ホームシアター道楽にはまり始めて5年もすると、いろいろな実験や研究をしたくなるものです。
そんなホームシアター黎明期には、各社からサラウンドチャンネルを増やすときに便利なマルチチャンネルアンプが発売されました。
今ではホームシアター黎明期の遺物となっていますが、BTL接続で2Chアンプにもなりピュアオーディオでのパワーアンプとしても活用できる代物です。
本機は、AVアンプの音質改善やサラウンドプロセッサーに繋ぐパワーアンプとして遊べるかなと思って購入したのは良いのですが1年もしないうちに使い道も無くラックに収まりました。
そんな時代の申し子のような4ChマルチアンプがヤマハMX-35(1990年発売、定価3.7万円)です。
ヤマハ MX-35
上に載っているのはアッテネーター付きラインセレクター
このMX-35は4Chパワーアンプですが、BTL接続すると2Chのハイパワーアンプと化す優れモノです。
当時は、それでいてこの価格は極めて魅力的に映ったのです。
音質を再度確認してみましたが、ナチュラルそのものですが迫力不足は否めません。
まあ、所謂BGM音質なパワーアンプです。
価格が価格だけに高音質を期待してはいけないかもしれません、それよりも各種の実験に当時は大活躍してくれました、こういった手軽さにこのパワーアンプの魅力が在るのです。
テレビの音質向上や5.1Chを疑似7.1Chや9.1Chにスケールアップする実験など何かと頼りになるパワーアンプでした。
何よりも小型軽量が嬉しいです、更にBTLで50Wは不足感はありません。
また消費電力も少なくて、小音量でしか愉しめない人には持って来いのパワーアンプでしょう。
現在、中古価格でも1万5000円~2万円と価格もロングランで一定に留まっているようです、いまだに中古が出れば即売れるという人気を誇っています。
※ピュアオーディオ&ピュアホームシアター製品の評価記事はこちらのブログを参照下さい。
オヤジの音箱
・音箱アンプコレクション
・音箱試聴室
オーディオの最大の愉しみは良い音の追求です、昨日よりも今日、今日よりも明日、少しでも良い音が出るように調整や機種変更をして日々音質を追求します。
その過程では1本1万円以上するケーブルを使ったり、6万円も出してCDプレーヤーとアンプの間にノイズカットのライントランスを入れたりするのです。
更には、電源ノイズを減らすために完全に外部とアイソレーション出来るパワートランスまで20万円も出して購入したりします。
実は、アンプやスピーカーよりもこういった目立たないアクセサリー類に意外とお金がかかるのです。
自身の中の納得と妥協との戦い、楽しくもあり極めてストイックな世界だと思います。
こういった生活するのには何の役にも立たない追求道楽は、一部の男性特有の思考だと思います。
生きる為には不要な物にお金と時間をかけ、更には自身を追い込む程のストイックなまでの闘い、道楽とは何とも理不尽なる存在かもしれません。
でも、こういう道楽が有ってこそのビジネスなのです、こういった人の多くはビジネスにも同じようなストイックさを求め大きな事業を構築していきます。
さて、そんな道楽でも常に追求だけでは気が休まりません、そこでメインシステムから解放され、お気軽システムのセカンドシステムを構築している人も案外多いのです。
私はメインの他に3つのサブシステムがあります、サブシステムはBGM的に音楽を気楽に楽しむのが目的ですからエントリークラスの製品で構成したり、余程の音でない限りは細かな事を気にせずに済むシステム構成にしています。
この二極分化のメリハリもまた、長くオーディオ道楽を続ける秘訣かもしれません。
「お金が無いから」、「時間が無いから」、「経験が無いから」という所謂「無いから」言い訳で妥協する人は、ビジネスでも例え道楽事であっても利益を生むことは決してないと思います。
私は妥協することは何に対しても最大の上手くいかない原因だと考えています、ことオーディオ道楽に関しても同様です、もし予算が無くて欲しいと思ったものが買えない時には買えるまで我慢して待つことです。
ここで我慢しきれずに別の安価なものを買ってしまうと、後悔だけが残って本当の喜びの中で音楽を愉しむことはできないでしょう。
欲しかったものが手に入った喜びは大きいです、更にそれを使い続けて大切にするから壊れることもなく長年使え、その結果余計な出費が無くなり結果お金も貯まるというものです。
どんなことに関しても自分の思ったような結果が出ない人というのはどこかで妥協してしまっているのです、一事が万事で道楽事に手を抜いたり妥協する人はビジネスでも人間関係でも上手くいかない人なのです、道楽の姿勢を見れば人生に対する覚悟と姿勢が解るということです。
何故こんな話になったのかということなのですが、オーディオ道楽復活後に新規に組むシステムや購入において妥協しなかった結果、後悔も無く無駄なお金が出て行かずに済んだのです。
書斎のデスクトップオーディオではイマイマのD級アンプで妥協しなかった結果、手持ちの機種で全て事が足りてしまい、しかも音質は大満足のシステムが組めました。
デスクトップオーディオもコンパクトに取りあえず愉しめればいいやと妥協せずに本格的な音質を追求した結果、試験的に音質を確認する為の費用は出ましたがシステムの多くは封印前の状態が最適だと再確認でき結果的に少ない費用で構築できました。
妥協は後悔が残るだけです、何事も妥協せずに追求するに限ります。
アナログ音源のレコードを多数持っている人で昔のプレーヤーを使って手軽に現在のライン専用アンプでもレコードを愉しむことができる装置がフォノイコライザーという製品です。
アナログ全盛期のアンプには必ずフォノイコライザーが付いていましたが、CD全盛期になってCDダイレクトなどの機能が付加してフォノイコライザー機能が落ちてしまいました。
アナログの復活で、最近またプリメインアンプにフォノイコライザーが付くようになりましたが、フォノイコライザーが無いアンプでレコードを聴くには必須の製品です。
本機は、デジタル時代に誕生したソニーのアナログプレーヤーPS-LX350Hと同時に発売された、MM型フォノイコライザーのソニーEQ-2(1999年発売、定価0.5万円)です。
ソニー EQ-2
フォノイコライザーは、レコードプレーヤーのカートリッジの音をエンハンスしてアンプで増幅できるように電圧を上げる装置でハイエンド製品になると100万円以上します。
本機は電池式で、おそらく簡単な電圧増幅と整形回路だけの製品だと思います。
入力が無いと電源が自動で切れ、余計な電池の消耗も無いので安心して使えます。
電池式フォノイコライザーはほとんど見かけないので、検証には面白い製品だと思ってPS-LX350Hと同時に購入しました。
1990年以降のフォノイコライザーが付いていないアンプにアナログプレーヤー(レコードプレーヤー)を接続する目的で使います。
オーバーな話が、このフォノイコライザーが有ればレコードプレーヤーをプリアンプ無しでダイレクトにパワーアンプに接続する事も可能です。
面白いことに一度消えたフォノイコライザー付のアンプ類ですが、2005年ごろからレコードブームを意識してかほとんどのアンプに再びフォノイコライザーが付くようになります。
さて、検証として本機を使った場合とアンプ内蔵の場合とをいろいろなアンプで比較してみましたが、聴いた限りではほとんど大きな差はありません。
まあ、音質や音色を変化させる要因がほとんどなく、アンプで増幅可能域まで電圧増幅させるアダプターとして考えるべき製品だと思います。
通常、フォノイコライザーはプリ・プリアンプと言われるように真空管やトランジスタで昇圧させながら音質に味付けがなされています、こういった味付けがない電池式のフォノイコライザーは意外とニーズがある製品かもしれません。
おそらく、ニーズの有る人には当時の価格以上のお金を払っても手に入れたい製品でしょう、例えばPAシステムにアナログプレーヤーを接続したいとかレコードをAD変換(アナログ→デジタル変換)してデジタルサラウンドプロセッサで聴きたいなど各種のニーズが考えられます。
ちなみに中古価格を調べたら3,500円~7,000円でした、発売当時の価格以上しているのには驚きますが、こういった珍品は将来もっと上がるかもしれません。
※ピュアオーディオ&ピュアホームシアター製品の評価記事はこちらのブログを参照下さい。
オヤジの音箱
・音箱アンプコレクション
・音箱試聴室
「歴史は繰り返す」とはいえ、こと電化製品に関しては進化するのみで旧技術に戻ることは普通は有り得ません。
ただしオーディオだけは例外のようです、2000年以降に20年以上前に廃れたはずのカセットテープ&カセットデッキが復活し次いでレコードを聴く為のレコードプレーヤーが復活し新製品の製造も開始されています。
更には70年代にトランジスタ全盛時代を迎えたアンプも真空管アンプのブランドが乱立し今更ながら脚光を浴びています、真空管アンプの大御所であるラックスマンも近年久しぶりに真空管アンプをリメイクし復活させました。
このアナログの復活は私的には大歓迎です、何故なら1000枚以上もあるジャズレコードが再び最新のレコードプレーヤーで聴くことができるのですから、更にはレコードプレーヤー用のイコライザーまで最新デジタル技術を駆使した新製品が誕生してきています。
そもそもオーディオは最終的にはアナログ回路によって電流増幅されスピーカーで空気振動(アナログ)に変換されるわけです、つまりオールデジタルでは音にならないのです。
そういう意味では音質を最終的に決めるのはアナログ回路です、であれば入口から出口までオールアナログの方が音質をコントロールしやすいというのも納得できます。
デジタルオーディオの雄であるCDプレーヤーは、内臓のDACによってアナログ出力する機械という割り切りによってアナログメディアであるカセットテープやレコードと共存できます。
つまりアンプはDACを排除したフォノイコライザーとアナログ増幅機に注力でき、アナログによる音質向上に注力できるようになります。
まさかのアナログ復活、この時代が来ることを正確に読めていたならサンスイはどんなことをしても生き残りを図ったのでしょう、時代の変化とは企業も人も大きなチャンスでもあり逆に大きなピンチでもあるのです。
「歴史は繰り返す」、これを信じて再び天の時が来るのをじっと耐えて待つのか、それとも積極的に変化に順応するのか、この選択をした2者は生き残りそのどちらも選択できなかった中途半端に時代に翻弄された者は確実に淘汰されるということです。
どの時代もどの業界も、生命体も技術や機械もこれに関しては例外はありません。