冬の樹木と言ったら私が大好きなモチノキ科低木のセイヨウヒイラギです、冬には赤い実をつけクリスマスリースの主役のような樹木です、ちなみに日本名のヒイラギはモクセイ科の低木で葉の形状が似ていることからセイヨウヒイラギと命名されていますがまったく別の植物です。
最近では庭木としてよりもビルなどのガーデニング・公園・街路樹の脇役としても見かけるようになりました、大きくなっても3メートルほどの低木で一年中緑色の葉を付ける常緑樹であることも気に入られているようでニーズが高まっているのか以前に比べて価格も落ち着いています。
また最近ではヒメセイヨウヒイラギという大きくなっても1メートルほどで葉寸が小さな常緑園芸種も多く見られるようになりました、手がかからないので園芸店で見つけたら是非とも買っておきたいお薦めの観葉樹木です。
最近ガーデニングによく見られるヒメセイヨウヒイラギ
セイヨウヒイラギよりも葉は小さいが硬く鋭く尖っている
金属質に輝く葉が何とも言えない魅力があります
ヒメセイヨウヒイラギの育成の注意点は葉が硬くて尖っていますので植え替えなどで注意しないと切り傷を負います、けっこう鋭いのでスパっと皮膚が切れてしまいます、真冬でも常緑であり赤い実を付けることに加えて鋭い光る葉は神の樹木としてヨーロッパ各国で扱われています。
冬季に雪が積もると、緑の葉・赤い実・白い雪とまるでイタリアン料理などに見られる所謂イタリアントリカラーです。
育成方法はいたって簡単で鉢植えでも大き目の鉢であればベランダに放置してもよく育ちます、冬に明るめの室内に取り込んで楽しみ春先にベランダに出すという感じで問題ないと思います。
水やりも土がしっかり乾いたらあげる程度でよく春先に1年先まで効果のある緩効性肥料を適量土の上に乗せておく程度でよいでしょう、地植えであれば枝が張ってきたら剪定する程度で本当に放置して大丈夫です、その方が元気に長く楽しめるでしょう。
盆栽の世界では盆栽キングと言われる超人気樹木の一つである糸魚川真柏(イトイガワシンパク)ですが、天然物は乱獲によって枯渇し現在盆栽で出回っているのは全て盆栽農家や盆栽家によって自家繁殖されたものです。
糸魚川真柏は新潟県と長野県にまたがる糸魚川周辺の高山だけに自生しているヒノキ科の深山柏槙(ミヤマジャクシン)という針葉樹です、他の地域の深山柏槙が葉寸が長く柔らかいのに対して糸魚川真柏は葉寸が短く硬いです、また幹もゴツンとした荒々しい幹をしています。
糸魚川真柏は険しい岩山の中で寒さと乾燥に耐え忍びながら種を保存してきただけあって自然の姿は折れ曲がったり樹皮が裂けて剥がれ落ちてボロボロです、そういうところが盆栽家にとってワビサビを感じ好まれるのでしょう。
盆栽でも小枝の皮を剥いたり幹の皮を剝いたりして厳しい自然で生きる糸魚川真柏を模した樹形を意図的に創作されています、このあたりが他の樹木と異なり特異な樹形が創作され高値で取引されています。
100年以上の大品(樹高40Cm以上)盆栽の中で1メートルを超える受賞作なら5,000万円以上するものも珍しくありません、これらは世界中の盆栽バイヤーが買い付けに日本にやってきます、日本で長い間守られてきて何度も賞を受賞した糸魚川真柏の盆栽秀作がどんどん海外に流れていっています。
糸魚川真柏に基本樹形である「模様木」仕立ての曲がりを付けた6年もの半完成品素材
針金を外し育成鉢に自家製ブレンド用土で植え替えしたばかり
糸魚川真柏の中品(樹高20Cm~40Cm)の10年以上の各樹形ものの半完成素材
小枝を出させ幹を太くするために主枝や脇枝をあえて伸ばし放題に育成します
既に主幹元の太さは3Cmを超えてきました
来春には剪定して樹形を整え化粧鉢に植え替えしたいと思います
今や女性にも大人気の糸魚川真柏の極小ミニ盆栽(左)とミニ盆栽(右)
※ミニ盆栽(樹高10cm以下)
左の極小ミニ盆栽は樹高はプロの盆栽士の手によってなんと5Cmにまで畳み込んでいるにも関わらずしっかりジン(皮を剥いた小枝)やシャリ(皮を剥いた幹)まで付けている逸品、小さな鉢に入れられ元気を無くしていたので養生のために大きめの鉢に植え替えました
そんな盆栽キングというべき大人気樹木の糸魚川真柏ですが私の故郷近くの樹木とあって親近感もあり盆栽の完成品から素材まで現在100鉢を超えるほど所有しています、それでも毎月のように気に入った樹形を探しては買っていますので増える一方です。
今や盆栽は日本発祥でありながら海外の盆栽人口の方がはるかに多いです、その人たちにとっても憧れの樹木だけあってミニ盆栽でも1万円を超えるものも珍しくありません、むしろ最近大人気のミニ盆栽のほうが一般的な大きさの中品盆栽よりも高く値段が付けられる例もあります、プロの盆栽士の作品であれば基本樹形が整っているだけで他の樹木の完成品よりも高値で取引されています。
尚、2020年に糸魚川真柏活用プロジェクトが新潟で発祥しており糸魚川真柏を守り自然に自生する雄大な姿が見られるようにするために活動しています、現在自然自生地は糸魚川真柏ジオパークとして採取禁止区域となっています。
注意点として普通の深山柏槙を糸魚川真柏として売っている例が多々見られます、私も糸魚川真柏として買ったものの中に後に成長して普及樹木の深山柏槙だったと解ったものが半数を占めています、苗が小さい時には見分けがつかないのでネット通販ではなく確かなところで実際に確認してから買いましょう。