2025年3月26日 06:00
「参った!」と唸らせる料理はどれも実にシンプルである。
手の込んだ料理は確かに美味しいが感動がない。
本物の調理は素朴さの中にも確かな拘りを感じる。
素材や隠し味の個性をしっかり引き出している。
素材を知り尽くしてなければできない匠の技である。
シンプルさの中に経験が満ち溢れている。
調味料や添え物での誤魔化しは誰にでもできること。
本物のプロは余計なことを一切しない。
調理にも謙虚に人間味が素直に出る。
これが「味の向こう側」という感覚である。
この感覚は全ての物事に対しても言えることである。
※従心(じゅうしん)とは、孔子論語の「七十にして心の欲するところに従えども矩 (のり) をこえず」という節を起源とする70歳代の呼び名である。