
オーディオに目覚めオーディオ製品を買おうと決めた人が先ず考えなくてはいけない事があります、それはどんな製品を買えば良いかではなくどのような部屋で聴くかということです。
部屋の大きさや置かれている家具の状況、洋室なのか和室なのか、つまり部屋によって最適なオーディオ製品を選ばなければ用を成さないばかりか、せっかく買ったオーディオ製品が宝の持ち腐れになってしまいます。
音の響き方は部屋によって大きく変わります、例えば6畳間の狭い部屋にフロア型の大きなスピーカーを置いたとしましょう、これだけで部屋が狭くなり聴く位置は頑張ってもスピーカーから2メートルくらいとなります。
大型スピーカーは幾つものユニットで構成されているのが殆どですから、聴く距離が短いと出てくる音の位置がユニットの位置により別のポイントから聞こえ音場がバラバラになります、つまり総合的に良い音と感じることがなく特定の周波数が強調されうるさく感じてしまうのです。
逆に20畳のガランとした洋室で小型ブックシェルフスピーカーで聴くと低域の迫力と高域の伸びがまったく感じず、高価なスピーカーであっても薄っぺらい安物の音になってしまいます。
そして部屋に次いで重要なのが聴く音楽のジャンルです、クラシックなら繊細さを求められますので、本格的な音を求めるなら最低でもミドルクラス以上のアンプやスピーカーが必要になります。
ジャズやロックならソースの音量が全曲を通してほぼステイディですから繊細さよりも迫力やメリハリが求められますのでアンプはエントリークラスでも良く、むしろスピーカーの音質特性の方が重要になってきます。
聴く部屋、そしてジャンル、これらをまずは考慮してオーディオ製品を選択することがハイファイオーディオの第一歩です。
そしてハイファイオーディオで良い音を追求するというのであれば、まずは6畳ほどの家具がほとんど無いガランとした空間が最低限必要になります。
6畳といっても床面積ではなく、家具の多くは部屋の高さの半分以下にして、天井近くの音空間をしっかり6畳取れるようにしなくては良い音で響いてくれません、音空間が確保できればジャンルに関らずエントリークラスの製品でも結構良い音で聴くことができます。
結論を言うと年間を通してオーディオ道楽でもっともお金がかかるのが部屋代だということかもしれません、「音箱」の名称はこういったところから命名したのです。

オーディオのシステム構成は、楽しむジャンルでオーディオ製品の選定を行うのが基本です。
繊細な音のシステムで迫力あるジャズやロックの音を期待しても無理で、その逆にドンシャリ型(派手な音質)のシステムに繊細なクラシックの音を要求しても叶いません。
自分はどんなジャンルを聴いてその中でもどんな音が好みなのかを時間をかけて自分の耳(脳)を育てていく必要があります、そして多くの人の過ちがオーディオ雑誌の評価記事を真に受けて購入することです。
オーディオ評論家も人の子だということを忘れてはいけません、つまり自分の好みが少なからず評価にも表れてしまうということです。
ではどうやって自分が求める音がする製品を探したらよいのでしょうか、最も良い方法は経済力に物を言わせて複数の製品を購入して好みの音になる組み合わせを決定することですが、これは一般的には無理がある方法でしょう。
そこで是非オーディオショップで購入するようにしてほしいのです、オーディオショップではエントリークラスの製品であっても展示してあるものは基本的に視聴できます。
アンプやスピーカーを切り替えてくれますので、何時も聞いているCDを持ち込んで何度も何度も切り替えて好みの音を探すことです。
その際にスピーカーから少なくても2メートル以上離れてください、至近距離では左右の音の波の合成がされる前の音となり部屋で聞く場合と違った音になってしまいます。
また、オーディオショップの店員と仲良くなると予算やジャンルなどから各種のアドバイスもしてもらえるので購入の参考になります、ただオーディオショップもビジネスですから時に店側の都合も入れてくる可能性も否定できません。
最も良いのはオーディオに詳しい人からアドバイスを受けることです、オーディオショップの店員さんのアドバイスはセカンドオピニオン的に考えると良いでしょう。
オーディオを愉しむにも人間関係が最も重要だということです、これはビジネスにしても道楽にしても何をするにも基本だと思います。

スピーカーユニットの破損で最も多いのがウーハーエッジの破れです。
特に1990年前後に各メーカーによって使われたウレタン製のエッジは経年経過で加水分解という現象が起きて、手で触っただけでボロボロに崩れ落ちてしまいます。
こういった被害報告が相次ぎ、ウレタン製のエッジは使われなくなり昔から使われていた和紙や不織布、また最近では不織布にゴムや樹脂で補強処理した合成素材が使われています。
それでも、長い期間使っているとエッジが硬質化しエッジに穴が空いたり破れてしまう事があります。
こういった修理を専門に行っている業者も多く存在していますが、エッジ交換だと中間サイズの16~20Cm口径で1個当たり1万円前後もかかりペアで修理に出すと往復の送料や消費税を入れると3万円近くかかってしまいます。
そこで私は、裂け程度や穴空き程度は自分で修理しています。
修理はユニットを外して裏から補修する方法と、外さずに表面から補修する方法がありますが、ユニットの形状や傷のある場所によって最適な方法を検討します。
フレーム近くだと裏からは補修不可能ですので外さずに表面から補修し、エッジの中央付近ならユニットを取り外して裏面から補修します。
当然ですが、裏面から補修したほうが表面からはほとんど補修したことが判らないほど跡が残りません。
ただ、裂けや穴あきで多いのがエッジ付近なのでどうしても補修跡が残ってしまいます。
補修に使う材料ですが、私は自分独自のオリジナル素材を自作して使っています。
それは薄い不織布をゴム状素材の接着材を使って2~3重のラミネート構造にして、強度と密閉度を上げています。
これをゴム状素材の接着剤で穴の空いた場所に張るだけです、あとは黒の油性塗料を丁寧に綿棒で塗って終わりです。
ゴム状素材の接着材は乾くと生ゴムのようになり柔軟性があり、極めて破けずらい強度があります。
これを不織布と合わせてラミネート構造にして使う事を考え出したのです、オーディオにも経験と知恵が活きるのです。

猫パンチを食らったり酔って凹ませたスピーカーユニットのドーム部分、このままですと微妙な歪を生んでノイジーな音になることがあります。
このスピーカーユニットのドーム部分の凹みも意外な方法で簡単に自分で修理することができます、ここでよくやる失敗はガムテープなどでくっつけて引っ張るというものです。
これはたまたま上手くいくこともあるのですが、多くの場合は更に凹みが複雑になり悪化させてしまうことにもなり極めてリスクが高い方法です。
更に紙のコーンの場合は、ガムテープで表面が薄く剥がれることもあり、音質が更に悪化することにも繋がります。
これを簡単に治す裏技があります、それは掃除機を使うのです、つまり吸い込む力で凹みを持ちあげるという方法です、ただし注意深くやらないとユニットを破損させてしまいます。
まずは凹んだドーム部分に吸い込み口を当てて、「チョン・チョン」という感じで掃除機の電源を瞬間的にオンオフして吸いこみ力を調節しながら吸い出します。
勢い余って吸い込むとドームそのものが吸い込みの力で剥がれてしまいます、また必ず吸い込み口を外す時は電源オフの状態で外すこと、オンのままだとユニットのコーンが引っ張られてやはり破損に繋がります。
ただ紙ドームは簡単に治りますがアルミドームはかなり手こずります、慎重に様子を見ながら行って下さい。
ただし、この方法を使う時にはあくまでも自己責任で行って下さい、慣れていないと被害が拡大する場合もあることを申し上げておきます。
尚、凹んですぐの場合は綺麗に戻りますが時間が経つと形状記憶を起こしてしまいますので凹みが治ってもシワが残ります。
ドームが凹むと下取り価値も半減し、さらに気分も凹みますよね、凹んだらすぐ直しておきましょう。

オーディオ製品に付いているツマミやスイッチ類の多くは、裏側からナットで締め付けて取り付けされています。
なので、使っているうちにナットが緩んでグルグルと空回りしたりグラグラになることがあります。
酷い場合はナットが完全に外れてブラブラ状態になります。
これも簡単に自分で治せます、単純に蓋を開けてナットを締めつけるだけです。
締め付けるときは、ラジオペンチという先が細くなったペンチと薄い鉄板でできたレンチがあれば簡単にできます。
オーディオを楽しむなら、最低限のツール類は持っていた方が安心です。
というか、こういうことをやっているうちに自然にツール類は増えていきます。
小型の製品は、基盤などがびっしりと取り付けられていて隙間が無い製品もあります。
こういう場合は、基盤などを全て外す必要があるので簡単にはできません。
ただしものは考えようで、こういう場合も組み立てキットだと思えば楽しめるだけ得したと思えるでしょう?
私の場合だけかもしれませんが、メンテナンスデーを設けて修理するときは複数の製品を一気にやってしまいます。
これも一つのオーディオの愉しみ方だと思うのです。