2023年5月17日 08:00
「今は自分に無理な事を事業化すべきじゃない」、こんなことを若い起業家の人達に言うことがあります。
大局を見ずにその言葉だけで思考して、「じゃ、好きな事だけをやってみます!」と言う起業直後の経営者も少なくありません。
私が言う「無理な事をすべきでない」とは、決して「好きな事や楽しい事をやる」ということを意味しているのではありません、その本質は「できないことを無理に進めるべきではない」ということだけを言っているのです。
例えば、極端な話しでは弁護士資格の無い人が法律相談所を事業化することは法律上できません、経営した事の無い人が経営コンサルタントはこれも無理にやっても務まりません。
つまり、今すぐに事業化し利益をもたらせない事は起業当初に考えることではなく、他者の力を借りたとしても大きな投資や時間をかけなくても素早く利益に直結することから始めるのが良いということです。
これと同様の事項で「ストレスフリー」という言葉があります、正常な思考の持ち主ならば考えるまでもなく、ビジネスにストレスは付き物で本当にストレスが無いビジネスなど皆無だと考えます、もしストレスが無いとしたらそれをビジネスとは呼びません。
何故ならビジネスには他者が必ず絡みお金を頂き商品やサービスを提供する事がビジネスの本質です、そこには対価に比例した責任がかかります、つまりこの責任そのものがストレスの根幹なのです。
「ストレスフリー」とは「不必要なストレスからの解放」を意味し、生業から来る「ビジネスでの責任上のストレスを排除」することではないのです。
お金を頂くのがプロ、ならばその対価に伴う責任が必ず発生し嫌な事や気が向かない事でもやらなくてはなりません、当然ストレスも発生して当たり前なのです。
本当に「ストレスフリー」で生きたいならビジネスの世界から潔く退くべきです、ただビジネスの世界から退いたとしても、生きるための不可欠なストレスからは決して解放されることはありません。
考えてみれば解ります、人は一人じゃ生きられないのですから何処で何をしても不快な事は必ず発生します。
ならばと離れ小島で一人で暮らしても、不自由な生活や飲食状況に自身の健康状態などあらゆる事項にストレスを感じるのです。
極論的には、生きて行くことそのものがストレスとの同居と言っても過言ではありません。
ビジネスでの適度なストレスは生きて行く上での必須事項、何故ならそれによって本来受けるべき自身や人間関係上のストレスが相対的に気にならなくなるからです。
何事もバランスを取ることが肝要で、「ストレスフリー」ではなく「ストレスバランス」と考えれば納得しやすいかもしれません。
私が「ストレスフリー」を使うときは、受けるべくストレスをできるだけ少なくし受けたストレスは解消することを指しています。
それがお金を意識しない「道楽」や理想郷の創設です、日頃のストレスに反比例した愉しみによってストレスバランスが均衡し生業からのストレスから解放されるのです。
本当にストレスが無くなれば本当の愉しみも無くなります、この世はすべてが陰陽バランスで成り立っています、陰が無ければ陽も無し、陰大きければ陽も大きい、「フリー」思考から「バランス」思考へパラダイムシフトしていただきたいと思います。