音質を自在に操るスゴ技マシンが昔から在ります、それはグラフィックイコライザー(略称:グライコ)という、マルチトーンコントローラーです。
70年代後半から85年ごろまではホームオーディオで大人気製品の一つだったグラフィックイコライザーの中でも、グレードが高く高級仕様で大ヒットしたのがビクターSEA-70(1980年発売、6万円)です。
オープンテープデッキでFMやレコードを好みの音質に変えて録音しては2年程大いに愉しんだものでした。
90年代に入ると、ライブハウスやスタジオで使用されるプロフェッショナル仕様のグラフィックイコライザーが多発しました。
今現在は、ホームオーディオカテゴリでは製品化されているものがなく、現存するのは全てがプロユースの製品ばかりです。
その意味ではピュアオーディオ用の本機はいまだに使用しているマニアもいるくらいです。
ビクター SEA-70

ミドルクラスのプリメインアンプが7万円という時代にマルチ周波数とはいえトーンコントロールだけで6万円、でもこれが当時は大いに役に立ったのです。
グラフィックイコライザーとは、本機の場合では12段階に左右別々に周波数を分別してトーンコントロールが可能で、特にレコードやFMチューナーからカセットテープやオープンテープに録音する際に劣化しやすい高音域などの補正に効果を発揮し、録音で音質が落ちるのを見事に補正してくれるトーンコントロールアンプです。
80年代後半になると録音性能やMDなどの高音質デジタルメディアの誕生で徐々に使われることが無くなったのですが、再生音質の向上用にいまだにニーズが高く中古でも発売当時の定価以上するものも少なくありません。
こういった製品は上手く使うと、どんなスピーカーでも詳細に音質向上が図れ、小型スピーカーが中型スピーカーに、中型スピーカーが大型スピーカーに化けてしまうのです。
ちなみに実験ではサラウンド用の70Hzまでしか下が伸びていない小型スピーカーが無理している感はあるものの40Hzくらいまでは下に伸びてきます。
またセンタースピーカーの中音域を上げてやるとリアルなボイスが飛び出してきます、使い方次第でいろいろと愉しめます。
更には、アンプやスピーカーの欠点や癖までも見事に補正してしまいます。
また、部屋による左右の反射の違いの補正なども行え、現在でも意外に各所で使えるのです。
現在、グラフィックイコライザーはプロ用しか出ておらず、ホームオーディオ用は皆無ですが、また再び脚光を浴びる日が来るかもしれません。
何といってもレコードやカセットデッキが復活して、当時の製品が大人気なのですから。
※ピュアオーディオ&ピュアホームシアター製品の評価記事はこちらのブログを参照下さい。
オヤジの音箱
・音箱アンプコレクション
・音箱試聴室

オーディオ道楽とはオーディオだけに限らず多くの知識が自然に身につくものです、中でも身につけておくとオーディオ人生の楽しみが倍増するのが各種のインターフェースとオーディオ機器の電気的な知識です。
それ故にオーディオとはある意味では電気工学と音響工学そのものであり、道楽というよりも学問の学びと同じような性格のものだと思います。
特に各種ソースの媒体による信号の性格、アンプやプレーヤー類の接続に関わるインターフェース、音そのものの性格による音響工学、この知識が更に良い音を作り出すために必要になってきます。
これらの結果において最終的に音になるわけですが、音そのものは空気振動であり耳にどのように入ってくるかなどまでノウハウが必要になることもあるのです。
さて、このような知識とノウハウが貯まってくると自分の思うようにオーディオ機器を繋ぎ好みの音を作っていくことが可能になります。
例えばCDプレーヤーとアンプの間にノイズリダクションと音質向上の目的でラインアンプを入れるとか、パワーアンプだけでCDを聴くとか、不要な機器を外したり必要な機器を加えたりと自由自在に音を作り愉しむことができるようになります。
基本的に信号の種類と電気的特性が同じであればどのような機器でも接続することが可能であり、場合によってはホームオーディオ用の機器とPA用の機器も各種の変換ケーブルを駆使すれば混在させることができます。
これは先ほど説明したようにコネクタの違いこそあっても、信号の種類と電気的特性が同じなのでコネクタの変換だけを行えばよいわけです。
また85年以前のアンプには「CD」入力端子がありません、でも「AUX」に繋げば問題なく接続できます、こういった知識が更にオーディオの愉しみを味わい深いものにしていくわけです。
時間をかけて、そして実体験を通して各種の知識とノウハウを身につけて大いにオーディオを愉しんでほしいと思います。

デジタル全盛時代ですがオーディオも然りです、例えばイマイマの音楽ソースはPCをメインにしている人も多く、CDなど嵩張るだけで面倒くさいと考えている人も多いでしょう。
そんな時代を象徴するかのように世の中にはUSBアンプやDACが溢れています、こういったデジタル機器は何れも新しいデジタルICなどが生まれると一気に陳腐化してしまいます、また価格もスペックとは逆行し安価になる一方です。
こんな時代には音質を決めるDACの性能が音的な価値ということでは全てであり、どんなハイエンドなCDプレーヤーを買ったところで数年後にはその時代のエントリークラスの音質に敵わないなんていうことも起きえるのです。
その意味で私はCDプレーヤーはデジタル音源の出力装置と割り切ってデジタル出力付きのエントリークラスを選んでいます、エントリークラスとはいえフルサイズコンポのそれなりの価格の物でないと安心できませんので何でも良いというわけではありません。
その代わり、DACはその時代のミドルクラスやハイエンドクラスに採用されているスペックを持つものを買って外付けで音質をフォローするスタイルにしています。
こうすることで、新しいスペックが出れば対応のDACを購入すればCDプレーヤーはそのまま使えます。
逆にCDプレーヤーが壊れても、その時代の安価なエントリークラスを買えばDACはそのままで以前の高音質のまま愉しめるのです。
初期の頃のものは別にしてデジタル時代のCDプレーヤーやDACに骨董価値はおそらく生まれません、そこがオールアナログ時代の製品と大きく違うポイントかもしれません。
稀に往年のハイエンドCDプレーヤーやハイエンドDACが高値で取引される事があります、これはその時代の最先端の音を聴きたいというニーズと歴史的工業品としての文化的価値を見い出してのことです。
またハイエンドでなくてもその時代のDACの音色が好みであれば必然的な価値が生まれ骨董価値も出てきます、事実世の中にはそういった特徴的な音色のDACは高値で取引されています。
昔のDACの音ってこんな音だったのかと往年の音色を懐かしむようなニーズが将来確実に生まれるでしょう、レコードやカセットテープが復活するのですから何が起きてもおかしくないのです。
一般家庭には勿論のこと、オーディオ道楽を愉しんでいる人でもそうそう持ってない製品の代表格がスピーカーセレクターという製品だと思います。
そもそも、「スピーカーセレクターって何?」という感じだと思いますが、要は複数のスピーカーを1台のアンプに繋ぎ、スピーカーを切り替えては音色の違いを愉しむという機械です。
一番使われるのがオーディオショップでしょう、各社のスピーカーを試聴してもらうときに便利に使えます。
また、1台のスピーカーに複数のアンプを繋いでアンプの音質を検証する場合にも使えます、つまりスピーカーラインが出ている製品であれば接続して切り替えることができます。
そんなスピーカーセレクターの中で、最も定評があるのがこのラックスマンAS-5Ⅲ(現行商品、定価1.3万円)です。
初代からマニアに支持され続けて本機で3世代目となりますが、その安定感と評価は絶大です。
更に特筆すべきは中古価格です、どの世代も完動ものであれば定価のほぼ80%の価格で安定しています。
アクセサリー類でこの高値で安定した中古価格を維持しているものを他に知りません、極めて稀な存在です。
ラックスマン AS-5Ⅲ

何の変哲もない4系統のスピーカーセレクターですが、切り替えスイッチの感触も上質だし、切り替え時のノイズもありません。
秋葉原やネットショップなどではかなり安価なスピーカーセレクターが売ってはいますが、アンプやスピーカーを大切にしたいのなら最低でも本機のような安心して使えるものを選んでほしいと思います。
AS-5Ⅲは、1系統の出力にはスピーカーの他にヘッドフォンを繋いでソース音源のナチュラルな音色をモニタリング出来る設計になっています。
勿論、インピーダンスも調整されているのでダイレクトにヘッドフォンを繋ぎこめます。
何台ものスピーカーの音質試験には必須なセレクターですが、常用システムで気分に合わせてスピーカーを切り替える目的で使っても便利な1台です。
アンプの帝王ラックスマンのアクセサリー製品、オーディオ道楽を始めたら是非とも手元に置きたい逸品です。
※ピュアオーディオ&ピュアホームシアター製品の評価記事はこちらのブログを参照下さい。
オヤジの音箱
・音箱アンプコレクション
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何故私はオーディオにハマってしまったのでしょう、その理由を改めて考えてみると基本的に電化製品全てが好きなんだということに辿りつきました。
私は子供の頃から電化製品が好きで、大学時代からは理由も無く本能的に新しい電化製品が出るとつい買ってしまうのです。
大学時代は、アルコールランプ式のサイフォンでコーヒーを飲むのが大流行して私も多分にもれずサイフォンを購入して使っていました。
そんな時、電気式のコーヒードリッパーを家電量販店で見つけてその場で購入してしまいました。
当時は自由な時間にモノを言わせて家電量販店に行くのが大好きで、時代の先端を行く電化製品を見つけると高額でもつい買ってしまっていました。
出始めの頃の電子レンジは30万円近くしてローンで購入、友達は当時の大卒初任給の5倍もする製品を買う私を変人扱いしていました。
社会人になってからも、空気清浄機・加湿器・ロボット掃除機などは製品が出たとたんに購入するのは当たり前として、1回使って納得して放置された調理器具は山のようにありました。
電気グリル・卓上鉄板焼き機・電気鍋・卓上IH・電気てんぷら揚げ器・電気たこ焼き器・ホットサンド製造器・フードプロセッサー・ミキサー・ジューサー・ハンドミキサー・ミル・・・、一度も使ってない物も多数あります。
もし、オーディオが電気式じゃなかったらこんなにもハマっていただろうか?
中学時代から電子工作が大好きでラジオや調光機などを自作しては楽しんでおり、そんな延長線上にオーディオがあったような気もします。
ハマっているものとは必ずその根底に意味も理由も有るのです、好きなものを紐解いていくと見えなかった自分の中に在る思考が見えてくることがあります。
道楽を通して自分と向き合う、時には必要なことなのだと思うのです。