トールボーイスピーカーの実力の程は?-4~デノン SC-T777SA
2024年1月17日 08:00
2002年頃だったか、デノンのハイエンドAVアンプAVC-A1SRとエントリークラスAVアンプAVC-1850、そしてパイオニアのユニバーサルプレーヤーDV-S747Aを爆買いしてしまった時に更についで買いしてしまったのが、このデノンSC-777SA(2000年発売、定価ペアで12万円)です。
若干の値引きしてもらっても70万円超の買い物です、流石の私もこのときにはしびれました。
デノン SC-777SA
下はソフトドーム型のツイーターで上がリボン型スーパーツイーター
現存するスピーカーの限界である200KHzまでの再生を可能としている
SC-T777SAのスピーカーコネクタ
ウーハーと高域のツイーター部を独立で駆動できるようになっている
マルチアンプやバイワイヤリングに対応できるようにしている
この頃のデノンのAV向けスピーカーはP.P.D.D.(Push-Pull Dual Driver)方式という画期的なドライブ方式を採用しており、2つのエッジを逆向きに付けたウーハーを使って位相を反転させ前にでる音と後ろに出る音との相乗効果で極めてレスポンスの早い抜群の切れの良さを誇る低音再生を実現させていました。
P.P.D.D.方式はアンプで言うBTL接続をスピーカーで実現させた方式で、高速低域の切れの良さは一瞬聴いただけではっきり解る程です。
この低音の切れの良さを期待しての購入でしたが期待通りの音色を聴かせてくれました、特にジャズライブやSF映画などの再生には効果抜群です。
このP.P.D.D.方式が気に入ってしまい、この2年後にセンタースピーカーもデノンSC-C55XG(2004年発売、定価3万円)を購入して代えたほどですです。
SC-C55XGは1本で左右2つずつ4つのウーハーを使ってのパラレルP.P.D.D.方式で8Cmウーハー4発とは思えないほどの低音域が本当に見事です。
さて、SC-777SAに話しを戻しますが、高音域がまたすごいです。
なんと通常のソフトドームツイーターに加えて、リボン型のスーパーツイーターを採用しスピーカーで現在では限界と言われる200KHzまで伸ばしています。
こんな高音域までのソースも無ければ、出せるアンプも無いのですが余裕を持たせることで無理なく可聴高音域を響かせられるようになるのです。
高音域は確かに伸びているのですがシャープさと張り出し感はイマイチです、ただ中低音域の締りとレスポンスは聴いていて非常に心地良いです。
また、ハイファイオーディオでの使用でもジャズやロックのベースやバスドラムの切れは抜群です、本当に心地良い低音域です。
サックスやハイハットの音色は最高で、更に良い感じで押し出してきます。
ちなみにSC-777SAはサブウーハーの領域である27Hzまで低音域を伸ばしています、サブウーハーなど不要だという主張が凄いです。
デノンがホームシアターカテゴリでリーディングカンパニーを目指していた時代の申し子的なトールボーイスピーカー、そのハイコストパフォーマンスは半端ではありません。
気持ち良い低音再生を得たい人は、デノンのこの時代のP.P.D.D.方式のスピーカーは一押しです。
尚、フロントバッフルが高音域の定在波を打ち消すために立体成型されており、この形に特殊加工のPP製の突板を使用しているのですが、この突板が経年経過で剥がれてきます。
この特殊加工の突板はフロントバッフルと天版に使用しています。
写真撮りの後、再度確認しましたが縮んでしまっているので完全には修復不可能と判断し、なんと大胆に天版とフロントバッフルの突板を綺麗に剥がしてしまいました。
下手に樹脂系ボンドで貼ってしまうと更に縮んだ場合酷い状態になる事を回避したわけです。
これはこれでまた違和感が無いのでこの状態のままでも良いのですが、後日オイルステインで塗装する事を考えています。