フォステクスのP-1000Kの音を確認していて、ふと10年以上も前に組み立てていたフォステクスの12CmフルレンジユニットFF125Kと専用エンクロージャーのことを思い出して、比較の為に再度音を確認してみました。
ちなみに、ペアでのセット価格は保護ネットをオプションで付けているということもあって5万円弱とP-1000Kセットの5倍です、音も期待してしまいます。
FF125Kは、オーディオDIYマニアの中でも人気が有りスペックも文句無しです。
フォステクス FF125K+専用エンクロージャー+保護ネット

DIYスピーカーでは、その殆どが金額と音質とのあまりものギャップが大きくて正直ガッカリしますが、このFF-125Kは期待を裏切りません。
専用エンクロージャーは18mm厚のパーチクルボード(木片を樹脂で固めた合成木板)でかなりずっしりしていて箱鳴りもせずしっかりした作りです、木目調の化粧加工もしっかりしていてなかなかのものです。
現在、このしっかりした専用のエンクロージャーは発売されていませんが、エンクロージャー専門メーカーから材質がMDFに変わっていますが3万円ほどで発売されています。
本品は、バスレフダクトがプラスチックの筒ではなく木材による成形品で価格が高いのもうなずける内容です。
さて、この12CmフルレンジユニットFF-125Kですが、音質がどうのこうのというよりも12Cm口径1発ながら極めてバランスが良く明快な音を放ってくれます。
中高音域は、極めてシャープに張り出す明るい音色でジャズやロックに向く音質です。
細かい事を言えば12Cm口径なので低音域にやはり難があるのですが、3ウェイ大型ブックシェルフから切り替えてまでもこの音をときどき聴きたくなる時があるほどです。
更にラウドネスをオンにすると、中型ブックシェルフかと思わせるような迫力あるパンチの効いた音で鳴ってくれます。
また、定格入力も高くかなりパワーを入れてもまったく歪まないのでかなり使えるスピーカーユニットだと思います。
当然ですが、パワーを入れて聴く時にはラウドネスをオフした方が綺麗に聴こえます。
流石、フォステクスのフルレンジユニットの自信作だけあります、「既製品では決して味わう事のできない愉音」というのはこういう音だという代表的な音がします。
DIYでなければ得られない音、これがDIYの最大の喜びでもあるのです。

音楽を愉しんでいると自身の耳の変化というか、気になる音質や音色が変わってきていることに気付くことがあります。
よく言われるように、若い時は低音域に凄く神経がいってしまい低音域の良音再生に燃える頃があります。
サブウーハーという代物がホームシアター文化と共に生まれてくる前には、DIYオーディオでパッシブ型のスーパーウーハーを作ってみたりと何かと低音域に拘っていたものです。
そのうちにピアノの高音域やドラムのハイハットの高音域が綺麗に聴こえるスピーカーに出会うと、この輝くような高音域に魅力を感じ始めてきます。
そんなことの繰り返しで、現在の私がもっとも注力して聞き入る様に確認しているのが中音域と高音域の繋ぎの音域です。
この音域は周波数にして1Khzから5Khzくらいの層で、この音域が綺麗に再生されていると楽器の余韻やボーカルの艶という表現の生声のような響きが出るのです。
また2ウェイや3ウェイだと、ちょうどユニット間のクロスオーバー周波数がこの周波数帯にまたがっていますので、ネットワークが貧弱だと綺麗に繋ぎが取れずにバランスが悪くなります。
そんな意味で、この中音域から高音域にかけてはオーディオメーカーも最も神経を使う帯域かと思います。
また耳にはっきりと聞こえる中音域とは対照的に殆ど音として確認できない重低音域と超高音域も、ハーモニック効果で音色が変わってしまうという経験を繰り返していると凄くこの存在が気になってきます。
こういった空間でミックスされた音色が重要で、スピーカーの置き方や家具の配置も変えて音色の変化を確認するようになってくるのです。
耳が肥えてくるのか絶対的な耳の性能が年齢と共に劣化してくるのか、要因はいろいろとあるのでしょうが自身が納得する音作りって本当に時間がかかるとつくづく思う今日この頃です。

ちょっと元気が欲しい時には昔から美味しいものを食べて美味しいお酒を飲む、これが私流の一つのリフレッシュするためのカンフル剤でした。
それに似た感覚を感じることに良い音質で好きなジャズを聴くということがあります、こういった時に「愉音」とか「音の愉悦」などという言葉が脳裏に浮かぶのです。
音が精神に及ぼす影響などは昔から研究されていますが、そういった難しい学問的な話しは置いておいて、ストレスが解消し自身が元気になれることを見つけて何時でも実践できる環境を持つということが重要だと思うのです。
何時もじっくり聞くのが50年代のハードバップなどのモダンジャスですが、面白いことに元気が欲しい時のジャンルはロックに近いフュージョンなのです。
休日のお昼ごろからビールを飲みながら愉音で楽しむフュージョンは至福のひと時です、こんな時は誰にも邪魔されたくありません、なので携帯電話も電源を切ってしまいます。
またパソコンでブログを書いてもメールやスケジュールなどは一切見ません、せっかくのリフレッシュが台無しになりますから。
リフレッシュできて、明日のエネルギーを充電できるのならオーディオ道楽もまんざらではありません。
フォステクスのかんすぴキットの最上位機種の10CmフルレンジスピーカーユニットのP-1000Kを専用エンクロージャーのP-1000Eに取り付けてみましたので、今回はその音を聴いてみます。
フォステクス P-1000K+P-1000E

ずばり、音質は10Cmフルレンジということを抜きにしても悪くありません。
見た目こそユニットがむき出しの手作り感丸出しでとても高級感こそありませんが、音質は下手な小型スピーカーよりも正直鳴りが良いです。
低音域もそこそこ出るし、特に中高音域の張り出しが良いのでジャズやポップスを明るく軽快に聴かせてくれます。
豪快さは当然無理な期待なのですが、薄っぺらさはまったくなく意外と使える音質です。
サラウンド用のスピーカーなどとして考えるなら音色だけは合格点です、ただ実際のホームシアターで考えると定格入力が低くて話しになりません。
まして、ハイファイオーディオでメインではとても使えるような音質ではありません、価格からしてハイファイを求めるのは無理な注文なのですが。
そういう意味ではセットで2万円でも良い音質の小型ブックシェルフが沢山出ていますので、手作り感を得たい目的以外に購入する価値を見い出すことはできません。
それとやはり10Cm口径なので音圧が低いのに定格入力が20W台で、ちょっとボリュームを上げるとそれほど大きな音に感じないのにユニットが壊れんばかりの歪を発生させて音にならなくなります。
また、パワーを入れるとエンクロージャーの箱鳴りが酷くて実質的には5W程度が限界かもしれません。
小音量では元気に鳴ってくれるのですが、この程度の音量で限界だとベッドルームでのお休み用かPCオーディオでの使い方くらいしか思いつきません。
ただ、小音量だと今度は低音域が極端に弱くなり、確実にラウドネスをオンにしないと聴ける音にはなりません。
まあDIYとはとても言えたものではありませんが、若干なりとも手作り感を味わって小音量で楽しむ分には小型軽量で使いやすいかもしれません。

昔からオーディオマニアの間で論議される話題に、「季節によって音が変わる」というのがあります。
私もどちらかというと「確かに変わる」と思う派で、同じソースでも夏は低音域がもったりし冬は低音域の切れが良くなる気がします、この現象はあくまでも私の推論ですが湿気に影響すると考えています。
スピーカーのコーンは非常に軽い紙や布などで出来ており、これが湿度が高いと湿気で重くなり湿度が低いと乾いて軽くなるのではないかと考えています。
昔これを古くなったスピーカーを使って実験したことがあります、その実験方法とは同じスピーカーの片側だけのスピーカーに1g程度に切った消しゴムをくっつけて聞き比べるというものです。
ソースはモノラルに切り替え、左右同じ音を出すようにしてバランスで左右を切り替え音の違いを確認しました。
1g程度ではほとんど変わることはありません、ところが3g位になるとかなり音質に差が出てきました、低音域が誰が聞いても違う音色になります。
重くした方は低音域がかなり増すのですが後を引くようにどよんとします、元々のソースに入っている音の余韻とは異なりエコーがかかったようにもたつきます。
ただ薄いコーンが湿気だけで数グラムも重さが増えるのかという疑問は残るのですが、コーンが重くなると低音域が大きく変わるという事実は実証できました。
同じ空間に湿度の違う環境を作ることは不可能なので、自然な形での立証はかなり難しいと思います。
また湿度によって空気振動そのものが変化するのかもしれません、これもまた仮説の段階です。
更に温度や湿度による人間の持つ感覚のせいかもしれません、もっと言えば「勘違い」なのかもしれません、何れにしても季節によって「音が変わる」ように感じることは確かなのです。