2024年5月27日 11:00
植物の生命力と古人の知恵をいただきながら
心(陰)と体(陽)の陰陽バランスを整えるお酒を楽しんでいます。
はじめての薬酒作りから約7年がたちました。
熟成期間が長くなるほど、どの薬酒も最終的に、ものすごく甘くなります。
特にタンポポ根酒の甘さには驚きます。
あれほどの強烈な苦さが緩和し、信じられないほどまろやかに飲みやすく変化していました。
ハーブやフルーツに、漢方薬として売られている植物の根などをリカーに漬け込み、毎日微量ずつ摂取しています。
写真はごく一部です、ストック場所を確保するために全て通常の5倍以上の濃度で漬けこんでいるため、飲む時にはサイダーやお湯で割って飲みます。
ところで、薬酒って、なんとなく身体に良い成分(薬効成分)を取り入れる、といったイメージがないでしょうか。
もちろん間違いではありません。
しかし、100%正しいというわけでもありません。
そもそも漠然というこちらの「薬効成分」とは何なのか、これらがどう作用するのか、明確に説明できる方は少ないのではないでしょうか。
イメージだけで薬酒を摂取してしまうと、薬酒の健康への効果が期待できないどころか、身体に悪影響にもなりかねません。
植物は天敵である動物から身を守るための毒をもっています。それがアルカロイドです。
アルカロイドにはカフェイン・ニコチン・コカインなどさまざまなものがあり、植物によってさまざまです。
植物に触って皮膚がかゆくなったり、草を食べて舌が痺れたりするのも、アルカロイド。
このアルカロイドが薬効成分と言われるものです。
このように、重要なのは、アルカロイドは本来人間にとって毒であること、つまり「薬効成分」とは毒性にも薬効にもなる、陰陽一体の薬理作用をもたらす成分であることです。
もちろんアルカロイドの毒素はアルコールによって分解されています。
ただ、ごく微量の毒素まですべて分解しきれているといいきれないものが薬酒です。
薬酒が身体に良いとされてきたメカニズムは、単純に良い成分だけを摂り入れているのではなく、
同時に「微量の毒も体内に摂り入れること」にもあったのです。
しかし、なぜ毒を飲むことが健康につながるのでしょう。
それは、毒を毎日微量ずつ、継続的に、摂取することで、毒に負けない「強化した肝臓を作ること」にあります。
虚弱な肝臓を持つ身体は解毒の機能が弱く、毒やウィルスに対する抵抗力がなく病気にもかかりやすくなります。
昔から言われる「毒をもって毒を制する」という先人の言葉にあるように、
微量な毒の継続的摂取によって毒に負けない内臓へと鍛えること、ここにも薬酒の健康への効能があると言われています。
そして植物を漬けるアルコールにも同じことが言えます。
植物の毒素を無害化するだけなら、お酢や塩でも可能です。しかし薬酒はなぜアルコールで漬けるのでしょうか。
同じように、アルコールも身体にとって本来は毒でもあります。
お酒を飲み続けているとアルコールに強くなるのも、毎日微量のアルコール(毒)の継続的摂取で肝臓の解毒機能が強化されているためです。
薬酒を、「体に良い成分だから」とたくさん飲んだり、元気を出したいときだけたまに、といって飲まれる方もいます。
しかし、一気に飲むのは薬効成分が強すぎて身体に悪影響を及ぼす可能性があります、また肝臓に負担がかかり逆に肝臓を悪くしてしまいます。
そしてたまに飲んでもあまり肝臓強化にはつながらず、これも中途半端に肝臓に負担がかかる原因にもなりえます。
大切なのは、微量ずつ、なるべく継続的に(一週間以上は空けないようにする)、続けること。
薬酒作りは、時間こそかかりますがリカーに漬けることで成分を抽出する、というとても簡単な仕組みです。
身体機能の個性はさまざまです。ぜひ自身の体質にあった薬酒をみつけて、無理せず微量ずつ、継続して飲用したいですね。
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