2024年10月 3日 07:00
今やりたい事が同時に複数存在している場合はどうするか、誰もが思い浮かべる事項だと思いますが解決の方法としては2つあります、一つはシリアル推進で優先順位を付けて行う方法です、まず一つの事業を立ち上げその事業がある程度軌道に乗ったらその利益とリソースを次の事業に回していく方法です、もう一つはパラレル推進で複数事項を同時並行して行う方法です、すべての事業を一気に立ち上げて複数同時に推進していきます。
人によって異なりますが多くの人は堅実な前者のシリアル推進を選択するでしょう、ここで本当にシリアル推進が良いのかを経験を通して検証した結果を述べます、注目すべきはリスクを考える視点です、確かに一つの事業を一旦立ち上げる場合は調査などの準備期間や開発費用なども少なくて済みます、なんといってもその事業の利益を次の事業に回せるためにキャッシュフローの心配がそれほどありません。
でも本当にこの方法はリスクが少ないのでしょうか、私は逆にこの方法は非常にリスクが高いと考えます、事実その経験を行ってみてはっきりと言えることです、その理由は「リスクが少ない」という根拠が問題なのです、多くの人はあくまでも最初の事業が上手くいった場合を前提にして考えているのではないでしょうか、では最初の事業が失敗に終わった場合に戻ってこない多くのコストと時間のロスはどう説明できるでしょうか?
事業とはスピードと精度が命です、他社が参入してないからこそ行う意味があるのです、仮に次の事業を立ち上げる前に他社が参入し既に時遅しとなった場合には最初の事業の失敗に加えて次の事業の始動タイミングさえも失ってしまいます、つまりローリスクと思っていたことが実は比類なきハイリスクだったということになります。
対して同時に立ち上げて複数同時推進する場合はどうでしょうか、これは経営者も社員も本当に大変です、同じ時間に複数を同時推進ですから短時間に莫大なコストと労力がかかります、したがって常にキャッシュフローと人材不足の不安が付きまといます、更には数年間売り上げがほとんど無いので銀行からの借り入れだけでは心もとなく直接調達(増資や社債)という方法も加えて軍資金を短時間に一気に集めなくてはなりません。
調達を行いながらの事業推進は経営者も社員も大きな負担が心身にかかってきます、しかし事業の始動タイミングをロスすることなく事業を推進でき、仮に全てが上手くいった場合にはすべての事業で収益が一気にあがる可能性があります、更に仮に幾つかの事業が失敗しても他の上手くいっている事業にリソースを集約できるので上手くいっている事業が更にスピーディに進みだします。
複数の事業を同時に立ち上げ同時推進させる、これはよくよく考えてみれば投資の世界で用いられるポートフォリオという手法そのものです、つまり分散投資そのものなのです、一見ハイリスクに見えますが実はリスクを分散できる究極のビジネス手法でもあるのです。
ただし確実な資金計画と社員やパートナーに過酷な状況を数年間強いることになるので、周辺の絶大なる信頼感がなければ到底できないことです、シリアル推進で事業推進し上手くいかず倒産までに追い込まれた経営者は後を絶ちません、何をもってのローリスクなのかハイリスクなのか視点を見誤った結果なのです。
経営リスクとは事業による失敗以上に始動タイミングという機会損失の方がはるかに高いのです、絶好のタイミングを逃さない為にはどうすべきか、これを常に念頭に置いて行動している経営者は本当に強いです。