2023年2月27日 07:00
内閣府のEジャパン構想から早20数年、当時の「ユビキタスコンピューティング」という何処でも何時でもアクセス可能という言葉も今となれば当たり前となり死語と化しました。
入れ替わるように、この数年ではクラウドコンピューティングという言葉が浸透し始めています。
これは仮想コンピュータ空間を意味し、何処にいてもパソコンさえあれば専用端末を持たずに会社に務めているのと同じように社内サーバーにアクセスしてあらゆる業務をこなせることを意味します。
ここで、クラウドとは「雲」を表す英語で雲の中に在るように詳細を意識することなく使えることを意味しており、近年のITシステムの説明図では実際に雲の形でこれらを表現しています。
近似の言葉に「ブラックボックス」が在りますが、これは電子回路やプログラムなどで全体の一部だけを隠すという意味で使われており、全体を隠す「クラウド」とは使い分けされています。
本第に戻しますが、例えばホテルやネットカフェまた空港や各種施設において利用できるレンタルパソコンですが、これらからクラウドサーバーにアクセスすれば会社にいるのと同じように業務が行えるようになります。
つまり出張などでもパソコンを持ち歩くことから解放され、必要な時に何処にいても会社にいる感覚で業務が行えるようになります。
セキュリティもかなり強力でログオフによりワーキングメモリは全てクリアされて形跡も残りません、かなり前から研究されていたシンクライアント端末がより機能アップしたシステムと成りつつあります。
またブロックチェーンの普及が予想されますが、端末も含めてブロックチェーンネットワーク化すれば伝送セキュリティに加えて完璧なデータセキュリティを図ることが可能となります。
さて、これらのシステムの台頭によってこれからの時代にいったい何が起こるのでしょうか、それは本格的なSOHO時代の幕開けを意味しています。
時代も新型コロナウイルスパンデミックによりソーシャルディスタンス全盛期を迎えます、まさに時代が後押しして浸透してくるビジネススタイルです。
日本ではSOHOという言葉も以前から使われていましたが、欧米諸国のように浸透するまでには至っていませんでした。
SOHOとは、スモールオフィス・ホームオフィスという意味で簡単に言うと社員数に関わらず「小さな本社、家庭事務所」を指します。
現在の日本では自宅を事務所と併用するホームワーキング(自宅業務)が多くの起業家のスタイルとなっていますが、これはSOHOとは次元が180度異なるもので混同することなく正しく理解する必要があります。
SOHOの本質は組織において数名の本社機能社員だけを事業所勤務として、社員の多くは家庭に居ながら一つの大きな事務所で業務を行っているのとまったく変わることなくあらゆる業務を遂行できるというワークスタイルを指しています。
例えば社員は国内だけに留まりません、海外であろうが何処に居ても全員が本社に出社して業務を行っているかのようなバーチャルオフィス空間を指しているのです。
今後、複数同時アクセス可能なテレビ会議システムと連動したバーチャルワーキングシステムも急速に普及してきます、そしてその結果オフィスビルの空室率が急上昇すると予想されます。
もう一つSOHO本格化時代で変わるもの、それは一旦家庭に入った女性の社会復帰と首都圏と地方の就労格差の緩和です。
つまり家で子育てや主婦業を行いながら、これまで務めていた企業に継続して勤務しているのと同じように業務を行うことができるのです。
更には極端な話し、世界中を旅しながら報酬を得られるなんていう夢のような時代になるのです。
この結果、男女の雇用機会や能力格差はどんどん縮まり、労働時間報酬型から成果だけの成功報酬型の評価基準に変わってきます。
つまり、経済格差に加えて本格的な生産性を評価する能力至上主義での二極分化も同時に浸透することを意味しています。
成果報酬は何をどれほどやったかではなく、どれほど利益に貢献したかが基準となるのです。
要は時代のトレンドを読み、その時代に合わせて何をすべきかがビジネス成功のヒントとなります。
最後にもう一つ、このSOHO時代が本格的に到来すると今のような起業する人が激減します、そして一匹狼的な起業家は窮地に陥るようになります。
起業したら自身で従業員を雇って組織を持つか、どこかの組織に何らかの方法で属することが必須になってきます。
もう一つ、起業独立支援やその対象となる人へのコンサルティングやサービスは確実にこの世から消えていきます、時代の流れとは常に非情なのです。