2024年8月22日 06:00
突然ですがラジオドラマから映画化された「銀河ヒッチハイクガイド」をご存知でしょうか、この小説版は10年間で1500万部という大ヒット&ロングセラーとなりました、作者はダグラス・アダムスでSF作家でもありショートギャグコメディ「空飛ぶモンティ・パイソン」のテレビ番組の脚本家でもあります、また同番組は日本発のコントなど新たなお笑いカテゴリを齎しました。
私と同じくらいの年齢の人は学生時代に深夜放送されたイギリスのテレビ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」で落語や漫才などの日本文化にはない異次元のギャグというお笑い文化を存分に楽しんだことと思います、そんなダグラス・アダムスは生前に「ニューテクノロジーやニューカルチャーなど今までにない新しい文化の台頭への対応」に関して極めて興味深い名言を残しています。
それは「15歳までは自然なものとして受け入れ、15歳から35歳まではエキサイティングなものとして受け入れ、35歳を超えると不自然なものとして拒否する」というものです、彼は空想でこの名言を考えたのではありません、多くのスタッフやパートナーと番組を通して子供から大人まで多数の人々と接してきて導き出された一つの悟りだと言い残しています、つまり事実から分析しての結論なのです。
この「35歳で新たなものを拒否する」というのは実は近年の脳科学の研究でも解ってきた事象であり研究の発表前にも関わらずそれを分析していたというのが興味深いです、この脳科学の研究によって生まれた「35歳ニューカルチャー許容限界説」は多くの事例を示しています。
例えば音楽の趣向も35歳で新たなジャンルを聞かなくなりそれまで聞いていたジャンルを心地よいものとして変えようとしないのです、これはカラオケなどでも同じことで35歳までに聞いていた曲を何歳になっても歌うのだそうです、そして35歳以降の歌は覚えることができないのだといいます、これは音楽だけではなく社会構造や文化など全てのカルチャーに対して共通する事項なのです。
40歳近くになって職種や人生を変えようとしても変えられない人が多々いますがこの原因が脳による思考の固定化にあったのです、解りやすく言うと「頭が硬い」ということです、つまり今まで身についた思考が新たな思考を拒絶してしまうのです、これが脳の防衛反応ともいう固定化現象なのです。
新しい思考を要する事項を幾ら学んでも脳は生きていく為に必要な知識として認めず拒否してしまいます、したがって今日学んだことを明日には忘れてしまうのです、それまで新たな事をどんどん吸収できていた人が突然のように許容できなくなる、同じことを長年続けてきた人のほとんどがこの脳の固定化という状況に陥っているのです。
就職での中途採用の年齢制限が暗黙の了解として存在しています、実はこの裏にはこういう事実が在ったのです、どの会社も過去の事例が根拠となっていますので理にかなったノウハウともいえます。
他方35歳を超えるどころか一生涯に渡りニューカルチャーやニューテクノロジーをエキサイティングな事項として自身の中に積極的に取り込んでいる例外的な人が稀にいます、特にバイオやITといった日々刻々と変化する情報と日々向き合っている人に多く、脳が衰えることもなく常に新たな発見や発明を行っています。
新たな環境やカルチャーを受け入れられなくなってきたら脳の老化現象への赤信号だと自覚して欲しいです、脳機能の修正はまずは自覚して脳そのものが固定化していることを何かをきっかけに真に理解しないと脳自身が更新することを始めません。
脳の衰えは確実に心身を老化させ生気を失わせます、いつまでも元気に健康でいたいのであれば身体ではなくて脳を鍛え続けることです、あらゆるジャンルに興味をもっていろんなことにチャレンジしてほしいと思います。