水耕栽培キットを使うと水耕栽培を手軽にできますが栽培の量に限りがあるのと、1クールづつ全部セットして次の栽培を最初から開始する必要があり連続して栽培を行うことができません、したがって水耕栽培キットで常に野菜を収穫しようと思うと4セットほど必要となります。
そこで本格的に水耕栽培を行おうと思う人向けにナローバンドLEDの光を有効活用できるグローテントの使用をお薦めします、ただし設置場所に加えて作業場所も確保しようと思うと最低でも2畳ほどのスペースが必要ですのでスペースに余裕が無いとできません。
これを使うと半水耕栽培でニンジンやダイコンも水耕栽培できます、もっともこれを行うにはそれなりのノウハウが必要です。
葉野菜ならスポンジに種を植えて液体肥料に浸しておくだけで勝手に発芽し勝手に成長してくれます、あとは液体肥料の追加と収穫するだけでほぼ放置栽培できます。
各種の野菜をこれを使って栽培しました、順次それぞれのノウハウやコツを記事で紹介していきますので参考になれば幸いです。
ラボに所狭しと置かれたグローテント
思った以上にスペースを取られます。
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グローテントの内部
植物育成用ナローバンドLEDを使った各種野菜を水耕栽培の放置栽培中
右は二十日ダイコンで左はルッコラ
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二十日ダイコンはちょっと形は悪いけどしっかりカブになってます
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水耕栽培を手軽に始められる水耕栽培キットが20年ほど前から市販されています、発売当時は10穴ほどで3万円もしたものが現在では12穴の装置で1万円以下でも購入することができます。
装置としては植物育成用LEDライトと根腐れ防止の水中ポンプが付いておりボタンで全て設定できますので操作は簡単です、ただし詳しい育成用の説明書は付いてないのでカット&トライで工夫しなくてはいけません。
手軽とは言うもののコツを掴むまでは立派な野菜を育てることは難しく最初はなかなか発芽しなかったり徒長してヒョロヒョロした野菜になってしまいます、何事も経験しながら学んでいくということでしょう。
コツを掴めば種を植えて2ヶ月目ごろから収穫でき毎週のように育てながら収穫できます、ただし楽しみながら野菜を育てるという気持ちであれば充分に機能しますが収穫を期待すると初期費用すら回収できずに期待外れに終わります。
種を植えて2ヶ月目の状況
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3ヶ月目に入ると成長著しく毎日葉野菜が収穫できます
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いろいろ実験してみましたが、上手くいく野菜はチンゲンサイ・ルッコラ・サンチュ・サラダ菜などが失敗が少ないと思います、意外やレタス類は上手く育ちません、勿論のこと葉野菜以外は栽培できません。
この他に液体肥料や交換用の専用スポンジなど思った以上に費用がかかります、育てて楽しみながら新鮮野菜を食べるという愉しみを味わうならよいのですが、野菜を安く手に入れたいという人であればお薦めできません。
自然農での放置栽培実践には土壌の質がそれに見合っていなければなりません、そこで冬季でしかできない土壌改良を実践しました、その改良方法とは肥沃土壌を維持するに必須な有益菌を増やすことです。
ガーデニングで伐採した樹木の枝や落ち葉などで畑の中央部分に畝を作りそこに土を被せます、そしてその脇には30Cmほどの深さの溝を掘っておきます、こうすることで好気性の糸状菌が土の中で有機物を醗酵によって分解し土壌に窒素分を充填します。
最終的には春前に掘っておいた溝に畝の中の有機物と土を埋めて土中で今度は放線菌などによって分解され窒素分を増やします、冬の間に畑を休めせてはいけません、冬季に土壌を休めせると土壌が締まってしまいせっかく出来上がった団粒構造が台無しになってしまいます。
自然農実践のための土壌作りは各種の書籍からの情報を基に総合的に考えるに最低3年はかかります、したがって毎年場所を変えながら同じように土壌に有機物を投入して有益菌を増やしていきます。
この畝の中に有機物を投入する際に米糠を一緒に撒いておくと早く糸状菌が発生するようなので10リットルほどの米糠を混ぜ込んでいます、また畝以外の土壌にはもみ殻を100リットルほど撒いておきました、春にこれらは菌によって醗酵分解して肥料を使わなくても土壌に窒素分が豊富に存在するようになるでしょう。

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冬の間にしっかり土壌の団粒構造を維持し窒素分を作っておけば春以降に耕起することも肥料を追肥することも不要となります、気温が下がったときは糸状菌が有機物を醗酵分解するに適した季節です、これが温度が上がるとカビの原因となってしまいます、近年の農業は経験や勘ではなく根拠を持ったテクニックが重要になるのです。
伐採した枝や枯葉の有機物に土を被せる前に米糠を混ぜておくと糸状菌がより元気に活性化します、またその他の部分には土壌表面にもみ殻を撒きました、これも水はけを良くして有益な菌を増やす方法として有効です、近所の畑は白っぽく乾燥して砂埃が舞っています、しかしこの畑はしっとりと水を含んで黒ずんでいます、この差は春以降にしっかり現れるでしょう。
気温がぐっと寒くなる11月に入り室内で冬用の野菜を育ててみようと思い寒さに強いシュンギクの種を買ってきて撒いてみました、鉢は普通の観葉植物用のプラスチック鉢で用土はこれも普通の観葉植物用の用土です。
種を撒いて水をたっぷりあげて1週間、次々に芽を出し成長し始めました、約3ヶ月目にして初収穫でき、その後も数日間隔で収穫できます、室内といってもこの季節にはほぼ日が当たらない北西に窓がある植物の防寒用の部屋でエアコンも付けない部屋ですので日中は15度前後ですが夜には10度を確実に下回ります、それでもシュンギクは元気に育つのですね、ちなみに同じ時期に撒いた二十日ダイコンは芽は出しましたがまったく育ちませんでした。
水もほとんどあげていません、表面が乾いてきたかなというときに底面給水であげる程度です、ほぼ放置栽培でも育つ冬の野菜はすごく重宝します、サラダでたべたり麺類のトッピングにも最高です、冬の季節に育つ野菜はほぼ無いので冬に葉野菜が欲しいときにはシュンギクがお薦めです。
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シュンギクは頂点が無くなると脇芽をたくさん出しますので、収穫する際には2節ほど残してカットすると残った節から脇芽を出してまた成長を始め何度も収穫できる万能野菜です、元々はヨーロッパの河原に自生していた野草で中国人がこれを食用として栽培するようになった草本類です、したがって非常に生命力が強いのです。
冬に室内で放置栽培できるのではないかと考え買ってきたシュンギクですが実験してみたら本当に大成功でした、手間がかからず種を撒いて放置するだけで育ってくれます、ただし水切れは致命傷です、常に湿った状態を保持する底面給水方式をお薦めします。
有機物たっぷりの自家製オーガニック土を使って鉢植えにしているローズマリーです、6年目になりますが肥料も与えずほぼ放置でも元気に成長しており毎年背丈を半分以下に剪定しているくらいです、毎年のように背丈を半分程度に剪定すると幹は太く枝張りもよくなり丈夫に育ちます。
こうすることで新鮮で葉が柔らかいローズマリーがたくさん収穫できるのです、せっかく伸びた枝をバサッと切るという行為は慣れないと躊躇すると思いますが丈夫に育てる為のテクニックなので思いっきり刈り込んでしまいます、刈り込んだ枝はドライフラワーにしてガラスの入れ物に入れて料理に使ったり芳香剤として楽しみます。
切りたての葉は生葉茶にしたり肉料理の香り付けに使いますが極わずかでも香り付けができますのでこの程度の大きさでも家庭で使う分の量としては多すぎるくらいです、1鉢あると大変重宝するハーブです。
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鉢で育てる場合の注意点は夏場の水切れです、鉢の中の水分が完全に抜けた状態が1日続いただけで猛暑日なら間違いなく枯れます、どうしても水やりが数日空けなければならないときには水をたっぷり与えてから室内に取り込んで涼しいところに置くといいでしょう、数日間なら日光が遮断されても弱ることはありません、葉色が若干悪くなろうが枯らすよりもましです。