった音)傾向が強いのが80年代アンプの特徴かもしれません。
どのメーカーのどのアンプもこの傾向が若干なりとも強いと言えます、バブル景気に沸いたこの時代を象徴させるバブリーな音質なのかもしれません。
また、レコードに代わりCDへの移行が進んだ時代でもあります、求められる音質も当然70年代とは異なります。
ドンシャリ音の代表格ユーロビート(ダンスミュージック)の全盛期、オーディオメーカーもこの激しいサウンドが詰まったCDソースの音質に負けない製品を出すことに必死だったのでしょう。
70年代と音質の傾向が大きく変化しなかったのはラックスマンくらいです、クラシックファンの多いヤマハでさえもヤマハらしからぬド派手な音質に変わってしまいましたから。
そんな音質の傾向が偏りだした80年代中盤、世に言うアンプ798戦争が勃発します。
音質で大きな差を出せない各メーカーは、電源を強化しての物量勝負に打って出ます。
それまで10Kg前半のミドルクラスのアンプが、突然のように20Kg前後にまで重量化するのです。
70年代は個性的な音質での勝負の時代であるなら、80年代はバブリーな音質と重量勝負の時代だったのかもしれません。