2021年11月19日 00:00
「主将たる者が人を登用する際には十分に注意しなければならない事がある。 善柔な性格の者は人に逆らわない、だから同じ仲間から贔屓(ひいき)される者が多い。 そこで主将がその者を良いと思い用いれば国を治めがたくなる。 なぜならば、その者は悪をこらしめ善を勤めることができないからだ。 家中は一応無難であろうが乱の発端となる、主将は自らの目を開かねばならない」
「名将言行録」に載せられている三本の矢の教えで知られる毛利元就の深い一言は、経営者には耳が痛いだろう。
従順な者が参謀にいると経営者は憂いなく過ごせます、ところがこの従順な者が時として内乱の火種となることがあるのです。
考えてみれば解ります、従順な者とはどのような性格の人なのでしょうか。
要は「事なかれ主義」で経営者の意思を自分の都合に置き換えては下に伝え、下の意見や言い分もまた自己の都合に置き換えては経営者に伝えます。
つまりは、知らぬうちに経営者はこの従順な者に暗黙のうちにコントロールされるようになるのです、このようになった組織はあっという間に内部分裂が起こり崩壊の道を辿ることになります。
私は幾度となくこのような組織を見てきました、参謀にYESマンを就けることは自ら経営者失格を周知させることと変わらぬことだということです。
成功する人は従順な良い子だけでは組織が成長しないことを知っています、異種な思考を持つ参謀を得てはじめてアクセルとブレーキが備わるのです。
大事を成すには、まずは全ての関わる人の本質を見極めることが肝要です。
経営者の最大の仕事は人事です、それから事業を組み立て利益活動を行うのです、これを「経営」というのです。
誤った人材登用は最大の経営失策となり、遅かれ早かれ必ず結果に表れます。