2025年3月15日 07:00
大学時代は、家にいる時の多くはテレビはほとんど観ずにFM放送を聴いていました。
時々思いついたようにジャズのレコードをかけますが、片面20分ではゆったりと各種の道楽作業ができないわけです。
この時に使っていたシステムは、サンスイのプリメインアンプAU-7500をメインにしてスピーカーはダイヤトーンDS-35B、FMチューナーはトリオのKT-5500でした。
現在のデジタル全盛時代の音に比べたら当時はアナログ全盛期です、FM放送を愉しむも音質が良いラジオのような音だったと思います。
全体的にモフモフした感じで声の艶っぽさは殆ど無く女性アナウンサーの声はほとんど鼻づまり声で、今聴いたらすぐスイッチオフしてしまいそうな音です。
でも、これが作業中や寝る際に聴いていると囁かれているような声で妙に気持が落ち着くのです。
ということで、どうしても当時聴いていた音を再現してみたくなりました。
スピーカーのDS-35Bは辛うじて完動で現存しています、プリメインアンプはAU-7500は手元には既にありませんが過日AU-6500のフルオーバーホール品を購入しました。
残るはKT-5500ですが、過日偶然オーディオショップの中古コーナーで兄貴分のKT-7500のフルオーバーホール品を見つけて懐かしさのあまり即購入してしまいました。
私が当時使っていたKT-5500はFM専用でFM放送を高音質で聴くだけのために作られたチューナーです、対して購入したKT-7500は上位機種でFMとAMを高音質で愉しめます。
76年当時の価格はKT-5500が3.8万円でKT-7500が4.8万円、FMしか聴かない私は当然コストパフォーマンスが高いKT-5500を選んだわけです。
それにしても、今考えると初任給が5万5千円の時代にFMチューナーだけで4.8万円とは当時のハイファイオーディオのFMチューナーって恐ろしく高価なものだったのですね。
ということで、早々にセットアップして音を確認します。
音出しの瞬間「あれ、こんな音だったかな?」、何が違うのか解りませんが当時の音の記憶とまるで違います、ほぼ同じ製品の組み合わせなのに何故でしょう?
おそらくですが部屋の響きが違うのです、当時は居住空間六帖程度に所狭しと家具やオーディオ製品を詰め込んでいました、しかも床は畳ですから音の反射が全然違うのです。
それにしても低音域から高音域までナローレンジながらもバランスよく鳴るのには驚きます、これは70年代の製品を使わないと絶対に出せない独特のマイルド系&暖色系の音色です。
今でもかなり聴ける音質であることが解ったところで、高音質の大型FMラジオ的に寝室でしばらく使ってみたいと思います。
実際に使う事を想定するとFM専用でコレクション品であるAU-6500はあまりにももったいないので、KT-7500の出力調整機能を有効に使い電源スイッチも出力調整もない1980年に発売されたエントリークラスのパワーアンプであるテクニクスSE-A808をダイレクトに繋ぐことにしました。
イメージしたのは昭和のフロア型の大型ラジオです、FMチューナーの音色をそのままに増幅してスピーカーに出したいのです、だからセレクターもトーンコントロールも何も不要なのです。
70年代の昭和レトロな音を再現したシステム
音色はまさに大きなビンテージFMラジオという感じ
FMチューナー:トリオ KT-7500(1975年発売、定価4.8万円)
パワーアンプ:テクニクス SE-A808(1980年発売、定価3.5万円)
スピーカー:ダイヤトーン DS-35B(1976年発売、ペアで定価11万円)
ダイヤトーン DS-35Bのサランネットを外したところ
70年代の名スピーカーのユニットは全て健在、実に凛々しく美しい
このシステムで実際に音を確認してみるとAU-6500よりもマイルドで長時間聴いていても疲れません、また低音域もふっくらしていて気持ちいいです。
AU-6500は一度聴いてみるとよく解るのですが、高域が極めてシャープでJBLスピーカーを軽快に鳴らし聴き込むための音色作りをしているのでとてもリラックスして聴く音色にはならないのです。
また色やスタイルもこちらの方がベストマッチします、さらに電源スイッチとレベル調整だけで何も触る必要がないので操作性もばっちりです、昭和音色のビンテージFMラジオが結果的に出来上がってしまいました。
ちなみに、当時のセット価格を今の価格に換算すると70万円という価格になります、私にはそれ以上の価値在る音に感じます。
これ、昭和レトロ音FMラジオとしてズバリ決まりです。
「早く社会人になりたい」と未来に夢馳せていた当時を思い出しながら、この音に包まれて大いにロジカルシンキングを愉しむことにします、作業や思考の邪魔をしない音色は私にとっては宝ものです。
実際の設置はスピーカーが大型なので離さずに並べて使います、このほうが音がバラけずに左右の音の合成で部屋全体に低音域などが綺麗に響きます。
部屋の角に置けば、中高音域が壁反射してどこでも同じ音量で聴こえるというBoseが提唱するサウンドシャワーという状態を作ることができます。
割と広めの空間で部屋の何処に居ても同じ音量でステレオ音場で聴こえる設置方法ですが、是非こういう設置方法もあるということを参考にしてほしいと思います。
後日、プリアンプとCDを追加して70年代の音でCDを視聴してみました、CDでも70年代の音がするのはすばらしい発見でした、やはり音はスピーカーで決まるのかもしれませんね。