2024年10月 7日 07:00
売り上げが伸び悩む企業の経営者は必然的にコストダウンを行うことが定石のように考えてしまいます、売り上げが一定でコストダウンを行えば利益が増えキャッシュフローが向上することは誰にも解ります、「利益=売上-コスト」という単純な計算により理解できます。
コストダウンで多くの経営者が思い付く事項は人件費や家賃の固定費を削減することです、利益に繋がらない人に支払う金額を減らしてオフィスを安いところに移動するというものです、しかし残念なことに直接的な事項に目を向け始めると将来先細りするばかりとなり、更には社内外に上手くいってない事を強烈にアピールすることになります、また人も去って行き益々窮地に追い込まれてしまいます。
コストダウンを考えるなら直接的なコストダウンではなく見えないところのコストダウンが有益であり、またその要素は多数存在しています、私の過去の例ではレンタル倉庫に眠っていた在庫を思い切って全て廃棄したことがあります、損失額は3000万円以上に上りました。
仕入れは1台辺りの価格は高くなってもメーカ直送というノンストック方式に切り替えました、結果的に管理コストやストックコストなどを総合的に計算すると年間にして1000万円近くのコストダウンに成功したことがあります、確かに在庫処分の損失は出ます、しかし黒字の期に一気に行えば特別損失の計上で節税対策にもなり逆にキャッシュフロー向上に繋がるのです。
廃棄損は決算上の話しであり、既に支払い済みであり未来のコストダウンは直接的にキャッシュフロー向上という形で現れます、企業経営とは一過性の損失や決算上の赤字・黒字に囚われるのではなく現在そして未来のキャッシュフロー重視で思考することが重要です、黒字でもキャッシュフローが回らなければ倒産し赤字でもキャッシュフローが回り続ければ倒産しません。
見えないコストダウンは他にも多数あります、オフィスや店舗の照明をLEDに変え最新のエアコンに替えるだけでも思いの他大きなコストダウンに繋がります、設備投資も一時的なコストはかかりますが全てリースに変えることで長期展望で見ればこれもキャッシュフロー向上に繋がります。
コストダウンで重要なのは今だけを考えお金を使わない方法を考えるのではなく長期戦略に基づいて計画的に行うことが肝要です、更に重要なのは方法ではなくて施策タイミングであることは言うまでもありません、タイミングさえ間違えなければキャッシュフローの改善と節税との両面でのメリットが生まれるのです。
コストダウンを行うなら安直な家計簿思考ではなく長期展望と各種のテクニックを駆使して絶好のタイミングを狙って一気に行うことが肝要です、コストダウンとは一種の錬金術と同じです、錬金術は金を得る為に多くの呼び金(種金)を先に使わなくてはならないのです、この理論が明確に理解できる人は既に立派な経営者と言えるでしょう。