
現在売られているCDの中にはSACD方式で録音されているものが存在しています、SACDとは「スーパーオーディオCD」のことでソニーとフィリップスが共同開発したCDの録音再生技術であり、1999年に発表され2000年以降にSACD対応のCDプレーヤーやCDが発売され初めました。
低域も広がったのですが、特に高域特性が100KHzまで伸びており繊細なクラシックの録音再生を可能にしました、現在ではミドルクラス以上のCDプレーヤーに対応しているものが在ります。
また近年では更にハイレゾ方式が出てきていますが、SACDに対応していれば当然ハイレゾ対応の製品だと考えても間違いでは無いでしょう。
尚、SACD対応のCDを非対応のCDプレーヤーで再生すると普通のCDと同様の方式で再生されるようにアップグレードとなっています。
私は、こういう意味でも最新のアンプのDACを信用してCDプレーヤーは消耗品として考え、定期的に新しいエントリークラスを購入する方が賢いと考えています。
最近のオーディオは完全なデジタル時代であり、どんどん新しい方式のDACが誕生して価格も大幅に下がってきています。
10年前の20万円以上のミドルハイクラスのCDプレーヤーでも、現在の5万円のエントリークラスのCDプレーヤーに音質特性的には完全に負けてしまうということも起こりえるのです。
クラシック以外のジャズやロックを楽しむ人なら外付けDACを好みのものに固定して、CDプレーヤーは消耗品と考え数年単位で最新のエントリークラスを買い繋ぐのがよろしいかと思います。
ただCDプレーヤーの中にはレコードプレーヤーのような構造の100万円以上する超ハイエンドのものであれば、製品そのものの骨董価値もあるので持つ意味はしっかり存在していると思います。
買い替えで使わなくなったCDプレーヤーは売っても二束三文ですから、BGM用やおやすみ用のセカンドシステムに使う方が得策です。
ちなみに10年前の15万円のミドルクラスのCDプレーヤーと5万円以下の最新のエントリークラスのCDプレーヤーの音質を同じアンプに繋いで比べてみたのですが、驚くことに最新の5万円以下のエントリークラスのCDプレーヤーの方が音がはっきり分離されて周波数レンジも広く感じるのです。
もっともリファレンスで使ったCDはジャズで50年代~80年代にかけて録音された物です、したがってリメイクされてはいるものの周波数レンジはそれほど広くはありません。
結論としてCDプレーヤーは安価なエントリークラスなものにして、高音質を目指すのであれば外付けのDACを購入する方が賢いし結果的に後悔することもないと思います。
オーディオは正確に原理と理屈を知って割り切ることが肝要です、何事にも知識と知恵がある者が無駄なお金を使わずに済み得をするのです。

60年代・70年代はアメリカ、80年代・90年代は日本、2000年以降はヨーロッパ、これ何の話かというとスピーカーの話しです。
60年代・70年代にスピーカーと言えばJBL・アルテック・タンノイでした、タンノイはイギリス発祥のメーカーですが1974年以降はアメリカのハーマンの資本傘下に入りアメリカに本社が移っています。
70年代には日本のブランドも多数存在していましたが、世界的なスピーカーブランドまでには成長してなく、当時のマニアの多くはこの3メーカーのスピーカーに憧れて自身の部屋で使うことを理想とするのが当たり前のような時代でした。
80年代に入ると70年代に一定の市民権を得ていたヤマハやダイヤトーンを筆頭に日本のスピーカーブランドが急速に奮闘してきます。
ヤマハ・ダイヤトーン・オンキョー・ビクター・パイオニア・テクニクス・ソニーなどがスピーカーでも世界ブランドとして認知され多くのファンを魅了します、この状況は2000年初頭まで続きます。
90年代に日本メーカーで台頭してきたのはオンキョーでしょう、特に小型ブックシェルフでは金字塔を建てていきます。
そして2000年代に入ると台頭してきたのがヨーロッパ勢のブランドです、90年代中盤以降は日本のオーディオ界は氷河期という日本オーディオ界の空白の時代を迎えています。
この空白の隙間を突いてきたのが、DALI(ダリ)やKEF(ケフ)といった当時設立したばかりのヨーロッパのスピーカー専業メーカでした、またイギリスの老舗メーカーであるタンノイやモニターオーディオも日本市場でシェアを奪っていきました。
DALIはデンマーク、KEFはイギリスのスピーカーメーカーで小型ブックシェルフやトールボーイ型に注力し、あっという間に世界のシェアを奪っていきました。
現在オーディオショップのスピーカーコーナーには大型タイプではJBL・タンノイが並び、小型ブックシェルフとトールボーイにはヨーロッパ勢がずらりと並んでいます。
日本のブランドと言えば小型ブックシェルフばかりが目立ち、展示されているのはヤマハ・デノン・オンキョーくらいで寂しいばかりです、逆にDALIやKEFは専門コーナーまで設けているショップもあるくらいです。
それにしてもDALIのスピーカーは小型ブックシェルフでもトールボーイでも繊細で軽快な音色を放ちます、DALIはデンマークのオーディオマニアが究極の音質を求めた結果誕生したメーカーで音質に真摯に向き合う姿勢を感じられます。
日本のブランドも、80年代に世界に誇ったような繊細でありながら軽快な音質のスピーカーをそろそろ本気で出してほしいと願うばかりです。
前回までお伝えした3セットのDIYキットで作ったエンクロージャーに、今回はそれぞれの適合スピーカーユニットを取り付けます。
3セットのエンクロージャキット
詳しくはそれぞれの組み立て記事をご覧ください

先ずは、パイオニアの6Cmフルレンジを制作したエンクロージャーに取り付けます。

ユニットはこんなにも小さいです。

そして、取り付けた状態がこちら。
取り付け前にケーブルの接続を絶対に忘れずに。

次は、マークオーディオの8Cmフルレンジです。
これは将来間違いなくプレミアムが付く逸品かと思います。

6Cmと8Cmでは、大きさが全然違うように感じます。

エンクロージャーに取り付ける前に付属の密着ダンパーを貼り付けます。
エンクロージャーではなく、スピーカーの内側に直接貼っても問題ありません。

エンクロージャーに取り付けて見ると、なかなか迫力があるユニットです。
このユニットだけビスが極太で素手では皮が剥けそうになります、力が弱い人は電動ドリルが確実に必要です。

最後は、フォステクスの8Cmフルレンジです、こちらも将来プレミアムが付く可能性大の逸品です。

マグネットが重すぎて横向きにならないので窪みに挿して撮影したほど。

こちらも綺麗に取付完了です。
密着ダンパーが付属していますので必ず貼り付けてからネジ止めしましょう。

やはりユニットを取りつけると格好が付きます、ユニット単独で見るよりも迫力が違いますね。
各ユニットを取り付けたスピーカーシステムの音質確認は別のカテゴリ記事で公開します。

70年代からオーディオを道楽としている往年のオーディオマニアの間では、「音楽を聴く1時間前にアンプの電源を入れ温めておく」という常識的な習慣が存在しています、そしてこの真相にはしっかりとした根拠が存在しています。
解り易いのが真空管アンプです、真空管はその特性上ヒーターが充分に温まっていないと電子の飛び出しがスムースに行われずに音質にかなりの影響が出ます、と言ってもほんの5分ほどで安定します。
では何故1時間も電源を入れっぱなしにする必要があるのでしょうか、これは実際に経験するとよく解ることです、冬場の冷え込んでいるときなどは特に解り易いのですが電源オンしてすぐに音楽を聴くと低音も高音も張りがなく薄っぺらい音がします、しばらく聞いていると突然いつもの音に急に変わってくるのが解ります。
この現象は特に70年代後半~90年代前半に出たMOS-FETを使用したA級アンプでは顕著に出ます、不思議なことにトランジスタより後に出たFETというのが謎ではあります。
しかし1時間と言うのは少し大げさで、私の経験では長くても10分くらいでかなり安定します。
ヤマハの70年代のアンプはこの傾向が顕著で手持ちアンプのA-5というアンプは30分以上たたないとまともに鳴ってくれません、特に電源オンから3分間程は音量も上がってこないのです、最初は壊れているのかと疑ったほどです。
シリコンで作られたトランジスタやFETも真空管以上に熱を発します、メーカーではアンプの音質調整にある程度通電した状態で各種の抵抗値やコンデンサの容量を変えていき、音質が調った値で最終的な設計図を完成させています。
したがって、通電して温まった状態でないと本来のその製品の音質にならないという確かな根拠がここにあります。
最近のアンプであれば電源を入れてCDをセットしてローディングして聴きだすまでの時間が約1~2分です、このくらいでも音質の変化はほとんど確認できません。
つまり最近の製品であれば電源オンしてすぐ聴いても良い音で鳴ってくれるということです、逆に70年代や80年代のビンテージアンプはやはり聴く前に10分ほど通電するほうが無難だと思います。

バブル経済が崩壊しオーディオ界も氷河期とも言える時代に突入します、そんな90年代前半にはフルサイズのコンポーネントからミニサイズのコンポーネントが市場に溢れるようになります。
30Cm程度の幅の安価なアンプやCDプレーヤーが次々と発売され、エントリークラスのシステムコンポがショップにずらりと並んでいました、またそこに使われているスピーカーはみな小型ブックシェルフで如何にも安っぽい作りだったのです。
そんなオーディオ氷河期に、ミニコンポのスピーカーにおけるグレードアップ需要を見通したのかオンキョーからハイグレードな小型ブックシェルフが単体で発売されました、それがD-202Aに始まる202シリーズです。
小型ブックシェルフでありながら大型ブックシェルフにも劣らぬ音質は、オーディオ評論家やマニアの絶賛を受けオーディオ各誌の賞も総なめにしました。
当時はちょうどスピーカーの大御所ダイヤトーンが新たなシリーズを出していた時期で、シリーズの中型スピーカークラスはかなりシェアを奪われたと思います。
ダイヤトーンから新製品が出ないことを尻目に、次々にオーンキョーはブラッシュアップした小型ブックシェルフを市場に投入してはシェアをどんどん拡大させていきます。
気が付けば数年後の1999年にダイヤトーンはオーディオ事業から撤退してしまいます、まさかのダイヤトーンの事業廃止には本当に驚きました。
オンキョーがダイヤトーンに変わってスピーカーの大御所になるとは時代の価値観の変化とは実に非情な結果を齎すものです、時代の流れに素直に乗れた企業がいつの時代も繁栄するのです。