2024年12月 5日 08:00
オーディオ製品の中で、音がガラッと変わるのがスピーカーです。
同じメーカーでも、何故これほどまでに個性が有るのかと思えるほどにスピーカー独自の音が存在します。
特に、並べて比較試聴をするとその違いがはっきり解ります。
対して、アンプはスピーカー程の強い個性は無いのですが、同じスピーカーをリファレンスとして試聴すると不思議な事にそれぞれのアンプの個性がクローズアップしてきます。
更に、アンプとスピーカーの組み合わせを変えて試聴するともっと不可思議な事が起こります。
あるスピーカーでは良い音がしていたのに、別のアンプでは元気な音で鳴っていたスピーカーを繋いだとたんに音がマイルドに大人しくなってしまうことがあります。
また、良い音だったスピーカーがアンプを変えたとたんにうるさく感じてしまう組み合わせもあります。
本当にオーディオは奥が深いのです。
セットで100万円以上する高級なセパレートアンプ(プリアンプ+パワーアンプ)でも、選んだスピーカーによってはその音はミドルクラスのアンプに劣るということもあります。
でも、別のスピーカーを繋いだとたん、そのスピーカーはハイエンドスピーカーのような音で鳴ってくれるということもあります。
つまり、アンプやスピーカーは価格以上に、組み合わせによる相性が強烈に音に現れるのです。
逆説的に言うと、エントリークラスの製品同士でも組み合わせ次第ではミドルクラスの製品同士の音に勝ることもあるということです。
オーディオは、製品の価格や技術的な優劣以上に実際に出てくる音そのものが重要なのです。
だから、私は何台ものアンプに何セットものスピーカーを常に待機させては、新たに購入した製品との組み合わせを確認しているのです。
そして、こういった経験から組み合わせの勘というかコツが解ってくるようになります。
それはメーカーや年代ではありません、音を聴いて組み合わせるベストコンビが肌で解るのです。
同じメーカーの同じクラスだから組み合わせると良い音がする、これは大きな間違いです。
良い音と、無難な音は次元が異なります。
特に、エントリークラスの製品同士の組み合わせによって、ミドルクラス製品同士で組み合わせるよりも良い音が出た時には本当に嬉しいものです。
オーディオは、その製品そのものの価格的価値ではありません。
最終的に、出てくる音そのものに価値が在るのです。
最後に一言なのですが、本当に優秀なスピーカーユニットを用いて作られた高級ハイエンドスピーカーはアンプを一切選びません。
A級の高級ハイエンドアンプであろうが、AB級のエントリークラスのアンプであろうが、そのスピーカーの特徴が前面に出てアンプとの相性などはほぼ無関係になります。
スピーカーとアンプの相性が在るとすれば、それはスピーカーがアンプの個性に振り回されるほどの未熟な製品だという証拠なのかも知れません。