2024年10月 9日 07:00
世はまさに企業が生き残りをかけた経済戦国時代です、バブル崩壊直後のように企業のM&A(合併、買収)が一つの大きな業界を生むほど盛んになりつつあります、この状況は極めて自然な経済活性状況であり間接的ながら市中にお金が循環し景気もどんどん良くなっていきます。
この時代にあって買う方も売る方も基本となるのが「企業価値算定」です、つまりデューデリジェンスといわれる資産鑑定です、ここで企業の資産価値は所有している不動産や動産は問題なく誰にでも算定できますが、問題はそれ以外の「価値が有るか否か」を直接算定できない目に見えない価値です。
商社なら営業力や営業ルート、また代理店の数や質、そして取り扱い商品の仕入先契約などとなります、技術系なら保有特許や技術力となり、サービス業ならば独自のサービス体制とビジネススキームとなり業種によってマチマチです、これらを含めてその企業にある総括した財産に注目し価値を金額に換算するのが公認会計士の腕の見せどころとなります。
もっとも困難なデューデリジェンスは目に見えないものの価値をどう算定するかです、例えば特許など知的所有権(知的財産)・技術やノウハウ・営業網・運営サイトなどは多くの場合に困難になるのが今の収益ではなくて5年後にどれほどの価値を生むかという未来予測にあります。
私は真の企業価値とは上記に示したような難しくても何とか算定可能なものではないと考えるのです、では私が企業を買収もしくは投資しようとする場合は対象企業の何に注目するのでしょうか、ズバリそれは人です、どんな価値のある営業ルートであろうが代理店網であろうが特許や技術力であろうが買う方から見れば買った後に使いようがなければ価値評価はゼロです。
本質はその持てる総括した資産を活用して「販売する人」・「他社に真似できない物を作れる人」・「他社に真似できないサービスを企画できる人」がその企業にいるかどうかです、それが例え社長一人であれ社員数千人であれ社員数には一切関係はありません、何故なら社長一人でも周りにいるパートナーが優秀であれば数十億円の売り上げは無理なく可能となるからに他なりません、そういう人材に対して未来の価値を算定するのが本来の企業価値算定ではないでしょうか。
たった一人でもそういう人がいる企業であれば数億でも数十億でも将来それ以上の利益を生む計算ができるなら買いの判断をするでしょう、真の企業価値とは従業員数でも資本金や物や資産でもありません、それを活用して利益を創出できる人がいるかどうかなのです、人数に関係なく人材の価値がその企業の真の価値そのものと考えます、つまり私は会社を買うのでありません、その人の持つ未来価値を買うのです。
未来に価値ある存在になると確信すれば例え今の状況がどうであれその時が来るまで何も利益を生まなくても買った企業の社員に報酬を払い続けます、天の時に瞬間的に起動できる価値ある人材の確保、これが私流の経営スタイルであり投資スタイルなのです。
何を以って価値と判断するか、この判断は経営者にしかできないものです、だからこそ価値判断は極めて難しいものであり、その誤りは致命傷ともなるのです、そして価値ある人を買えるチャンスが有れば間髪いれずに買っておくことです、必要なお金なら決断してから考えればよいことです、その人の未来における価値を見い出せれば躊躇う理由はどこにもありません。