農学についての面白いアンケートがあります、これによると多くの人が「虫食いのある野菜は美味しい」と考えているということでした、しかしこれはまったくの思い込みであり間違っています。

実は健康な野菜には虫がつかないのです、同じ畑の同じ野菜でもあるエリアだけ虫がついて他はまったく虫がつかないという現象が実際に起こります、そこで虫がつく野菜の環境を調べると日照時間が短いなどという結論が導き出されます。
植物は根から水と共に窒素を吸入し葉に送ります、葉は葉緑素を使って日光を浴びることによって葉の中に糖を生成します、そして根から得た窒素分と糖を結合することによって組織の元であるアミノ酸を生成しているのです。
ここで日光が充分に得られなかったり窒素分が少なかったりすると葉の表面に糖分が蓄積していきます、この糖分を虫は好んで食べるというわけです、つまり野菜が健康であれば虫はつかずにアミノ酸が豊富な美味しい野菜になるのです。
そして充分な窒素分がある土で日光を必要量得られる環境で野菜を育てることができれば虫がつかないので農薬散布は不要となります、私は全国の無農薬農場を数年前にいくつも見て回りましたが多くの農場の野菜は元気で葉に厚みがあり虫食いの痕も無いことを確認しています。
液体肥料も不要で水だけで栽培可能な超簡単水耕栽培を実践しました、それはスプラウトニンニクです。
水にニンニク塊の下部を浸しておくだけで芽を出しどんどん葉が成長し1週間で収穫可能です、収穫したスプラウトニンニクは芽を出していないニンニクの数倍栄養価が高く糖度も高く大変美味しくなります、オリーブオイルでソテーするだけでおつまみに最高です。
100均で買ったプラ容器に水を張ってニンニク塊を浸すだけ
容器についてくる蓋の真ん中を切り取るとサイズ感もぴったりです

10日後でこんなに葉が伸びてきます
ただし室温が20度以上ないと発芽しないし伸びません
実験では25度以上あると成長が早いので夏場はエアコンをつけない部屋に置くといいです

オリーブオイルと塩でソテーしたものを試食しました
比較のためスプラウト化しないものと味比べ
スプラウトの方が甘くて味が濃厚です

水耕栽培キットを使うと水耕栽培を手軽にできますが栽培の量に限りがあるのと、1クールづつ全部セットして次の栽培を最初から開始する必要があり連続して栽培を行うことができません、したがって水耕栽培キットで常に野菜を収穫しようと思うと4セットほど必要となります。
そこで本格的に水耕栽培を行おうと思う人向けにナローバンドLEDの光を有効活用できるグローテントの使用をお薦めします、ただし設置場所に加えて作業場所も確保しようと思うと最低でも2畳ほどのスペースが必要ですのでスペースに余裕が無いとできません。
これを使うと半水耕栽培でニンジンやダイコンも水耕栽培できます、もっともこれを行うにはそれなりのノウハウが必要です。
葉野菜ならスポンジに種を植えて液体肥料に浸しておくだけで勝手に発芽し勝手に成長してくれます、あとは液体肥料の追加と収穫するだけでほぼ放置栽培できます。
各種の野菜をこれを使って栽培しました、順次それぞれのノウハウやコツを記事で紹介していきますので参考になれば幸いです。
ラボに所狭しと置かれたグローテント
思った以上にスペースを取られます。

グローテントの内部
植物育成用ナローバンドLEDを使った各種野菜を水耕栽培の放置栽培中
右は二十日ダイコンで左はルッコラ

二十日ダイコンはちょっと形は悪いけどしっかりカブになってます

水耕栽培を手軽に始められる水耕栽培キットが20年ほど前から市販されています、発売当時は10穴ほどで3万円もしたものが現在では12穴の装置で1万円以下でも購入することができます。
装置としては植物育成用LEDライトと根腐れ防止の水中ポンプが付いておりボタンで全て設定できますので操作は簡単です、ただし詳しい育成用の説明書は付いてないのでカット&トライで工夫しなくてはいけません。
手軽とは言うもののコツを掴むまでは立派な野菜を育てることは難しく最初はなかなか発芽しなかったり徒長してヒョロヒョロした野菜になってしまいます、何事も経験しながら学んでいくということでしょう。
コツを掴めば種を植えて2ヶ月目ごろから収穫でき毎週のように育てながら収穫できます、ただし楽しみながら野菜を育てるという気持ちであれば充分に機能しますが収穫を期待すると初期費用すら回収できずに期待外れに終わります。
種を植えて2ヶ月目の状況

3ヶ月目に入ると成長著しく毎日葉野菜が収穫できます

いろいろ実験してみましたが、上手くいく野菜はチンゲンサイ・ルッコラ・サンチュ・サラダ菜などが失敗が少ないと思います、意外やレタス類は上手く育ちません、勿論のこと葉野菜以外は栽培できません。
この他に液体肥料や交換用の専用スポンジなど思った以上に費用がかかります、育てて楽しみながら新鮮野菜を食べるという愉しみを味わうならよいのですが、野菜を安く手に入れたいという人であればお薦めできません。
自然農での放置栽培実践には土壌の質がそれに見合っていなければなりません、そこで冬季でしかできない土壌改良を実践しました、その改良方法とは肥沃土壌を維持するに必須な有益菌を増やすことです。
ガーデニングで伐採した樹木の枝や落ち葉などで畑の中央部分に畝を作りそこに土を被せます、そしてその脇には30Cmほどの深さの溝を掘っておきます、こうすることで好気性の糸状菌が土の中で有機物を醗酵によって分解し土壌に窒素分を充填します。
最終的には春前に掘っておいた溝に畝の中の有機物と土を埋めて土中で今度は放線菌などによって分解され窒素分を増やします、冬の間に畑を休めせてはいけません、冬季に土壌を休めせると土壌が締まってしまいせっかく出来上がった団粒構造が台無しになってしまいます。
自然農実践のための土壌作りは各種の書籍からの情報を基に総合的に考えるに最低3年はかかります、したがって毎年場所を変えながら同じように土壌に有機物を投入して有益菌を増やしていきます。
この畝の中に有機物を投入する際に米糠を一緒に撒いておくと早く糸状菌が発生するようなので10リットルほどの米糠を混ぜ込んでいます、また畝以外の土壌にはもみ殻を100リットルほど撒いておきました、春にこれらは菌によって醗酵分解して肥料を使わなくても土壌に窒素分が豊富に存在するようになるでしょう。


冬の間にしっかり土壌の団粒構造を維持し窒素分を作っておけば春以降に耕起することも肥料を追肥することも不要となります、気温が下がったときは糸状菌が有機物を醗酵分解するに適した季節です、これが温度が上がるとカビの原因となってしまいます、近年の農業は経験や勘ではなく根拠を持ったテクニックが重要になるのです。
伐採した枝や枯葉の有機物に土を被せる前に米糠を混ぜておくと糸状菌がより元気に活性化します、またその他の部分には土壌表面にもみ殻を撒きました、これも水はけを良くして有益な菌を増やす方法として有効です、近所の畑は白っぽく乾燥して砂埃が舞っています、しかしこの畑はしっとりと水を含んで黒ずんでいます、この差は春以降にしっかり現れるでしょう。