2024年11月29日 07:00
野菜はこの数年の間に平均で倍ほどに高騰しています、また季節によっては手が出せないほど高額になることもあります、外食産業の倒産件数がうなぎ上りに増えているのもうなずけます、原料仕入れ額と人件費つまりFC比の上昇が要因であることは言うまでもありません。
野菜が高額で買えないということで庭が無くても室内で野菜栽培ができる水耕栽培が新型コロナウイルスパンデミックを機に静かに流行しているようです、私がハイドロカルチャーで観葉植物を育てていた20数年前に比べると水耕栽培キットも多数出ており価格も1万円を切るものもあります、SNSなどでも100均グッズだけでできる水耕栽培などの動画が多数出ています。
水耕栽培キット
これにプラスして液体肥料と種を買えばその日のうちに水耕栽培がスタートできます
こういったものに刺激されて水耕栽培に手を出す人も多いと思いますが、多くの人は当初考えていたように収穫できずにイニシャルコストも回収することなく止めてしまいます、私の経験上しっかりとした野菜を水耕栽培で収穫しようとしたら最低でも5万円近いイニシャルコストがかかります。
確かに容器は100均で売っているもので代用はできますが室内でしっかり育てるには最低でも人口太陽光つまり植物育成用のナローバンドLEDライトが不可欠です、また電解濃度計(水溶液濃度を計測する測定器)など次から次へと必要な道具や消耗品が出てきます、つまりイニシャルコストに加えて種や液体肥料などのランニングコストは意外とかかってしまいます。
実際にやってみると大きな買い物をしているわけでもないのですが合算すると意外な出費に驚くと思います、私の試算上では野菜を完全育成するためのグロウテント+ラックに育成用ナローバンドLEDライト2セット、更に電解濃度計などの必須な機材を入れるとイニシャルコストは5万円ほどで種代に液体肥料などの消耗品に電気代も入れると年間ランニングコストは最低でも3万円程度になります。
つまり1年目は8万円ということになります、また水耕栽培できる野菜は限られておりイモ類やキャベツ・ハクサイなどの大型野菜に根菜類やつる性野菜は不可能ではないですが家庭用の装置では無理です、つまり手軽に栽培可能な葉野菜が主になり全ての野菜を調達できるわけではありません、そう考えるとかなり高いものになりそのときに必要な野菜を買ったほうがはるかに安く済みます。
結論を言うと水耕栽培やベランダ菜園、また趣味で行う自宅の庭を使った野菜作りはコスト面だけで計算すると買うよりも高くつきます、ただしメリットとしては採れたての安全な新鮮野菜を食べることができるということと農家さんしか食べることができないダイコンやニンジンの葉など栄養価の高い部位が食べられると言うことにつきます。
水耕栽培やベランダ菜園などは隠れたコストを無視しがちになります、家庭菜園を行う目的は野菜を安く手に入れることではなく家庭菜園でしか味わうことができない野菜の部位を安心して食べることができるというメリットを追求することが重要だと思います。
そして最後にもう一つ、家庭菜園を行うようになると野菜の世話にかなりの時間をとられます、忙しいからとちょっとサボれば一瞬で枯れてしまい水の泡となります、家庭菜園は収穫を目的とするのではなく野菜を育てるのを愉しむという目的を持って行うのが正しい家庭菜園の心得かと思うのです、そしていろいろな意味で余裕がないとできないのが家庭菜園という道楽なのです。