観葉植物や盆栽にと植物を道楽にしている人にとっては最大の天敵の冬がやってきました、冬は植物道楽家にとって本当に酷な季節です、なんと夏の水枯れで枯らすよりも本来なら頻繁な水やりから開放される冬の方がはるかに植物を枯らすリスクが高まるのです。
特に室内で植物を育てている場合は私の経験上冬の枯らしリスクは夏の10倍以上に高まります、この多くのケースは水のやりすぎによる根腐れです、根腐れを起こすと知らないうちに葉を落とし茹るように枯れていきます。
植物の多くは夜の気温が5度を割り込むと冬眠状態になり活動をストップします、観葉植物などは新芽が出ているにも関わらずそのままの状態で伸びるわけでもなく葉が開くわけでもなくフリーズしてしまいます、多くの人はこの状態を見て元気がないのは水が足りないのだと思い込んで水やりをしてしまいます。
この冬眠でフリーズしているときに水やりすると根が窒息してしまいます、そしてやがて根が死んでしまって過剰な水分により土中が酸欠になり好気性バクテリアが死滅し代わりに嫌気性バクテリアである腐敗菌が猛威を振るいます、その結果において根が腐り幹や茎まで茹であがるように腐っていくのです。

冬の季節は鉢の土が完全に乾きこれ以上乾いたら枯れてしまうというところでたっぷり水をさすようにすると好気性バクテリアも活動休止せずに根腐れリスクはかなり回避できます、そしてもう一つの冬の枯らしの大きな原因は暖房です。
室内で植物を飼育している多くの人はリビングなどに観葉植物を置き寝室には置いてないと思います、そしてリビングは夜エアコンを付けっぱなしの人はほとんどいないと思います、つまり日中は日が差し適温でもエアコンを止めた夜は意外と室内でも冷え込みます、この高低の大きな温度差も植物がストレスを感じてしまう要因になります。
多くの植物はストレスを感じると枯れていきます、その意味では植物も動物と同じなのです、また暖房による乾燥もまた大きなストレスになります、むしろ温度差が少ない室外のほうが育てやすいと言えるかもしれません。
室内で植物を育てている人は温度差が少ない状態を維持させてあげることが肝要です、例えば夜はビニール袋を被せるだけで乾燥や冷えを緩和させることができます、あとエアコンの風を直接当てないこと、そして冷える窓際ではなく日中半日陰となるような場所に置くとよいでしょう。
動物がいつかは寿命で死んでしまうように植物もいつかは枯れてしまいます、枯れることを恐れず受け入れることです、生きている間はできるだけ気持ちよく過ごしてもらえるように配慮する、こうして何年も生活を共にしていると植物ごとの水やりのタイミングを知り嫌がることが何かを学んでいきます。
植物たちは人間に多くの学びを与えます、植物も動物と同じ生命体なのです、共に暮らしているという家族感覚で接していればそうそう枯れていくことはありません、何故ならそこが自分にとって居心地がよい場所なのですから。
20歳後半から20年以上もアクアリウムと観葉植物道楽を楽しんでいた私ですが、猫を飼い始めてから猫にも熱帯魚や植物にも害が出始めたので一旦猫以外の動植物飼育を全て止めてしまいました。
どこかで寂しい気持ちがあったのでしょうか、5年前に食と健康&オーディオラボという第二のプライベート空間が誕生してから観葉植物を足の踏み場もないくらいに置き、以来ずっと植物とトコトン触れ合える道楽の復活タイミングを見計らっていました。
そして我慢の限界を超えた今春、ついに日本庭園と畑付きの物件を購入し更にはテラリウムと盆景など植物と思いっきり触れ合える生体箱庭道楽が復活してしまいました、復活した瞬間に工具類やガラスケースに鉢と植物類を買いまくり毎日のように何個も荷物が届きました、そしてあっという間にラボが観葉植物に加えてシダ・コケ・山野草などに侵食されてしまいました。
大切なオーディオコレクションラックにもシダとコケが侵食中

同時に6年ほど前から食と健康道楽でオーガニックハーブなどをベランダ菜園で楽しんでいたのですが、加えて部屋の中でも1年中楽しめる野菜の水耕栽培の研究&実験も始めてしまったのでラボの中は今や植物だらけになってしまいました。
野菜の水耕栽培は10年以上もいつ始めようかと考えていたことです、「やりたい事はやりたい時ではなくやれる時に行う」という自論の「待ちの成功術」どおりにジャストなタイミングで複数同時に開始しました、そして畑を使った自然農法と水耕栽培の記録用に別のブログも立ててしまいました。
テラリウムや盆栽と野菜の自然栽培や水耕栽培は実は相性がすごくいいのです、道具や工具は共通して使えるものが多く植物育成用の強力なナローバンドライトを付けたグロウテントは弱った観葉植物やコケにシダなどのテラリウム素材の治療やカビ対策にも使え、更には実生苗の早期育成にも使えます。
そんなわけで食と健康&オーディオラボはいつの間にか植物のバイオ研究所のような状況に風変わりしてしまいました、常用オーディオの上にもロングチャーレに入れた生体標本テラリウムでいっぱいです。
箱庭とは江戸時代前期から明治時代にかけて流行した道楽の一つで、木で作った箱の中に石庭や砂庭などを模して楽しむものです、 発祥は1620年に桂離宮を造るにあたり庭師に見本を作らせたのが日本第一号の箱庭だと記されています。
現在では「枯山水」として砂と石を使い砂庭で有名な龍安寺砂庭式枯山水を模して自分なりの庭園を箱の中に作り上げて楽しむものが商品化されています、現在ネット通販などでも数千円という手軽な価格で多数の商品が売られています。
京都龍安寺砂庭(砂庭式枯山水)

同じ箱庭でも枯山水が植物などの生き物を一切用いないのに対して、池や川の中を模したアクアリウムは魚類や両生類などの飼育と合わせて水草などの植物と石や流木を加えて自然の景色を身近に置こうとする道楽です。
70年代後半から80年代にかけてアクアリウムブームのピークがありました、私も多分に漏れず一時期は13セットの水槽が家中の至る所に置かれ、更には法人向けの熱帯魚レンタルという道楽ビジネスまで始めてしまったほどです、病院や喫茶店などを中心に置いてもらいサイドビジネスとして大成功しました。
またアクアリウムが水中なら陸上の風景を模したものがテラリウムやパルダリウムで、テラリウムは主に渓谷や山間部の景色を模しパルダリウムは湿地帯の景色を模して楽しむもので、双方動物は入れずにシダやコケ類を中心に山野草や熱帯植物を小さなガラスケースの中に作り上げて楽しむ道楽です。
ちなみにテラリウムやパルダリウム内で魚類や両生類などの動物を住まわせ愉しむ道楽も数年前からブームになっています、これらは容器や生体のスタイルによってアクアテラリウム・ビバリウム・ビオトープなどというカテゴリに分類されアクアリウムとテラリウムのどちらのファンも派生的に同時に愉しんでいる例が多いです。
テラリウムの一例(苔・山野草・流木を使ったガラスポットテラリウム)

いずれにしても室内において自然を身近に感じながら暮らすという点においては共通する感性であり、私個人的な気持ちとしてですが味気ない部屋の中に植物や動物がいるだけでほっとする温もりを感じます、若いときからオフィスやプライベート空間に観葉植物や生花を必ず置いているのはきっと私にとってそれが当たり前のようになっているからでしょう。
植物や動物の世話をするというある意味においての責任感は人を育てる姿勢にも表れる気がします、植物や動物の気持ちになって世話をする、だから他者の気持ちに寄り添えない人はどこかで人間ぽい温もりを感じることができずに無機質な冷たさを感じてしまいます。
さて子供の頃からずっと植物や動物の世話をしてきた私ですが、猫を飼うようになり水槽も観葉植物も家の中に置けない状況が長く続きました、そんな寂しさが6年ほど前に爆発したようで突然のように道楽ビジネス用のオフィス(ラボ)に観葉植物をところ狭しと置きベランダ菜園を楽しむようになりました。
そしてそれがどんどんエスカレートしていき今ではテラリウムに盆景にと時間があればジャズを聴きながら生体箱庭創作に時間を費やしています、でもこの時空間が本当に愉しいのです、そして好きなように園芸を楽しめるようにと今春になんと庭と畑付きの家を購入してしまいました、自然と触れ合うリアルな園芸と室内で自然空間を楽しむ箱庭、私の中に極めて心地よい時空間が生まれ育っています。