「どうして、自分の行動結果を素直に受け入れないの?」
ミスをして咎めるとああでもないこうでもないと後付けの言い訳ばかりを言う経営塾の門下生に発した私の一言です、その門下生は門下生になった時点では素直に指導を実践していましたが約束を守れなかったときに各種の言い訳を言いました。
それからというものミスや約束を守れない度に有り得ないような言い訳をするようになってきたのです、たった数ヶ月でそれまで「すみません」を素直に言えた人が何故変わってしまったのでしょうか?
最初のうちは私も大人の対応に努め「まあいろいろ有るのだろう」くらいに考え看過していたのも事実です、そんな状況下で私の応援目的で依頼した各種の業務でたった1ヶ月の間に4回も有り得ないミスを連発し、更にはそれをPCアプリケーションや下請業者のせいにする始末、これには流石の私も看過できませんでした。
彼を呼んでじっくり話を聞こうとしたのですが、真摯に向き合おうともしない不遜な態度についに私も門下生を解除する決定を下したのです。
私なりに急転直下で彼が変わってしまった理由をあれこれ考えました、そこで見えてきたのが結婚です、まさに結婚を機に性格が大きく変わってしまったのです。
結婚すれば当然相手と一緒に暮らすわけです、ちょっとした時間を過ごすのと違って悪癖なども見事に丸出しになります。
おそらく彼の行動や悪癖に対して細かくチェックが入ったのでしょう、そしてその都度自己防衛本能が目覚めて言い訳を繰り返すようになったのではないかと思うのです、彼のプライドの高さを考えれば容易に想像できます。
結婚した相手も自身が選んだ一つの結果です、誰のせいでもありません、ただ結果が悪ければ例え喜ばしきことでさえも相応の評価が下されます、実に厳しいようですがそれがビジネスの世界であり経営者という立場でもあるのです。
そしてその結果を潔く認めることです、原因が無ければ今の結果は起きていません、結果を認め今後どうして行くのがベストなのかをじっくりと自身と向き合うことです。
ビジネスの前にまずは自分が変わることです、そして自分が変わるのに重要なのは変えてくれる人との付き合い方です、その付き合いの中で時間をかけて変わっていくしかないのです。
奥さんは自分を変えてくれる必然の出会いだったのではないでしょうか、自分が変わらなければどんなにできた奥さんでさえも存在価値を評価されることはないのです。
「ベンチャー企業や中小企業が良いものを作っても上手くいかないのはブランド力でも技術力でも何でもない、理由はたった一つ、資金力だよ」
これは販売代理契約締結に向け会談した大手IT商社の専務の言葉です、私から「我々のようなベンチャー企業にはブランドが定着していない、そのため御社のような大手企業が販社となっていただければ大きな力となります」という話に対しての意見です。
要は「商品とはブランドや信用性も勿論最重要、しかし売るという行為に関して言えばブランドではない、売るために必要なリソース(人・物・金)、販売企画(計画)、そして展示会や新聞雑誌への広告、つまり資金の問題だけだ」と言うのです。
まさにこの会社はたったの20~30人規模の小規模商社でした、これが自社商品も無く当然ブランドも無いのにあっという間に上場しました。
そして2年後には東証1部上場と5年間で誰もが驚く偉業を達成してしまったのです、そして社員は5年で20倍に膨れ上がり全国に60ヶ所の営業所を展開しています。
この成功の裏にあった戦略は専務の言うとおりで軍資金を集められるだけ集めて新聞広告を打ち社名を売りまくった結果です、その資金を使った施策の結果のブランドなのです、そして大偉業に繋がったわけです、会社清算を賭けての大勝負だったと言います。
つまりはブランドや信用は最重要、しかしそれを行うにも何をするにもまず資金力が必須と言うのはこのためなのです。
ベンチャー企業はやはり資金力に乏しいです、そして計画通りに売れない理由として「ブランド力不足」、「営業力不足」などと言い訳を言っているのが事実なのです。
ベンチャー企業や中小企業は売るためにまず何をしなくてはいけないか、そう必要資金を得ることです、ベンチャー企業は「売れない理由」の言い訳を考える前に何としても資金を調達することに尽力することです。
「それは、社長さんが望まれたことなのではないでしょうか?」
この一言は、倒産の危機に直面している状況を長い付き合いのある社長さんから聞いた際に私が思わず発した言葉です。
その会社は大手取引先に対する売り上げが90%を超えており、その売り上げの殆どが受注開発でした。
以前から、その社長は私と会う度に1社に売り上げが集中していることを大変危惧し、業務内容も受託開発からオリジナルのパッケージソフトを手がける企業への転身を望んでいました。
それを聞いていただけに大手取引先が倒産し倒産の危機を迎えた状況を私が冒頭のように表現したのでした、つまり大手取引先の倒産はその企業の経営改革そのものを自ら手を下すことなく自然の流れの中で行えるように行動した結果と言うことではないでしょうか?
仮に社長本人が経営改革を行いたいと常日頃から考えていなければ、おそらくその大手取引先の経営悪化に対して何も対応しなかったというのは疑問が残ります、支払い遅延要請や現金振込みから120日サイトの手形支払いに変わるなど明らかなる予兆はあったのですから。
何故この社長はもっと早く他の取引先の確保やソフトランディングでの撤退を行わなかったのでしょうか、それはおそらくスムースなる企業変革を望んでいたことが無意識のうちにそういう行動を拒んだのではないでしょうか?
事実はどうかは判りません、しかし私は自分の経験に照らし合わせて考えるに確実に自分が望んでいることは遅かれ早かれ実際に起こることになります。
それは無意識の領域に入った「強い欲求」は、自分の思考や行動までもが無意識のうちにコントロールされてしまうからです。
私がよく口にする「一事が万事」、これは無意識の領域に入った思考は意識することなく自然に行動を起こしてしまうことを指しています、したがって何気ない言動や行動を見れば確実にその人の本性を見極めることができるのです。
「夢や大きな目標は諦めなければ何時かは実現する」、おそらく強い欲求が無意識の記憶へと移り本人が意識しないうちに行動や言動を行っているのです。
それに呼応して周囲に様々な変化が起きるのです、達成の障害となる者が自然に消え必要な人材や企業が寄ってきます。
このような一見不可思議な現象は明らかに本人が無意識に望んでいたことが表面化した結果です、そしてそのきっかけは自らの無意識なる行動に他ならないのです。
「どんなに儲かりそうな話でも、自分が解らないことはやったら駄目だね」
これは30年以上もお付き合いのある中堅商社の社長の口癖です、商社という業種柄いろいろな儲け話が連日のように飛び込んでくるようです、しかしこの社長は絶対にそういう話には一切乗らないことで有名です。
社長曰く、「本当に上手くいきそうな話も中には有るが、例え誰かがやって上手くいったとしても自分の世界と違うことは自分がやったらまず上手くいかないものだ、これはもう何回も経験してきて解ったことだから」と言います。
更に「業界に5年居てようやくその業界を知る、その世界で本当に成功を収めるには更に5年、そして肌で感じるような感覚にならなくては絶対に上手くはいかない、上手くいくと思うのは業界をまだ知らない素人だからだ」とも。
私は今ではこの言葉を自分に対しての言葉のように考えるようになっています、私もまたいろいろな話が連日のように飛び込んできます、聞けば儲かりそうな話ばかり、しかもIT業界ですから裏の裏までよく知った世界です。
でも自分が長年この世界にいて経験してきている肌感覚を信じることにしています、その肌感覚はほぼ100%的中しています。
どうしても気持ちの乗りが悪いときは一時的に伸びそうな気配も見せますが最終的にはやはり廃れていく事業や人ばかりです、本当に儲かる話なんて世の中にそうそう存在しているものではありません。
自発的に創出した事業ならまだしも本当に儲かる事業なら既に多くの人が手を出しています、そして話を持ってきた本人がとっくにやっているでしょう。
他者に話を持っていくということは、現状上手くいっておらず何かの新しい方策を必要としているか停滞事業そのものの売却を目論んでいるか、正直そんなところなのではないでしょうか?
「そんなに凄いものなら、何故当社なの?」
これは自分のアイデアは「今までにないもので、絶対売れる」と企画書を持ってきたベンチャー企業の社長に私が発した言葉です、起業したてのベンチャー企業の多くはアイデアを企画書や事業計画書にまとめて資金調達を行うことが多々あります。
ITバブルの頃はそれでも調達できていました、そして意味も無い開発投資を行って結局は売れずに倒産に追い込まれます、そろそろベンチャー企業も勉強しているだろうと思っているのですがこういうベンチャー企業は今も後を絶たないのが現状です。
正直なところ企画書ベースで出資する法人もベンチャーキャピタルも現在は皆無です、余程冒険好きな個人のお金持ちであれば別ですがこれも期待できません、なぜなら何度も痛い目に遭っているからです。
銀行も流石に起業したてでは大金を融資してくれません、したがって直接調達の道しかないのは解るのですが世間はそんなには甘くはないのです。
ベンチャー企業が資金調達を行うのならその経営者が成すことは一つです、まず自社や自分のお金で紙ベースの話ではなくて現実に製品化して見せて欲しいのです。
本当に凄いものであれば引き手あまたのはずです、他者からお金を得なければ事業化できないような状況でそもそも新事業を興すすべきではないのです。
新事業で資金を集めるのは事業ベースの基本開発が完了し後は売り出すだけというくらいの時です、集まったお金で応用システムの開発や次世代製品の開発、そしてマーケティングに投資して一気に上り詰めるのです。