2023年11月 9日 00:00
企業再生の手法で、事業と社員を別会社を創設して移管することは昔から常道手段としてよく使われる「第二会社法」による再生方法の一つです。
その時に再生計画中の会社と新会社間での利益相反が行われないように、新会社の代表は社員の中から選出するか再生会社の社長の知人などを外部から登用して擁立します。
そして再生会社との間で事業譲渡契約を締結し、事業と社員を守った上で再生会社の最終的な清算を開始するのです。
このとき新会社の代表にこれまでの社員の中から擁立する場合が多いのですが、この新社の代表になる人によく見られるのが再生会社の代表やこれまでの取引先の代表者に対しての無意味な「対等意識」です。
それまでは幹部と言えども社員です、当然再生会社の代表にも取引先の代表者にも敬語を使い大人の対応をしています。
ところが新社の代表になりしばらくすると態度が大きくなり、それまでお世話になった再生会社の代表などに横柄な態度を取り始めます。
また取引先の社員に対しても、それまで仲良くやっていたのに上から目線でものを言うようになります。
飲みに行っても言葉使いも態度もガラリと変わり別人のようになります、そして常に口にするのが「これからは代表同士ですので対等に付き合いましょう」というものです。
これには私どころか再生会社の代表や社員までもドン引きします、そして何名かの社員が辞め支援していた人も離れていきます。
更にはそれまで我が子のように面倒見ていた再生会社の代表さえも、「あんな奴とは思わなかった、代表にさせるんじゃなかった」と愚痴をこぼすようになります。
終いには支援することを止めてしまい、対等どころか敵対意識を燃やすようになっていきます。
立場が同じになった瞬間に「es」が自我を呼びさまし、それまで社員として我慢して抑えてきたことが一気に表面化してしまうのです。
立場が同じでも対等ではないのです、これまで世話になった恩も今の自分の立場も全てが他者から齎された恩恵です、自身のお金で新社を創設し自身の器で社員を引き取ったわけではありません。
全てが他者から齎されたものです、この時点で対等どころか大きな恩を受けたという立場であり互いの立場には大きな乖離があるのです。
それを忘れて横柄な態度を周囲に繰り広げれば、「この新社は長くは持たない」、そう誰もが考えても不思議ではありません。
だから銀行もコンサルタントも弁護士も含めて誰もが嫌気をさして支援しなくなるのです、そして彼の末路は誰が考えても容易く導かれます。