
数多い日本のオーディオメーカーですが、その中で憎いほどに消費者を誘導する戦略を繰り出すメーカーが在ります。
アンプではヤマハとマランツであり、スピーカーでは90年以降のオンキョーです。
マランツは、80年代後半辺りから各社よりも性能を強化しているものの一段価格を落としたアンプを継続的に多数出しています。
これに合わせて価格の張る上位機種も出します、価格が安くて高性能に踊らされて買い、更に買ってからアップグレードしようと考えるもやはり上位機種もマランツを選んでしまうような価格設定をしています、本当に憎い程の戦略を繰り広げているのです。
ヤマハは逆に70年代から高性能なハイエンドやミドルクラスを先ず先に出し、それと同じエッセンスを詰めたエントリークラスを次に投入するのです。
消費者をハイエンドクラスで一旦引き付けておいてのエントリークラスの投入、これによって入門者を一気に引きつけることに成功します。
オンキョーは、90年代に入ると小型ブックシェルフスピーカーでこれでもかというくらいにエントリークラスからミドルクラスまで細かくシリーズ化し、どのクラスを買っても後悔しない音質を提供しました。
アップグレードの要求とサブシステムの要求を満たし、多くのファンを引きつけることに成功したのです。
私もこれにまんまとハマった一人で、たった1台の小型ブックシェルフでオンキョーファンになったくらいです。
そして、その後はアップグレードの上位機種もサブで使う下位機種もダイヤトーンではなくオンキョーを選んでしまうのです。
「策多ければ勝ち、少なければ負け」、戦国時代に名策士と謳われ毛利元就を自らの死後までも大いに苦しめたことで知られる、出雲の名武将である尼子経久が自身のポリシーとした兵法の極意です。

オーディオ道楽に目覚めると誰しもどんどんエスカレートしていきます、そこで音質を良くしようと考え数段階も上のスピーカーを買って繋いでみたら前の安価な方が良かったなどという理不尽な経験も幾度となく繰り返します。
どんなことにもデグレードという更なる向上を目指した行為が、思いとは裏腹に一時的な劣化を起こすという現象があります。
ことオーディオに関してはある意味ではデグレードの連続です、しかしデグレードという経験こそオーディオテクニックを磨いていくのです。
例えばスピーカーは大きさや密閉かバスレフかなどのエンクロージャー方式によって設置するベストな方法がガラッと変わってきます、たまたま最初に買って設置した方法がそのスピーカーではベストな方法であったとしても新しいスピーカーでは最悪な設置になっている可能性があります。
フロア型は床の反射を考慮してユニット位置などを設計していますし、小型ブックシェルフは空間に浮かせるような設置で最高の音質を出せるような設計になっています。
更にはスピーカーの大きさや設置場所によって最適なリスニングポイントが変わってきます、これを知らないと位相反転での合成キャンセルされる最悪なポイントで聴いている可能性もあります。
こういったことはデグレードを解消していく過程で自然に身についてくるノウハウです、まずは自分で経験しないと身につかないのです。
またエントリークラスの製品同士だと音質の相性が出やすく、手持ちのアンプやスピーカーが沢山あればこういった理由も繋ぎ換えればすぐ解るのですが、最初のうちは数セットだけですから理不尽な思いをすることも多々あります。
高価な物に買い替えたら残念な音質になった、そんな投稿が昔からネット上に溢れています。
私は自身が持っている製品でこういった評価を見るとすぐ理由が解ります、多くはスピーカーの場合は設置方法にありますし、アンプの場合はスピーカーとの相性の問題が大きいです。
音質の癖を消し合うように組み合わせるのか、それとも双方の癖をぶつけて出し合うように組み合わせるのか、それぞれの癖をリファレンスを使って解っていると組み合わせで失敗することも少なくなります。
料理でいう調味料の組み合わせに極めて近いのが、オーディオの製品同士の音質の組み合わせと最終音質です。
そして、最終的にどんな味(音質)にしたいのか、それぞれの調味料(アンプやスピーカー)の味(音質)をよく解っていなければ料理を美味しく(高音質)作れないのと同じです。
オーディオデグレード、大いに苦しみ大いに愉しんでこそのオーディオ道楽です、デグレードを起こしたらチャンスとばかりに愉しんで解消法を導くテクニックにチャレンジしてほしいと思います。

オーディオに限らず家電製品には、昔から「オープンプライス」という販売制度があります。
このオープンプライスというのは定価を定めずに小売店が自由な価格で販売できるというもので、メーカーにも小売店にも幾つかのメリットが生まれます。
メーカーのメリットは、新製品を出して旧型になり在庫処分価格で卸しても定価の表示が無いので小売店が価格を下げなければ在庫処分だということがバレることはありません。
小売店も在庫処分価格で大量に買い取っても、旧来の価格で販売できるので利益率が上がりメリットが享受できます。
ただし困るのがマニアです、マニアはデーターが重要でいつ発売されたのか定価は幾らだったかが重要なデーターであり、オープンプライスだと定価が解らないので中古で購入する際などに躊躇する傾向があります。
オーディオの中古市場でもこの傾向が明確に現れているのが解ります、定価を表示していない(できない)製品は大量に売れ残ってしまいます。
ヒット商品だったのかコストパフォーマンスの良い商品だったのかなどの情報を、定価と販売価格との差から計ることができないからです。
メーカーや小売店にとっては都合の良いオープンプライスという制度、オーディオマニアにとっては実に迷惑な制度だと思うのです。
そこでオーディオマニアが参考にするのが発売当時の実売価格という指標です、オーディオショップや量販店での実売価格から本来あるべき定価を導き出しているのです。
できないものはできる方法を策定する、どの分野においても前向きに取り組む人が勝者となるのです。

今ではCDレシーバーやエントリークラスのAVアンプにおまけのように付いているFMチューナーですが、音質が良いとはいえあくまでもオーディオソースとしてはFMラジオです。
でも大学時代はそんなFM放送もジャズ特集などをオープンリールデッキで録音しては楽しんだものです、レコードを買う前の内容の事前チェックもできて当時は実にありがたいソースだったのです。
レコードを買うと高いので録音で我慢するのですが、時が経てば結局最終的にはレコードがどんどん増えていきFM放送を聴くことも少なくなります、そしていつの間にかFMチューナーはお飾りとなってしまうのです。
このFMチューナーですが意外な使い方があるのです、それはアンプが故障したときやスピーカーを自作するときなどのテスト用ソースとして極めて手軽でいいのです。
私はこういったケースには小型軽量で扱いやすい90年代に発売されたハイコンポ用のFMチューナーを使っています、CDでジャズやポップスの音を確認してFMチューナーで人の声のテストを行うのです。
FM放送は何時の時代にも必ずニュースや音声ドラマなどが流れています、人の声は極めて重要で音の基本かと思うくらいに中音域中心でこれを生声の様に綺麗に再現する必要があります。
中音域が綺麗だと低音や高音が伸びていなくてもある程度の満足感が得られます、逆に中音域が引っ込んだような音だと小音量でもうるさく感じてしまうのです。
電源オンで各種の音源が得られるFMチューナーは、ある意味では最も手軽なリファレンス音源だと思います。
ちなみに時々聞きたくなるバロック音楽はFMの特集で好きになったジャンルの一つです、わざわざCDを買ってまで聞くまでもないようなジャンルもFMチューナーなら手軽に楽しめるのです。
また、寝起きのコーヒーを飲みながらのFM放送のニュースはテレビを観るよりも疲れが無く快適です、目からの情報は意外と頭が疲れるのです、朝の自覚のないストレスはボディブローのように午後になると襲ってきます。
また就寝前の時間も私のFMタイムです、夜間は静かな曲を流す番組が多いので聴き流しには好都合なのです。
オーディオファンなら、確実に1台はしっかりした音質のFMチューナーを寝室などのサブシステムにセッティングしておくことをお奨めします。

数年前に還暦を越えて五十肩を患いました、自分は大丈夫だと思っていたら多分にもれず突然のように襲われました。
五十肩とは「肩関節周囲炎」の複雑な症状で、間接周辺の筋肉や筋などの組織が同時多発的に作り変わる際に起こる炎症だと言われています。
特に上半身を使うスポーツをやっていた人に起こり易く、大きな力を一気に出せる構造から小さな力を継続して出せる構造へ進化する過程で起こる症状です。
オーディオ道楽復活からちょうど1年目に発症し、腕をちょっとひねっただけで激痛が走り往生しました。
でも不思議なことにオーディオ道楽をやっている時にはこの痛みが気にならないのです、重いアンプでは30Kg近くもありラックにセットしたり移動するのは男性でも一人だとかなり厳しいものです。
ストックラックの最上段は150Cmほどの高さで、完全に腕を伸ばして上げないと置けません。
この伸ばして上げる運動が一番痛いのですが、何故かアンプやスピーカーだと傷みが無く力が入るのです。
五十肩は1年ほどで自然に治るらしいのですが、早く治すには痛みを堪えてリハビリを行うとよいという医師の記事もあります。
また、友人も医師からリハビリの方法を教えてもらい実行したら楽になったと言います。
そのリハビリですが、力の入れ方がオーディオ道楽での移動やセットする際の動きとよく似ているのです。
いずれにしても厄介な五十肩ですが、オーディオ道楽には特に大きな障害になることもなく自然に約1年で収まったのです、オーディオ道楽がリハビリになっていたのかもしれません。