オーディオを道楽としている人を「オーディオマニア」と世間では言うようですが実はいろんな趣向の人がいるのです、正確に分類されているわけではないのですがオーディオを道楽としている人は十人十色で本当に人によって目的も日々の行動も違います。
多くのオーディオマニアは共通して「オーディオが好きなだけで自分はマニアではない」と言います、多分にもれず私も「オーディオマニア」とは呼ばれたくない派です。
「マニア」という言葉の響きや意味が「オタク」と同類と捉えられることに強い拒否感を示すのです、マニアとオタクの違うところは労せず得た知識だけなのか、それとも実践を通して苦労して得た生きた知恵なのかの違いだと思います。
私はただただ機種による音の個性を楽しみ、開発者の製品に込められた音への拘りを見い出しては愉しんでいるのです。
また70年代後半~90年代前半の15年ほどの間に発売されたスピーカーとアンプ、変わった方式の珍スピーカー、年代問わずの真空管アンプに技術屋としての強い憧れのようなものを持っています。
これらを時々鳴らしては古き良き昭和の時代を懐かしみ独特の音に心和ますのです、この限られた15年間ほどのオーディオ製品は他の年代には一切無い本当に私にとっては幸福感を味わえる独特な音がするのです。
良い音とか好きな音とかではなく捨てられない音というものでしょうか、この精神的なリラックス感は私の日々のビジネス原動力とも言えるほどに重要なファクターの一つなのです。
私にとってのオーディオ(愉音)は長寿と健康の薬、そう思えば安い買い物だと思うのです。
それと私はハイエンドな高級品だとか、エントリー(入門)品だとかという価格的価値には一切の拘りを持っていません。
自分の気に入る音を追求する過程で各種の製品を買っては楽しみますが、結果として最終形が高級ハイエンド品になる場合もあるし、意外にもエントリークラスのアンプが気に入って使い続ける場合もあるます。
特にアンプのエントリークラスの製品では突如驚くほど良い音色がする怪物が誕生することがあります、だから時々その年代を代表するエントリークラスのアンプを購入し続けるのです。
逆に技術の粋を集めて作られた最高級A級アンプの音にガッカリさせられたことが何度もあります、アンプはノイズ特性や音質も重要ですが、ジャズやユーロビートを聴く私には繊細で高価なA級アンプは無用の長物のようです。
スピーカーは価格にナローカーブでほぼ比例しますが、アンプは本当に価格ではなく実際に聴いてみないと測れないものだとつくづく思います。
一方で、高級ハイエンドの海外製品を色や形状もさることながら、音のバランスなどまったく考えずに組み合わせている成り金オーディオマニアは昔からいます。
過去にはバブル不動産成り金、イマイマでは仮想通貨の億り人、何時の時代も入れ替わり立ち替わりで現れては数年で消えていく夢見人がいるものです。
きっと彼らは音を楽しむのではなく、高級外車と同様に高級オーディオを持っているという経済ステータスマニアなのだと思うのです。
逆に電子工作好きな人でお金をかけずに手作りスピーカーや手作りアンプに没頭する人もいます、私も市販品で時々DIYオーディオを楽しんではその時代のスピーカーユニットを確認してみることもあります。
特にスピーカーキットの多くの場合はコストパフォーマンスは極めて悪いものになり、せっかく時間とお金をかけて作ったのに呆然となることが多いです。
そして見た目が良くないのです、音に関しては見た目じゃないのですが私は見た目も使い続ける為の重要なファクターだと思うのです。
同じ費用をかけるなら、既製品の方がはるかに見栄えが良く完成度の高い音が手軽に手に入ります。
ただし自作もピンからキリまであり、10Cm角の極小さなスピーカーエンクロージャ(箱)で10万円以上もするものもあります。
これは材質に拘り、無垢の高級木材や真鍮とかチタンなどの金属、また陶器であったりしますが音的には疑問符だらけです。
同じようにスピーカーユニットも、JBLやタンノイなどの高級品だとペアで30万円以上などは珍しくありません。
キットと言えども流石にペアで50万円近くかけると、その音は驚くほどの威力で既製品では絶対に有り得ない独特の音を手に入れられます。
また高級ブランドのラックスマン(Luxman)からは真空管アンプのキットが発売されていた時期があり市販品とほぼ変わらない価格がします、私も大学卒業時にラックスマンの真空管パワーアンプキット(A-3600)を買って部品一つ一つを半田付けして完成させました。
当時の価格で8万円程度だった気がしますが何と40年経った今でも中古で20万円以上で取引されておりビックリ仰天です、確かに使っている部品価値からすれば今の時代の20万円は安いくらいなのかもしれません。
これらを実家から40年ぶりに運んできてもちゃんと鳴るのかが最大の心配事です、なにせこの10年間見てもいないのですから。
親父の遺産である巨大な仏壇や無垢のヒノキで作ってある家具職人が手作りしたという大型家具3点などと共に、40年ぶりに実家から引き上げる計画を現在粛々と練っています。
問題は置き場所です、間口の広い一軒家でないと確実に入らないでしょう。
ところで自作した独特の個性の強い音とは優等生の良い音とは次元が異なります、癖の強い個性的な音とは人によっては何とも言えない音との出会いに歓びを感じるのです。
これが優等生の音とは一番違うところで、誰もが良い音と感じないので音の好みとは面白いものです。
分かり易く言うとブルーチーズとかパクチーみたいなもので、一旦好きになれば最高の味であり無いととたんに物悲しくなるのです。
きっとDIYオーディオ道楽の彼らも自分の好きな音を得る喜びが大きく、独自の音を作れたことで大満足しているのでしょう、
これに関してだけは誰も何も言えないその人だけの世界観なのです、誰が何て言おうが自分の好きな音が最高なのですから、それで良いのです。