高音質小型ブックシェルフスピーカーを検証-2~オンキョー D-202AX
2024年7月26日 08:00
オンキョーD-202AX LTD(1998年発売、9.4万円)の音質があまりにも凄いので、ノーマルエンクロージャー版はどんな音質なのかと興味津々で音質を比較する目的ですぐ後に購入したD-202AX(1998年発売、ペアで7.6万円)です。
D-202AX LTDと同一のユニット構成でエンクロージャーだけがノーマル版ということでもあり、多分ですが当時の私はD-202AX LTDユニットの補修用にもなると考えたのかもしれません。
オンキョー D-202AX(上)
下は究極バージョンのD-202AX LTD
D-202A(1992年発売、6.8万円)に始まるD-202Aシリーズはマイナーチューニングを施しながら型式を変え、このD-202AXからウーハーがより強力なユニットに変更されます。
ウーハーユニットは16Cm口径ですが、サブウーハーのユニットとしても使えるほど強力なもので、低音域から中音域までの張り出しが凄いです。
D-202AX LTDに比べるとエンクロージャーの奥行きが浅く(これがノーマル版)容量が少ない分低音域の量感が若干低いです。
というか、D-202AX LTDの低音が凄すぎるのです、価格差1.6万円なら圧倒的にD-202AX LTDを買う方がお得です。
同じユニットを使っているのにエンクロージャーだけでこれほどまでに低音域に差が出るとは、本当にスピーカーは微妙な違いがエンクロージャー内のハーモニックス効果によって大きく出てしまうのですね。
ただ、気楽に音楽を愉しむという使い方なら相当レベルが高い音質です、ダイヤトーンの3ウェイ大型ブックシェルフと比較しても同程度の音色が手軽に楽しめるのですから。
小型ブックシェルフの最大の良さはスペースを取らないことと、設置や移動に苦労しないことです。
尚、このD-202AXに注文を出すとしたら、もう少し全体的な作りを良くしてほしいということです、経年経過で側板のバックサイドの化粧突板が剥がれてきて補修の跡だらけになっています。
D-202AX LTDはこういった心配はまったくありません、同時発売なのだから作りも共通化してほしかったです、価格の差をこういうところで暴露させては駄目ですね。
ただ音質は上々、ストックしているだけではもったいない、もっと有益な使い方を考えましょう。
また、系譜は定かではないが、同年代にD-102・D-092・D-072・D-062・D-052・D-032などユニットサイズとエンクロージャーサイズが徐々に小さくなる同様のデザインのスピーカー群が存在しており、D-202シリーズのダウンサイジング製品と考えられなくもないがユニット自体の技術的系譜や詳細はまったくといって不明です。
またユニットは同じように見えるがAXやEXなど同年代でも数字の後の型式名が複雑になっています。
オンキョーの小型スピーカーは種類が多すぎて、系譜を辿るのが極めて難航し、オーディオ鑑定士泣かせのスピーカー群です。
また、同じユニットの仕様でも単体発売のものとコンポセットのものでは表面加工が若干違っていて型式も全然違うので更に系譜が複雑化しています。
後追いでの購入者は、型式名とその系譜を確認して価値判断を行い、決して価格だけで決めないようにすることをお薦めします。
コーン(振動板)は同じでも、使っているユニットもエンクロージャーの作りもまったく別物というのが90年代以降のオンキョーの小型スピーカーには数多く存在しています。
後追い購入(中古購入)するなら、確実に存在価値や音質価値が高い物を選びたいものです。