経営者のみなさんは一応のホームページの必要性は理解しています、今の時代はパンフレットよりもホームページが広報の第一歩なのですから当然です。
私は以前から情報収集を目的に時間があればクライアントや知り合った人のホームページを見て回ります、そこで改めてその企業や事業について理解を深めて興味を持つこともあります、逆にとても残念な気持ちになるときもあります。
ホームページは作ればよいというものではありません、企業戦略を感じるコンテンツを表示していて検索されやすい作りになっているかということが価値を決めます。
株式会社や合同会社は自社の事業に直結したコンテンツと、その視点はクライアントに向けられていなければなりません。
代表そのものが商品かと思わせるほど代表の露出が高い企業はいわゆる個人事業主程度の企業と見られてしまいます、また上手くいっている会社ほど代表者は表面には出てきていません。
社団法人やNPO法人は会員組織ですからコンテンツの視点は会員に向けられていなければなりません、会員に向けたサービスや支援と活動報告がメインであり代表プロフィールや過去の栄光などはどうでもよいのです。
そういう意味では、当然のこと株式会社や合同会社と社団やNPO法人のホームページは作りそのものや目的がまるで異なるのです。
またどんなに有益な情報を載せていようが検索しても引っかからないようでは見てもらえません、その技術的な問題はWebデザイナーの腕や使用するシステムそのものによるもので見た目だけでは解らないのです。
ホームページは安かろう悪かろうでは意味がなくビジネスに直結することは皆無です、むしろマイナスに作用することもあります。
たかがホームページ、されどホームページ、ホームページ構築にもしっかりした企業戦略が重要です。
見えやすいホームページは経営者のIT志向がもろに表像化されてしまいます、企業戦略に基づいた総合的な視点で構築することが肝要で初期投資が高くついても結果的に安い買い物となるのです。
この数年来の高騰に暴落、某国の公式通貨になるなど何かと話題を振りまくビットコインですが、ビットコインの未来はどのようになるのでしょうか?
株式などと違い過去の統計が全くない暗号資産であるビットコインは未来予測は極めて難しいものがあります、しかし特性やシステム理論から照らし合わせるとある程度の予測は可能となります。
ビットコインを代表とする暗号資産(仮想通貨)は発行に際してホワイトペーパーを策定します、ここには発行手順と最大発行数も記載されています。
これを正しいとして算出すると現在の状況が継続すればビットコインは約15年後には全て発行済みとなります、この状況を「枯渇」と呼んでいます。
ビットコインの取引に協力している参加者に協力報酬としてビットコインが支払われています、これをマイニングと言います。
このマイニングは半年に1度発行数を半減するように自動化されています、これを半減期と呼んでいます。
さてここで全てのビットコインが発行済みとなると少なくても新たなコインを報酬として受け取ることができなくなります、この瞬間に一般的な取引協力者は一瞬にして姿を消してしまいます。
そうすると安全性を確保するための51%以上の計算能力を保持することが難しくなり、この時点で51%以上(計算上は47%でも可能だとする論文もある)の計算能力を持つマイナーが存在すれば乗っ取りという危険性が高まってきます。
そうならないようにシステムを変更していくでしょうが「枯渇」は一つの大きな衝撃を与えることには間違いありません、それまでの間は需要が有る以上は価格こそ乱高下しながらも確実に維持し続けていくと見ています。
ただ枯渇後のビットコインはどうなってしまうのでしょうか、前例のない暗号資産の未来を予測するのは極めて困難です、しかし仕組みを正確に理解する者であれば何が起こるかはそう難しい予測ではありません。
あまり知られていませんが内閣府が進めるデジタル施策の一つに給与のデジタル払いというのがあります、当初は20年度の実現を目指していましたが課題が山積し昨年の4月に解禁する方針がようやく決まったのです。
この給与のデジタル払いとは、給与を銀行口座に振り込んで支払うのではなくスマートフォンのアプリケーションを通してスマートフォンに直接振り込んで行うという代物です。
難航した課題の一つに、スマートフォンのアプリケーションを運用する企業が倒産した場合はどうなるかとか、スマートフォンを落としてしまったらその保証はどうするかなどです。
世の中に新たな試みが次々と出てきますが、障壁は常に「リスクヘッジ」というのは何時の時代も変わらないと思うばかりです。
銀行の通帳でも同じことでただの数字に過ぎません、カードを落とせば引き出されるリスクはあるし銀行が破たんするリスクもあるのです。
ここで給与のデジタル払いとは何を意図したものでしょうか、考えられる一つに「振込手数料」の問題があります、また銀行口座を持つことでその人はその銀行にある意味では縛られることになり金融の自由が阻害される可能性があるからです。
確かに社員が数万人ともなれば毎月数百万円が振込手数料で消え、年間にすればかなりの額となります、これの全てが銀行の収益となっているのです。
給与のデジタル払いが実現すれば何れはあらゆる支払いもデジタル払いが普及していくことになります、デジタル払いは是か非か、そして内閣府の真の目的は何か、振り込む側ではなく貰う側がじっくりと見極めなければならないデジタル施策の一つだと思います。
ブロックチェーンはこの先地球上に何を齎していくのでしょうか、その答えは「新たなるエコシステム(経済秩序)」という言葉が相応しいのかもしれません。
株式が取引所にIPO(上場)し自由に売買できるようになった当時、たったの数年で無一文の人が巨万の富を得た時代がありました、これが先行者利得という事実です。
アメリカンドリームに代表されるエンジェルファンドの世界では「ファーストムーブアドバンテージ」という言葉が存在します、先に動いた人が有利になるという意味で同じように先行する人が成功することを物語っています。
さて日本のブロックチェーンの現状はどうでしょうか、多くの人はフィンテックつまり金融に絡めたシステムに応用することを第一義としています。
しかしブロックチェーンの本来の優れたポイントであるデータの保障(高信頼性)という意味ではIoTへの応用が最も適切だと思うのです、そういう意味で現在産業用ブロックチェーンの開発が最先端で行われています。
また取引台帳が保障され改ざんできないという点において、今後個人間での相対取引(P2P取引)に大いに活用されていきます。
これも日本は遅れており、海外ではP2P取り引きのコア技術としてブロックチェーンを取り入れようとする動きが盛んです。
さてここでブロックチェーンはどのようにして新たな経済秩序を齎すのでしょうか、そしてその未来は如何なる世界を築いていくのでしょうか?
その答えを知っている人は全世界でも極限られた人達である事だけは事実です、そしてしばらくの間公開されることもないでしょう。
ただ一つ言えること、それはブロックチェーンシステムは運用コストが極めて安価に行えるという点です、仕組みによっては無人化も可能になります。
ここで世界中に広がる個人間取引によるフリーマーケットが家に居ながら利用できるとしたら、いったいどんな経済秩序が生まれるでしょうか?
コインチェックによる「NEMコイン」の流出問題はいまだに記憶に新しい人も多いでしょう、それ以前にも「NEMコイン」はシステム障害によって大きなダメージを被ったばかりです、この裏にはどんな事情があるのでしょうか?
仮想通貨はそもそもブロックチェーンによって管理されている実体のない価値を持った数字です、その取引に関してはブロックチェーンの取引保障と改ざん不能という機能に頼っています。
しかし実際に顧客との間で取引を行うのはブロックチェーンそのものではなく、ウォレット(口座)を介して取引システムによりシステマチックに行われています。
つまりブロックチェーンの取引台帳は保護されているものの、ウォレットに関しては別の仕組みによってセキュリティを図られなければならないのです。
顧客のウォレット管理においては一般的に「マルチシグ」という方式によってセキュリティが強化されています、ところが先の「NEMコイン」に関しては導入するという広報は流れていたものの見送られてきた経緯があります。
この「マルチシグ」とは一ヶ所にIDとパスワードを保管するのではなく、それぞれのパスワードを分割して複数のノード間で分散保有するという仕組みです。
これによって一ヶ所のノードがハッキングされても、ウォレットに辿りつくことはできずにコインが不正に送金される事もありません。
今後の仮想通貨は「マルチシグ」導入が必須になることは間違いありません、更に言えば安全なウォレットサービスが必須になります。
強固なウォレットを誇る仮想通貨が望まれる時代になるのです、何故なら仮想通貨は金融資産という位置付けになったのですから。
思えばバブル経済期直前に多くの銀行や証券会社がネット取引サービスを開始しました、当時不正アクセスによる送金や取引詐欺が横行しテレビや新聞を賑わした記憶が蘇ります。
その都度に金融機関のセキュリティ能力は大きく飛躍し現在の安全な取引の提供に繋がっています、仮想通貨による新たな秩序の誕生とは事件や事故をきっかけに一つのスタンダードが出来あがっていくものです。
また世界的なスタンダードが構築されたとき、それはもう話題性の世界から実世界へと浸透していくことになります。
仮想通貨の隠れた課題の表面化、これを良しとみるか悪とみるか、ここで言える事はたった一つだけです、「既に仮想通貨は政府や金融業界だけではなく社会において無視できない存在になっている」ということです。