2024年6月 5日 07:00
ホームシアターではサラウンド効果による音場作りが必須です、それを手軽に楽しめるように考えだされたサラウンド方式とはどのような原理によってなされているのでしょうか?
最新のドルビーアトモス方式は録音の時からチャンネル別のストリーミングを行っているので除外するとして、多くのサラウンド方式のベースはステレオ録音です。
つまり、2つのマイクで音を録音してステレオでの録音情報から各チャンネルの音を疑似的に作り出しています。
70年代には既にマトリックス方式というサラウンド効果を楽しめる回路が考えだされ、電子工作マニアを中心に楽しまれていました。
これは左右のチャンネルの成分の比率を変えてミックスした後にエコーをかけてリア用のチャンネルに振り分ける代物で、これがその後のサラウンド方式のの基本原理となりました。
この技術の凄いところはモノラルから周波数別に分離編成して疑似ステレオを作り、更にそれを元に疑似サラウンドにした疑似4Chという方式まで考え込まれていたことです。
ここで5.1Chを例にとって、それぞれのチャンネルの成分の振り分け方を説明しましょう。
こういった情報は一切公開されてなく、昔のマトリックスサラウンドの原理と実際にそれぞれのチャンネルからどの成分が出ているかを自身の耳で確認した結果からの総合判断ということを最初に能書きしておきます。
まずフロントの左右は基本のステレオでの音情報そのものです、センターはフロントの左右チャンネルから中高音域だけを取り出してミックスさせています、したがってセンターからは左右の音がミックスされた中高音域だけのモノラル再生ということです。
また、同様にサブウーハーは左右チャンネルから低音域だけを取り出してミックスしたモノラル再生ということです。
面倒なのがリアのサラウンドチャンネルです、まず右サラウンドチャンネルはフロント右チャンネルにフロント左チャンネルの中高音域成分を20%~30%の量でミックスしエコーをかけています。
同様に左サラウンドチャンネルは、フロント左チャンネルにフロント右チャンネルの中高音域成分を20%~30%の量でミックスしエコーをかけています。
このリアのサラウンド用チャンネルの成分の比率とエコーの遅延タイムを変えてAVアンプメーカーの各社仕様のサラウンド方式を作り上げているのです、またリアチャンネルはイコライザーで音質の調整を行っているAVアンプが殆どです。
どんなことでも原理を知ると応用も可能です、今の時代のようなAVアンプが無い70年代のマニアは、こういう原理を元に独自にそれぞれの方式をDIYしては大いに愉しんでいたのです。