2024年5月16日 08:00
タンポポは日本では何処でも見られる草花、しかしその生態を詳しく知っている人はほとんどいないと言っても過言ではありません。
タンポポの生態を改めて調べていくうちに、生命力や強靭さの秘密が解ってきておどろきの連続です。
タンポポは、極めて進化した植物の一つではないかと思うようになりました、そしてまさに繁殖力そのものに戦略を感じざるを得ませんでした。
タンポポは、自身の身を守り子孫を繁栄するために見事なまでに、実に考えられた特徴を多数持っていました。
まずは形状、同じキク科の植物はほとんど茎立ちしますが、タンポポは地面に這うように葉を伸ばし、唯一花を咲かせるときだけ花茎を伸ばします。
この根から直接葉を放射線状に地面を這うように葉を出す植物の形状は、「ロゼット型」と呼ばれています。
また、このような根から直接葉を出す生態は「根生葉」と呼ばれています。
このロゼット型植物の優位点は、冬の寒さや強風から身を守るのに適しています。
強風でも茎が無いので折れることはありません、また寒い冬には昼間温まった地面の余熱で葉を凍らせないようにしています。
それでも、冬の乾燥などで葉を傷めた場合は、自ら葉を全て枯らせて生命線である根の乾燥を防ぎ、根だけは生き残り養分を根に蓄え続けます、なんという生命力豊かなメカニズムなのでしょうか。
多年草であるタンポポの根は、長期間に養分をたっぷりと貯め込み、5年も経てばゴボウのように太く長くなります。
ロゼット型植物なので太陽が昇れば放射線状の葉全体で陽光を受けエネルギーに変え根にどんどん蓄積して行きます。
そして、春には他のどの植物よりも先に根に貯め込んだ養分をエネルギーとして、一気に葉と花茎を伸ばし一番に花を咲かせて種を作り撒き散らします。
他の植物がまだ芽を出す準備を行う前の地面に種をばら撒き、あっという間に芽を出し葉を広げて他の植物の発芽を阻止してしまいます。
タンポポの根からはアルカロイドがぶんぴつしており、他の植物が芽を出すのを阻止する能力も持ち合わせています。
これがタンポポの繁殖力の秘密であり、子孫繁栄の為の生きる知恵なのです。