2021年5月18日 00:00
世界的な新型コロナウイルス禍での東京オリンピックの開催の是非について国民の60%が中止を望み、延期も含めるとなんと80%の人が否定的な判断をしています、更には医療関係者は政府に中止を求めて嘆願書を提出し諸外国の政府からも同様のコメントが発せられています。
普通に考えれば国をまとめる政府に「イベントと国民の命とどちらを優先するか」と質問したら答えは一つです、ところが日本の場合は明確な回答を避けているという状況です、避けているというよりも判断できないのでしょう、その理由は多額の投資が無駄になることと開催を中止した場合のIOCからの違約金請求が起きるのではないかという恐れがあるからに他なりません。
この中止すべき事項があるのに中止できない心理はまさに「コンコルド錯誤」そのものです、「コンコルド錯誤」とはイギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機コンコルド開発プロジェクトの大損失事件から命名された心理作用を指す言葉です。
開発費は当初予想の3倍以上かかった一大事業であったのですが完成以降も大きな性能向上開発・維持コストが重くのしかかりプロジェクトの中止の是非を問われても誰も明確な回答ができないまま時間だけが過ぎていきました、この時には関係者の誰もが存続させることで損失が更に拡大することが解っていても多額の投資を惜しみ誰一人として事業廃止の決断ができなかったのです。
この心理は自身の投資における行動を冷静に思考できずに損しているにも関わらずその状況を脱する行動が取れなくなるというものです、この心理状況のときの思考はこれまで投資してきたことが止めてしまうことで損失が確定してしまい、これを回避しようとする思考が損を確定し打開案を探る未来思考よりも大きくなり投資を止められなくなるというもので投資の世界ではよく見られる心理現象です。
早い段階で損を一旦確定しその後じっくりと挽回策を練る方が傷が浅く回復も早いのですが潔く判断できるかどうかは思考の器の大きさによります、誰も責任を取ろうとしない、その結果は国民にそのまま跳ね返ってくるのです、今回の東京オリンピックは開催してもしなくても歴史に残る事案となることは間違いありません、であれば国内外から称賛される潔い判断を行ってほしいと願うばかりです。