2021年9月 4日 00:00
動物界に起こる不可思議な現象、その多くに「寄生」という生態が隠されていました。
寄生生物で最も多い種がミミズに代表される扁形動物(へんけいどうぶつ)であり、魚貝類に寄生する寄生生物はほぼこの扁形動物です。
扁形動物は消化器官や循環器官を持たない為、他の動物に寄生することで身を守り種を保存する能力を獲得しました。
その多くは、ヒルの仲間(吸虫)やサナダムシの仲間(条虫)です。
この寄生性の扁形動物の多くは卵から成虫になるまで寄生する宿主を転々と変えて行くという特徴を持ちます、その多くは中間宿主にひっそり隠れており自然に任せて生存しているのです。
しかし、積極的に宿主に取り込まれる目的で奇異な行動もしくは中間宿主を上手く利用する賢い種が存在しています。
今回は、この中間宿主を積極的に利用する扁形動物を紹介します。
その名は、「ロイコクロリディウム」という吸虫属の一種です。
「ロイコクロリディウム」は鳥類を最終宿主とする寄生生物で、その中間宿主にカタツムリを利用します。
「ロイコクロリディウム」は鳥類の体内で卵を産み、その卵が含まれた糞をカタツムリが食べることにより中間宿主とします。
そこで最終宿主である鳥類に取り込まれるためにとんでもない事を行うのです、それは寄生生物の中にあって極めて特徴的な「擬態」です。
カタツムリに取り込まれた「ロイコクロリディウム」の卵は、カタツムリの体内で孵化して変異しながら成長します。
ある程度まで成長すると、最終的にカタツムリの触角を目指して移動します。
カタツムリの触角に移動した「ロイコクロリディウム」は、まるで芋虫のように色と形を変異させます。
この「ロイコクロリディウム」に寄生されたカタツムリを外から見ると、カタツムリの頭に芋虫がくっついているかのように見えます。
更には、カタツムリを刺激し積極的に触角を動かさせます。
これが鳥類から見るとまるで芋虫が激しく動いているかのように見えるのです、鳥類はこれを芋虫として捕食し「ロイコクロリディウム」は最終宿主を得る事に成功するのです。
ここで疑問があります、カタツムリの種は天敵から身を守るために夜行性で物陰に隠れながら生活しています、しかし鳥類は逆に夜は目が見えません。
そこで「ロイコクロリディウム」は、カタツムリを明るい場所を選んで行動させるようにコントロールするのです、このメカニズムはまだ解明されていませんが光を感じる機能をマヒさせていると考えられています。
また、鳥類ではなく哺乳類を最終宿主としている寄生生物もカタツムリやナメクジを中間宿主としている例が多数あります。
友人を驚かせようとナメクジを生で食べた青年が、数ヵ月後に能に寄生生物が侵入して数年後に死に至った例など多数報告されています。
この寄生生物の名は「広東住血線虫」といい、現在世界各国で死者が多発し各国の衛生局では注意を促しています。
「広東住血線虫」の幼虫はカタツムリやナメクジの表面体液にも存在している場合が多く、手で触った場合など手から口へと移り寄生されることも解っています。
更には、生野菜に付着したシスト(乾燥冬眠している幼虫)を食べてしまい寄生される事も解っています。
人間が「広東住血線虫」に寄生されると血管を通って能に侵入し、数ヵ月後には全身麻痺が起こり数年後にはほぼ死に至ります。
カタツムリやナメクジは絶対に手で触らないことです、そして生野菜は穴のあいたカタツムリやナメクジに食べられた跡のあるものは絶対に生では食べないことが肝要です。
カタツムリやナメクジの通った跡の乾いた体液にも、「広東住血線虫」のシストが存在することが知られています。
昆虫類の幼虫や成虫は葉の外側から食べますが、カタツムリやナメクジは、葉の中央部分から食べます、だから葉に穴があいたものは要注意です。
こういった、基礎知識を身につける事も今後は重要になってきます。