2023年4月20日 00:00
「自制の効用は、列車におけるブレーキの効用に似ている、間違った方向に進んでいると気づいた時には役に立つが、方向が正しい時は害になるばかりである」
アインシュタインと共に「核兵器根絶」を訴え、その後ノーベル文学書を受賞した天才科学者バートランド・ラッセルのこのストレートな一言。
ラッセルは幾つもの理論を打ち出した天才科学者でありながら、何故ノーベル文学賞なのか?
彼は、自身の理論を数式を並べたてた論文から、誰にでも理解できるように「組織学」や「階型理論」などを文学作品として発表し多大な評価を受けたのです。
コンピュータでの言語処理において、ラッセルがこの世に残した「階型理論」は大いに評価され、解析や分析のロジックの基となりました。
晩年は、アインシュタインと同様に人間の持つ精神的な分野を階層化して分析できないかというテーマに取り組み、90歳であの世へ行く直前まで「神よ、我にもっと時間を与えたまえ」と毎日祈ったといいます。
その行動心理を理論化しようとし、科学者が陥りやすい過ちを、「パラドックス理論」の確立によって警鐘を鳴らしたラッセルの一言は実に強烈に心に響きます。
私は、「自分を賢いと思っている人ほど、いざという時に躊躇する」、というケースを多々見てきました。
その理由は、心(情)ではなく頭(理屈)で思考するからです。
したがって、現状の問題のみに囚われ、未来に広がるビジョンに目を向けようとしない傾向があるのです。
周囲の誰もが間違っていると認識できるような状況も、本人は「自分は例外、私の方法が正解」と思い込んでしまっているのです。
ですから、周囲の声は聞こえても否定や拒否として認識し、自己都合だけで現状を思考してしまうのです、これが周囲には「独善的」と受け取られてしまいます。
結果、大きなビジネスチャンスを逃し、現状打破のタイミングも逃してしまいます。
それが結果的に表面上の思考によって、見えている物だけを思考して「躊躇する」という行動になるのです。
「チャンスに躊躇せず、何があっても一旦選択した道は継続する」、「誤りに気付いたら潔く撤退する」、これは成功する人の最低限の基本です。
頭(理屈)で人生を思考しないこと、「何事も何をするかじゃなく、誰と組むかで全てが決まる」、これを身体に染み込ませることが肝要です。