2023年11月 3日 08:00
「朝、目が覚めるのが怖いんですよ!」
これは大手取引先の倒産によって多額の売掛債権を回収できず、半年の間に80人いた社員が僅か10人程度となり倒産直前まで追い込まれた技術者の派遣業を営んでいた社長の言葉です。
しかしこの社長に倒産直前に奇跡が起こったのです、それは派遣を行いながら自社開発していた生産工場で用いる管理ソフトが大手情報機器メーカーの目に留まり版権と共に事業ごと一括購入されたのです。
その結果、それまでの多額の借入金がゼロになったばかりか長期のメンテナンス契約やカスタマイズ契約で経営が一気に回復し優良企業に変身したのです。
冒頭の言葉はこの社長が最も厳しい状況の時の本心で、明日が見えない状況の時に心身ともに疲れきって家に帰ると頭が真っ白になり、自分が生きているのか死んでいるのかさえも判らない状況のままで布団に入り朝を迎えるというのです。
そして朝ふと目が覚めると本当にゾッとするほど怖いのだと言います、何故なら毎日のように債権者が会社に押し寄せ何時間も居座るのだそうです。
私は幸いにしてここまでの経験はありませんが、この日の酒の席は私にとっては大変参考になったことは確かです。
経営者の責任の重さ・厳しさ・覚悟・心構え、その後は何度もこの話を思い出し自分の会社を想定したいろいろなシミュレーションが頭の中で行え、そして先行して手を打つ事ができ数々の難局を乗り越えられたのです。
彼は今では私もよく使うようになった言葉を何度も使いました、「諦めさえしなければ必ず夢は叶う!」、「逃げたら本当に人生が終わる!」、全ての状況下の人に通じる言葉ではないでしょうか。