2024年10月11日 10:00
箱庭とは江戸時代前期から明治時代にかけて流行した道楽の一つで、木で作った箱の中に石庭や砂庭などを模して楽しむものです、 発祥は1620年に桂離宮を造るにあたり庭師に見本を作らせたのが日本第一号の箱庭だと記されています。
現在では「枯山水」として砂と石を使い砂庭で有名な龍安寺砂庭式枯山水を模して自分なりの庭園を箱の中に作り上げて楽しむものが商品化されています、現在ネット通販などでも数千円という手軽な価格で多数の商品が売られています。
京都龍安寺砂庭(砂庭式枯山水)
同じ箱庭でも枯山水が植物などの生き物を一切用いないのに対して、池や川の中を模したアクアリウムは魚類や両生類などの飼育と合わせて水草などの植物と石や流木を加えて自然の景色を身近に置こうとする道楽です。
70年代後半から80年代にかけてアクアリウムブームのピークがありました、私も多分に漏れず一時期は13セットの水槽が家中の至る所に置かれ、更には法人向けの熱帯魚レンタルという道楽ビジネスまで始めてしまったほどです、病院や喫茶店などを中心に置いてもらいサイドビジネスとして大成功しました。
またアクアリウムが水中なら陸上の風景を模したものがテラリウムやパルダリウムで、テラリウムは主に渓谷や山間部の景色を模しパルダリウムは湿地帯の景色を模して楽しむもので、双方動物は入れずにシダやコケ類を中心に山野草や熱帯植物を小さなガラスケースの中に作り上げて楽しむ道楽です。
ちなみにテラリウムやパルダリウム内で魚類や両生類などの動物を住まわせ愉しむ道楽も数年前からブームになっています、これらは容器や生体のスタイルによってアクアテラリウム・ビバリウム・ビオトープなどというカテゴリに分類されアクアリウムとテラリウムのどちらのファンも派生的に同時に愉しんでいる例が多いです。
テラリウムの一例(苔・山野草・流木を使ったガラスポットテラリウム)
いずれにしても室内において自然を身近に感じながら暮らすという点においては共通する感性であり、私個人的な気持ちとしてですが味気ない部屋の中に植物や動物がいるだけでほっとする温もりを感じます、若いときからオフィスやプライベート空間に観葉植物や生花を必ず置いているのはきっと私にとってそれが当たり前のようになっているからでしょう。
植物や動物の世話をするというある意味においての責任感は人を育てる姿勢にも表れる気がします、植物や動物の気持ちになって世話をする、だから他者の気持ちに寄り添えない人はどこかで人間ぽい温もりを感じることができずに無機質な冷たさを感じてしまいます。
さて子供の頃からずっと植物や動物の世話をしてきた私ですが、猫を飼うようになり水槽も観葉植物も家の中に置けない状況が長く続きました、そんな寂しさが6年ほど前に爆発したようで突然のように道楽ビジネス用のオフィス(ラボ)に観葉植物をところ狭しと置きベランダ菜園を楽しむようになりました。
そしてそれがどんどんエスカレートしていき今ではテラリウムに盆景にと時間があればジャズを聴きながら生体箱庭創作に時間を費やしています、でもこの時空間が本当に愉しいのです、そして好きなように園芸を楽しめるようにと今春になんと庭と畑付きの家を購入してしまいました、自然と触れ合うリアルな園芸と室内で自然空間を楽しむ箱庭、私の中に極めて心地よい時空間が生まれ育っています。