2023年11月 2日 00:00
人間は他の動物と比較して唯一持っているものが生きるための生理的欲求以外の心理的欲求です、これをブッダの世界では「業(ごう)」と言います、この欲求を階層的にまとめ上げたのがマズローの欲求階層です。
欲求第一階層は「生理的欲求」であり食べる・寝る・排泄の三大欲求を指します、これが実現すると次の「安全欲求」となり家で安全に経済的にも憂いなく暮らしたいという欲求が生まれます。
そしてこれが満たされると次の段階である「社会的欲求」となります、「社会的欲求」とは社会に認められたいとか社会の為に何か役に立つ活動がしたいという欲求であり、日本人の場合はほとんどの人がこの状況にあります。
この「社会的欲求が」満たされて初めて「尊厳欲求」という自己を律する高次元の欲求が生まれ、更に最高位の「自己実現欲求」という欲求階層に辿り着くのです。
さて定年退職などで退職金があり老後の生活の心配もない人が例えばボランティア活動や社会に役立つような活動を欲するのは至極自然のことなのかもしれません、それまで自分が働いてきたことを通して社会貢献したい、困った人を助けたいという思い、これが「社会的欲求」を満たし「尊厳欲求」への正常なるステップなのです。
不思議なのは若くして定職にも就けず場合によっては家も持てずにネットカフェを転々としているにも関わらずボランティア活動や他者の世話を欲する人たちがいます、この人たちはいったい何に心を動かされているのでしょうか?
マズローの欲求階層からみると「安全欲求」と「社会的欲求」を2階層も飛び越えて精神のみが「尊厳欲求」の世界に行ってしまっているのです、推測するに先の大震災などで本当に純粋な気持ちからボランティア活動に参加した際などに多くの人たちから感謝され心から「やって良かった」という気持ちになったのでしょう。
これまで他者から感謝されるなんてことが無かった人は自身がヒーローになったような気持ちになったのかもしれません、この瞬間に「es」が自我を目覚めさせるのです。
そしてボランティアから戻ってくると再び平凡で他者との交流もなくつまらない人生が待っています、「もっと社会の役に立ちたい」と考えてしまうのも容易に推測できます。
酷い場合は会社を辞めてまでも全国各地の被災地に行ってしまいます、日本に生き先が無ければ海外にまで行ってしまうのです、彼らは自身を社会に必要とされる人でありたいと欲する「社会依存」に陥っているのかもしれません。
また1円起業家に多い「自己実現」を口にしてはそれを目指している人がいます、まだ自身が「安全欲求」階層にいるにもかかわらずにです、ここでも面白いのがマズローの欲求階層の2階層飛び超え現象がみられることです。
このような欲求階層の飛び越え現象は精神的な何かが潜んでいると考えるのが正解かもしれません、これが「現実逃避」という現実を素直に受け入れることができない精神状況なのです。
社会依存、その多くは実のところ現実を素直に受け入れることができないという「現実逃避」行為の一つなのかもしれません。